卒業…11月29日birthday
今日は球川小学校卒業式。
キャプテンの三笠と俺達四天王の卒業の日だ…
感動の卒業式も無事に終り、もう学校に残っている生徒はあと僅か…
キャプテンと速水達と別れた俺は最後にもう一度部室を見ておきたいと思い、一人で訪れていた。
ドアを開き、6年間慣れ親しんだ部室へと入る。
シン…と静まる闘球部の部室内…脇に置かれたロッカーにも、もう俺の名前はない。
…あ〜…終っちまったんだな……
俺の中に闘球部で過ごした6年間の充実感と、それが終ってしまった寂しさとが入り乱れて込み上げてくる…
…入部してから6年間…色んな事があったな…
キャプテンの三笠や速水、土方、風見達と共に入部した時の事…憧れの七闘士の先輩達に厳しく指導された事…そして、四天王としてキャプテンと共に球川小闘球部を強いチームに育てていった事…
そして……弾平と出会った事…
俺の脳裏に球小闘球部での様々な出来事が鮮やかに甦る…
良い事も悪い事も色々な事がたくさんあったけれど、闘球に全てを捧げてきた充実した6年間だった。
俺が長い年月を振り返り、静かに感慨に耽っていると…
ーバッターーーン!!!!
大きな音と共に部室のドアが激しく開く。
今にもドアを壊しそうな勢いで入ってきたのは…弾平!
「あーー!やっぱりここにいた!!火浦さん!!探したぜ〜…」
弾平はにこにこ笑いながら部室に入ってきた。
俺は相変わらずの弾平に呆れ顔…
「弾平〜…もうちょい静かに入って来いよな〜…」
「へへっ…ごめんよ!それより火浦さん、探したぜ〜…」
「…なんだよ…」
「卒業おめでとうございます!…ちゃんと言ってなかったからさ!」
弾平は俺に向かってちょこんと頭を下げた。
俺はいつもは無礼の塊みたいな弾平が見せた妙な礼儀正しさに驚いて…
「なんだよ…改まって…」
「火浦さんにはほんっとーに世話になったからさ〜…」
「本当にお前には苦労させられたぜ……なぁ弾平!」
「へっへー…」
弾平は頭を掻いて、にやっと笑う…
俺はこの一年の弾平との確執や聖アローズとの闘い、弾平によって巻き起こされた様々な出来事を思い出す…
…本当にこいつはとんでもないヤツだったよな…
俺の球小闘球部の最後の年は、まさにこの弾平との一年で…
弾平はとにかくメチャクチャなヤツだった…こんなヤツには今までに出会った事がない。
闘球が大好きで…自分勝手でわがままで乱暴で…でも、誰より強い闘志を秘めていて…どんな事にも怯む事なく真っ正面からぶつかっていくヤツだった。
こんな小さい身体のどこからあんな闘志が涌き上がるのか…キャプテンの三笠も俺達も、5歳も年下のこのチビが放つ溢れんばかりの闘志とひたむきさに教えられる事もたくさんあった。
俺と入部をかけて千球ドッジをしたり、タイマンドッジで勝負したりもした…こいつはいつも俺に全力でぶつかってきて……。生意気なヤツだったけど、何故か憎めなくてほっとけなくて…ちょっと可愛いとこもあったしな…
こいつのお陰で俺は球川小闘球部最後の年を、心から闘球に向き合って過ごす事ができたんだと思う。
「でも…火浦さん達がいないとおいら寂しいぜ…」
「弾平…弱気な事言ってんなよ!球小闘球部を頼んだからな!」
「…うん………」
珍しく弱気な弾平…
いつもは俺に生意気ばっかり言うくせに…きっと本当に寂しいんだろうな…
「バーカ!元気出せよ!お前から元気取ったら何も残らねーだろーが!」
「もう!火浦さん、ひで〜なぁ〜…」
俺のいつもの調子に弾平も笑顔を見せる…俺はそんな弾平になんだかほっとして…
「火浦さん!中学行っても闘球続けるんだろ?」
「…もちろんだぜ!」
「良かった!じゃーさ、中学行っておいらを待っててくれよ!」
「バーカ!お前…俺を何年中学に通わせるつもりだよ…」
