二人の秘密
今日は土曜日…普段なら午前中に練習があるのだが、学校の都合で今日の練習は休み。
しかし、試合も間近に迫っている…俺は持久力アップの為に一人走り込んでいた。
闘球部副主将として、チームの事…メンバーの事…大会の事…考えておかなければならない事は山程ある…俺はぼんやり考え事をしながらロードワークに励んでいた。
「あれ?…ここは…」
俺はいつの間にか荒崎小の前まで来ていた。
ここには一度来たことがある…ぼんやりしていたせいか、身体が覚えていた場所に自然に来てしまったらしい……
今日は土曜とあって前に来た時に見た様なガラの悪い輩は見当たらない。改めて校舎を見ると…校門の屏には落書き、窓にはヒビ、校舎の壁には所々に大きな穴が…相変わらず荒んでいる……
…しっかし、どういう学校なんだ…
そう思いながら長居は無用だと引き返そうとしたその時、屏の上から誰かが俺の目の前に飛び降りてきた!
「うわっっ!!」
急な出来事に驚いた俺は2〜3歩後ろによろめく……
一体なんなんだ!……よく見ると、飛び降りてきたのは俺の知っている顔……
こいつは陸王冬馬、荒崎小闘球部の主将…荒崎小トップのワルだ。
陸王は驚きのあまり身動きが取れずにいる俺を見つけるとニヤッと笑い、声を掛けてきた。
「よぉ!な〜んか見た事ある顔だな!…んーと…弾平んとこの…確か名前は……勇二!……いや、勇三?…」
「…俺は勇一だ!!」
「…あはは!そうだったな!わりぃわりぃ!」
人の名前を間違えても悪びれもしない…しかもその間違え方も明らかにわざとらしい!…陸王のそんないい加減な様子に完全に頭にきた俺は興奮気味に陸王に詰め寄る。
「…おい!陸王!俺の事バカにしてんのか?!」
「はは…そうじゃね〜よ〜…まぁそう怒んなって…」
陸王が半分笑いながら怒りに燃える俺をなだめていると…校門の方から大きな声が聞こえてきた。
「陸王さ〜ん!待って下さいよ!…」
陸王を追って慌てたように走ってきたのは確か……陸王の仲間の白川ってヤツ。
白川は勢いよく陸王に走り寄り…何やら責め立てている。
「陸王さん!いつデートしてくれるんですか?!約束したじゃないですかぁ……」
白川は少し涙を浮かべながら陸王に詰め寄る…当の陸王は…参ったな……という顔…
どうやら陸王と白川の痴話喧嘩らしい…
…なんなんだコイツら……こんな事に巻き込まれたら面倒だぜ…早く帰っちまおう…
俺はそんな二人に呆れてその場を立ち去ろうとする。
すると…それまで白川に捕まっていた陸王が俺の側にスーっと近寄り…馴れた様に俺の肩に手を回すとそのまま俺の身体を自分の方にぐっと抱き寄せた。
つまり……俺は…陸王に片手で抱き締められる形に…
咄嗟の事にあっけに取られた俺は陸王にされるがまま……
「すまん!白川!今日はこいつ…勇一とデートの約束してたんだ!わりぃな!」
…デ…デ…デートだぁぁぁ?!……
「…なっ…お前!何言って…」
全くの予想外のその言葉に俺はかなり動揺してしまう…慌てて否定しようとした俺の言葉を遮る様に、陸王はそっと耳打ちした…
「…頼む!…そうだって言ってくれ…」
……事の成り行きはイマイチ解らないが、どうやら白川に迫られて陸王が困っているらしい……
こんな痴話喧嘩に巻き込まれるのはまっぴら御免だが、何となくそうも言えない雰囲気で……
白川の真剣な顔…陸王の困った顔…そこに何故か加わる俺……なんとも言えない気まずい空気…
…ううっ……一体なんなんだよ…ここでそうじゃないと言ったらなおさら面倒な事になりそうじゃねーか……
それだけは絶対避けたい俺はとりあえず陸王に話を合わせる事にした。
「……えっと…お前…白川だっけ?…すまねぇな!そうなんだな〜…陸王は俺とデートの約束があるんだな〜…」
俺の精一杯の名演技……顔がひきつる……
「…そんな……陸王さん……」
可哀想に……俺の名演技にすっかり騙された白川はガックリと肩を落としている。
「……って事で…白川わりぃな!…さぁ!勇一、行こうぜ!」
陸王はそう言うと俺の手首をぐっと掴んでこの重苦しい雰囲気を抜け出す様に足早に歩き出す…俺も何も言わずに付いて行った。
陸王に手を引っ張られながら、ちらっと後ろを振り返ると…恨めしそうにこっちを見ている白川の姿が…
なんだか可哀想にも思ったが……仕方ない。俺のせいじゃねーし!
陸王は俺の手を掴んだまま暫く歩き、白川が見えなくなるとようやく立ち止まった。
「いや〜…わりぃな!白川にしつこくされちまってよ…ははっ!」
「……おい…俺を巻き込むんじゃねーよ…」
「いや〜…本当に悪いと思ってるぜ〜…」
言葉ではそんな事を言っているが…ニヤニヤ笑いながら俺の肩にぽんっと手を置く陸王…とても本当に悪いと思ってる様には見えない。
…陸王のヤツ…白川とデートの約束なんてしてたのかよ…まったく……本当に軽いヤツだよな…
「…陸王、お前は白川みたいのがいいからデートの約束したんじゃねーのか?…」
「…まぁ〜あいつも可愛い顔してっから嫌いじゃねーけどな……」
「…じゃあいいじゃねーか…デートしてやったって…」
「……そーだけどよ……でもあいつはちょっと乙女過ぎてな〜……俺はどっちかっていうと…お前みたいな適度に可愛いのが好みっつーか……」
「……はぁ?……俺が適度に可愛いだぁ?!…」
「ははっ…冗談だろ!マジになんなよ〜…」
あ〜もう!本当に陸王はノリが軽い!
