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僕はどうしたいんだろう。何がしたいんだろう。

このままではだめだ。そう思って教室を飛び出したはいいものの、彼女になんといえばいいのか。なんと声をかければいいのか。
ごめんなさい?すいませんでした?なんだか違う気がする。
謝りたいわけではなくて、ただ、僕はーーー。

「藤田さん!!!」

必死に涙をこらえる彼女を見ているだけだった自分が、いやなだけだ。
あの時、浅野君にさえ強がる彼女の涙を拭ってやれるほど、僕は強くない。クラスのみんなと口論になる彼女をかばってあげられるほど、僕は強くない。傷ついている彼女に、泣いてもいいよだなんて言ってあげられるほど、僕は、強くはないのだ。

正門の近くで、とぼとぼと歩く藤田さんに叫ぶ。驚いて振り向いた彼女の目は、赤く腫れていた。

「待ってよ!!」

守ってあげられるほど強くはない。けれど、知ってほしい。
E組のみんなは、ただあきらめることしかできないわけではないということを。E組のみんなは、今一生懸命に戦う方法を身に着けているということを。E組のみんなは、藤田さんと仲良くなりたいんだと、いうことを。
ただ知ってほしい。

逃げる彼女を追いかけて、捕まえた手は、心なしか震えていた。

「………なによ」
「あ、あのね……」

僕はE組は好きだ。殺せんせーが好きだ。それを、藤田さんにもわかってほしい。

「E組のみんなは、変わるよ!!みんな、ちゃんと殺る気があるんだ……!!!だから、藤田さんも……、みんなと一緒にーー」

それ以上は、続けられなかった。顔を上げれば、彼女の大きな目からあふれる涙。ぼろぼろとこぼれて、制服にしみを作っていく。涙は女の武器だなんていうけれど、実際目の当たりにした僕は、黙ってしまった。
必死にこらえていた涙を流している。そう思ったら、体が勝手に動いた。

「あの……、ご、ごめんな、さい」

そっと彼女の頭に腕を回して、自分のほうへと引き寄せる。彼女の肩が強張った。制服の襟元を力なくつかむ。

「そっ……、草食系の、くせに……!」

震えた涙声でそういった彼女は、弱弱しい力で僕を突き飛ばして、顔を隠しながら行ってしまう。拒まれた僕は、もう追いかける気力はなかった。
涙は拭ってあげたいけれど、きっと、泣き顔は見られたくないのだろうと思った。だから、ただ引き寄せることしかできなかったのだが……、今考え直すと、僕はかなり大胆な行動に出てしまったのかもしれない。ただ、心配していただけなのだけれど。

僕の声は、彼女に届いただろうか。


それから三日、彼女が教室に顔を出すことはなかった。

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