「へっ?」
「俺とお前は5歳年が離れてんだぞ…お前が中学に入る頃は俺はもう高校だからな!」
弾平は両手の指を折りながら数を数える…
「ええーー!!」
「…お前…相変わらずバカだな…」
「…って事はつまり……キャプテンも?速水さんも?土方さんも?風見さんも?…」
「あったりめーだろ!俺達同級生だからな。」
「ええええーーーー!!おいらずっとずっと火浦さん達と闘球出来ると思ってたのに!」
「アホか!」
「そんなのヤダヤダヤダヤダヤダヤダーー!!」
「バカっ!暴れんな!」
弾平はひとしきり暴れるとがっくりと肩を落としてうなだれている…
俺はそんな弾平がわがままで生意気な可愛い弟みたいに思えて。
…まったく…仕方ねぇヤツだな……
「なぁ弾平…」
「なんだよ…火浦さん…」
俺は弾平に近付くとその燃える様な赤い髪を優しく撫でた。
「仕方ねぇんだよ。でも…俺も本当はもっとお前と闘球したかったぜ。」
「…火浦さん………」
「お前と闘球出来て本当に楽しかった。俺はこれから先もずっと闘球を続けるけどな、お前と過ごしたこの一年は絶対に忘れねーよ……」
「……ずっと闘球続けてたらまたいつか火浦さん達と闘える?」
「あぁ!必ず闘えるさ!」
「うんっ!!…おいら、いつか火浦さん達を追い越す!そしたらおいらが闘球を教えてやるよ!」
弾平はそう言うとにこっと笑う…憎らしいぐらいの眩しい笑顔…
…あ〜…俺はこの笑顔と一年間を過ごしてきたんだな…
なんだか俺の目が潤んできて…弾平の顔がぼやけて見えてきやがる…
でも、俺は最後まで弾平の強い先輩としていたい…だから弾平の前で泣く訳にはいかない。
「バカ!お前になんて絶対に追い越されねーよ!」
俺はわざとぶっきらぼうに言うと涙が滲みそうになった顔を隠す様に横に向けた。
「…火浦さん泣いてんの?」
「バカっ!誰が泣くかよ!」
俺の精一杯の強がり…弾平のヤツ、いつもは鈍いくせに…
ふっと見ると弾平が俺のすぐ側に来ていた。
「…火浦さん………」
弾平は俺に近付くと、精一杯手を伸ばして俺にしっかりと抱き付く…
………弾平…
俺もその小さい身体を素直に優しく抱き締めた。
「…ねぇ火浦さん……ちょっとしゃがんでくれる?」
「……?」
なにをしたいのかわからなかったが、俺は弾平の言う通りにその場にしゃがむ…弾平と俺の目線は同じ高さに…弾平がそっと俺に近付いて…
「大好き!」
弾平が言うと同時に俺の頬に今までに感じた事のない何か柔らかい感触が…俺は一瞬固まるが…すぐに弾平がキスをしたんだと解った。
その事実に俺の顔はみるみる赤くなる……
「…バッ……バカっ!なにすんだよっ!」
「へっへー…じゃーな!火浦さん!またね!」
弾平は少し照れた様に優しく笑うと…大きく手をあげてあっという間に部室を出て行ってしまった…
一人取り残された俺はポカーン……
真っ赤になってしまった俺の頬には弾平の唇の感触が残って…
「まったく…チビのくせになんてヤツ…最後まで弾平に振り回されちまったな…」
俺は思わず苦笑い。
また目頭がじんわり熱くなってしまって…俺は今にも溢れ落ちそうな涙を慌てて拭った。
部室を一周眺める…
「弾平…またな!」
俺は一人言の様に呟くと、部室を後にした…
*火浦さんbirthday記念に初めての火弾を書いてみました♪四天王の卒業は悲しすぎて触れられない管理人ですが、きっと仲良しの火浦さんと弾平ちゃんの間にはこんなやり取りがあったに違いない…と思ってます♪このまま弾平ちゃんを意識した火浦さんが好きになっちゃうといい…5歳も年下の弾平ちゃんにモヤモヤした日々を過ごすのもいい…
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