
12月25日
――ごめん、今日先に行く!
なんて最悪な目覚めだ、というのが初めの感想。そしてなんて最悪な日だ、というのが次に思い浮かんだ言葉。
寝すぎた?いやいや、いつもより20分早く起きた。ではなぜ?今日はなにかあっただろうか。ない。少なくとも彼女が朝早く家を出なくてはいけない理由は思い当たらない。
では……避けられた?
そんなことを考えながら家を出て、電車に乗る。
避けられたって……思った以上にパンチがきつい冗談だ。どうしよう。学校休みたい。
でももう既読はつけてしまったし。わかったーと返信しておいて休むなんてカッコ悪いし。
………プレゼントは、渡したいし。
例え、嫌われてしまったとして。俺が美藍を嫌いになるだなんて、きっと無理だ。大好きだと言った答えが、俺が欲しいそれじゃなくても、それだけで嫌いになれるほどこれは軽い言葉じゃない。避けられていたのなら立ち直れないくらいに傷付くと思うけれど、それでも面と向かって彼女と話したい。そう思う俺は、きっと心のどこかで嫌いじゃないよって彼女が笑ってくれることを期待している。
どう切りだそう。プレゼントを渡した後の方がいいはずだ。あ、もし受け取ってもらえなかったら?ショックデカイな………。
項垂れながら校舎に入る。
なんと珍しい、もうこの時間でクラスのみんなは来ているようで、俺以外の全員のくつがある。あの寺坂もだ。遅刻ギリギリのイトナ君もだ。
だというのに、なぜだか教室の方は静まりかえっている。朝早くに来て、暗殺するわけでもないらしい。
ギシッギシッと古い木の廊下が音を立てる。俺以外誰もいないかのような空間に、その音が異常なまでに響き渡って………、いつもの教室のドアが地獄の門に見える。
ふぅ、一息ついて、ドアに手をかけた。
パン!!!!
響き渡った発砲音、否、クラッカー。遠慮なく放たれたそれは、俺の全身に降りかかる。
驚いて目を見開き、カラフルな紙テープにまみれた俺はさぞ滑稽だろう。
「ぇ、これな
「ハッピーバースデー&メリィィィィクリスマァァァァス!!!」
なに、そう言おうとした俺を遮って、寺坂が両手に持ったパイを俺の顔に投げつけた。
べちゃ!と音を立てて2つのパイが顔に衝突。口を開いていたため、クリームが口の中に入った。あ、おいしい。
「誕生日とクリスマスで2つか、なるほど!!」と、バカ杉野の声がする。生クリームまみれで見えない。え、なに、これ。まじ意味分かんない。
「カルマ、誕生日おめでとう!」
美藍の声がして、顔にふわりとタオルがかかった。
あぁ、なるほど、ここ最近のみんなの、主に美藍の奇行は全て、俺へのサプライズの準備だったわけだ。
いやでも待てよ。今1番楽しんでるの、寺坂じゃね?今のパイ投げの下り必要だった?絶対いらないだろ。
タオルを受け取って顔を拭く。この1週間、ずっと俺のことを考えてくれたクラスのみんなや美藍にお礼を言いたい。が、まずは寺坂にドロップキックをかまそう。
美藍を抱きしめるのはそのあとだ。
Merry Merry Christmas!
生まれてきてくれて、ありがとう