ステンドグラスに映る星
「藤田先輩、お疲れ様です!」
「美帆ー、お疲れー。」
「お疲れ様ぁっ!!」

集会後、片付けをしながらも生徒に愛想を振りまく美帆。
だが、内心は穏やかではない。

「藤田。」
「……………。」
「藤田。」
「……………。」
「藤田!!」

話しかける荒木を完全に無視して、教室に戻ろうとする美帆。

「あまり荒木をいじめるな。」
「わかってる。荒木はどうでもいい。」

浅野も美帆が荒木に腹を立てているわけではないことを知っている。
美帆の機嫌が悪い理由は、他にある。

「あのE組の担任、ムカつくわ。」
「僕もあんな教師は見たことがない。」

集会でのこと。美帆の用意したプリントは、きっちり全校生徒分あった。E組以外は。
それは彼女が計算して行った事で、全校生徒へのパフォーマンスだ。
生徒も教師も、みんなそれが分かっているから笑いに変わる。のだが、どこからか入ってきたE組の教師が、プリントを持っていたのだ。E組生徒全員分。

「書類を用意するのは私1人の仕事。その方が効率がいい。今回だって、他の誰にも任せていないもの。」

だから、あの笑いどころを潰すしたのはE組の担任。生徒会のミスではない。

「有り得ない、あんな妨害。」

×××

「藤田さんいつも頑張っているから疲れちゃったのかなー?」
「本当にごめんなさぁーい。」
「E組のみなさん、可愛いから許してあげてくださーい!!」

2人の会話に、また笑いが起こる。
思惑通りに進み、口元が緩む美帆。もう1つ、何か言ってやろうと思い、口を開いた時。

「あ、プリントあるんで、続けてください。」

プリントを片手に声をあげるクラス委員。その横にはにやにやと笑う教師。
見ればE組全員が、プリントを手にしている。

「え、なんで!?」
「………………。」

笑いどころをつぶされ、機嫌が急降下する美帆。それを真っ先に感じた荒木が、焦りを隠せない。

完全に動揺している荒木に、もう無理だと思った美帆がフォローを入れる。

「………あれぇ?私、ちゃんと用意してたんですね!!」
「そっ……、そうだね!!さすが藤田さん!!」

×××

数分前の出来事を思いだし、また怒りがこみ上げてくる。

相当腹を立てている美帆を見ながら、浅野も考えを巡らせる。
E組教師の顔に見覚えは無い。その上、最近父の様子がおかしい。

「探ってみる価値はある、か。」
「当然よ。」

独り言のつもりでこぼした言葉に反応した美帆。目には闘志を燃やしている。

「あの教師について片っ端から調べるわ。」

次は、必ず恥をかかせる。E組教師も、生徒も、全員。

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