
12月19日
12月19日。世間は既にクリスマス一色で、街はイルミネーションで彩られている。楽しそうに道行くカップルたちは、もしかしたらこれが最後のクリスマスになるかもしれないだなんて、きっと微塵も思っていない。
今年が最後のクリスマスになるかもしれないから。
口実としてはいいかもしれない。でもここは直球で美藍にプレゼントしたかった、と言うのもアリだ。
緩みきった口元をマフラーで隠して店に入る。女子にプレゼントなんて実を言うとしたことがない。いや、語弊があるな。女子として意識している人に、プレゼントなんてしたことがない。
バレンタインやクリスマス、誕生日のお礼を女子にすることはあったが、どれも深く考えて選んでいない。もらったら返すのが常識。喧嘩も、プレゼントも。そう思って無難なものを適当に選んでいた。
だが今回はそうはいかない。俺自身のセンスで、彼女が喜ぶものを選ばなくては。
彼女が喜ぶプレゼントってなんだろう。俺だけがあげられるものってなんだろう。
付き合ってもいない男からのリングって重いだろうか……。告白と捉えられる可能性もある。プレゼントを渡せても、告白をする勇気はまだないというか……、全部が終わってからにした方がいいと思っているというか……、いや、でも今の段階でそれらしい言葉を贈っておくべきなのか……。それでも今のポジションを手放したくはないし……。
どちらにせよ、アクセサリーはやめておこう。重いと思われるのはごめんだ。
ネックレスやリングには束縛の意味がある。彼女がそれを知らないとは思えない。
束縛なんかじゃなくて、もっと、心の残るような意味のあるもの……。
これが最後のクリスマスでないとしても、俺たちが高校も一緒だとは限らない。
彼女には彼女の人生があり、俺には俺の人生がある。だから進学する先もきっと違うだろう。それは十二分に分かっている。感情だけで進路を曲げようとは思わない。
だからせめて、制服が違っても、乗る電車が違っても、教室が違っても、常にとは言わないから。ふとした時で構わないから、プレゼントを見たときで構わないから、俺を思い出してほしい。
腕時計に、しようか………。
束縛の意味があるって、ネックレスやリングを避けた意味がないな、と嘲笑しながらも、腕時計を選ぶ俺の頭の中は、彼女でいっぱいだ。