12月23日



12月23日。昼休みに、トイレから教室に戻ってきた時だった。

「えぇ!?それ、誰が片付けるの!」
「俺らで片すから!頼む!」

寺坂が、美藍に何かを頼みこんでいた。2人が話しているのは珍しいことではなく、通常運転と言える。
だから俺も、特になにも考えずに話に入った。

「何の話〜?」

普段ならそこで、「聞いてよカルマ、寺坂がねぇー、」と怒ったように、呆れたように、それでいて楽しそうに話す彼女。だが、今回は違った。

「あ、いやぁー、何でもないよ」

ははっ、と乾いた笑いをこぼして誤魔化す。あれ、なんかおかしい。そう思った。
何を隠しているんだろう。ここ数日。俺にそんなにまで知られたくないことなのか。

彼女のことをたくさん知りたいとは思う。けれど、彼女にも俺に言いたくないことはあるわけで。
知りたいけど、知りたいけど、一番優先すべきなのは彼女の心で。彼女が話したくないことは無理に聞き出さないのが俺の俺なりの優しさ。

いいや、違う。それは俺が、俺に対して向ける優しさだ。
彼女に拒否されたくない。否定されたくない。裏切られたく、ない。

だから敢えて、本当に聞きたいことが聞けない。大切なところで引いてしまって、自分を守ってしまう。

これは、彼女への優しさではなく、俺の単なる防御。
カッコ悪。

そう思いながらも、彼女には笑顔で「そっか」と答えるのだ。
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