……こいつは一体何を考えているのか…真面目な俺にはこいつの思考は到底理解出来ない。
いつも不真面目でいい加減…ノリは軽く適当で、どこまでが本気か嘘かわからない……俺は陸王のそんな所がとにかく苦手…俺の陸王に対する評価は最悪だ。
憮然とする俺に構わず、陸王は馴れ馴れしく肩に手を回してくる…
「…ところで勇一…これからどうする?」
「…っはぁ〜?どうするって……どーもねーだろ!」
「そんな怒んなって!せっかくだからさ、ちょっと遊びに行こーぜ!」
「…はぁ?!なんで俺がお前と……」
そこまで言いかけて、俺はふと思い付いた……
…待てよ…一緒に行けば、こいつの弱点がなんかわかるかも…
陸王は全く掴み所のないよくわからないヤツだ。
唯一はっきりしてるのは…力のみを信じ、力こそ全てだと思っている…という事。
実際に陸王のパワーは恐ろしいほど凄まじい。
荒崎では陸王の存在はカリスマ的……
鍛えぬかれた逞しい身体…そこから放たれるパワーも半端じゃない…仲間からの信頼も絶大で、主将としての統率力もある。
そんな陸王は俺から見ると完全に無敵…弱点なんてまるで無い様に見えてしまう。
でも…陸王もただの人間だ。きっと弱い部分があるはず…
一緒に過ごせばそんな無敵の陸王の弱みを握れるかもしれない…そう出来たら面白いじゃねーか!!
…俺は一瞬でそう考えると、陸王の誘いに乗る事にした。
「……まぁ…お前がそこまで言うなら…付き合ってやってもいいぜ……」
「マジで?!じゃあさ…俺の行きてーとこに付き合えよ!」
「………別にいいけど…」
「よし…決まり!行こうぜ勇一!」
「…あ…あぁ…」
俺と陸王は並んで歩き出した。
俺の隣を歩く陸王はニコニコして何だかやたら楽しそうにしてやがる…
…なんだよこいつ…楽しそうにしやがって…本当によくわかんねーヤツだな……
俺は陸王と微妙に距離を取りながら陸王の後を付いていく…
こいつの行きたい場所って?………まぁ、どうせワルい仲間が溜まっているゲーセンかそこらだろう……
俺はいつもの陸王の様子からそんな風に軽く考えていた。
暫く歩くと陸王がふっと立ち止まって指を差す。
「……ここだぜ!」
陸王が指差した先……それは……
「ペットショップ?!!」
俺は思わず声に出してしまう……
そこはホームセンターに併設された大きなペットショップだった。
…嘘だろ?……こいつ…ここになんの用が……
荒々しい陸王と可愛い動物がいるペットショップがどうしてもどうしても俺の中で結び付かない…
何かの間違いでは……と陸王を見ると、戸惑う俺をよそに何だか妙に嬉しそうにしている……
「行こうぜ!勇一!」
大きな疑問に首を傾げる俺を置いて、陸王は慣れた様に店内へと足早に入って行く…俺も慌てて後を追った。
広い店内には処狭しと様々な犬や猫が展示されていた。可愛い動物を間近で見れるとあって、休日の店内は子供連れやカップルで賑わっている。
陸王は迷う事なく店内奥にある犬のゲージが沢山並んでいるコーナーへと歩いて行く……
「……なぁ〜…すっげー可愛いだろ!俺、動物好きなんだよな〜…」
陸王は満面の笑みで俺にそう言うと、しゃがんでゲージの中の可愛い子犬を構い始めた。
俺は陸王の意外な姿に言葉を失う…
「…ほら〜…勇一、見てみろ!こいつなんかすっげー可愛いぜ!」
陸王はあっけに取られて立ちつくしていた俺の手を引っ張って座らせると俺にニコッと笑いかけた。
その笑顔はいつもの陸王の威圧感溢れる顔とは全く違う無邪気な優しい笑顔…
しゃがんだ俺と陸王の目線は同じ高さになっていて…その陸王の優しい笑顔は俺のすぐそばに…
「……あぁ…そーだな……」
「な!」
俺は思わず陸王から目を逸らしてしまう…
俺は荒崎トップのワル…無敵の陸王の意外過ぎる姿にひたすら驚いていた……
いつもの荒々しさや鋭さは欠片もない…ただ素直に純粋に、無邪気な笑顔で自分の好きなものを可愛がる…陸王の周りを取り巻く空気さえ一気に穏やかになってしまった様だ…
陸王と二人っきりなんて初めての事…俺の中に陸王の弱点を掴みたい…という小さな企みがあるためとはいえ、この二人きりという状況に俺はかなり緊張していた。
しかし…陸王のその驚くほどの無邪気な優しい笑顔…そんな陸王を取り巻く穏やかな空気に触れた俺…
それまでガチガチに俺を縛ってきた緊張がじわじわと溶けていく……
正直言うと…俺も動物が嫌いではない。
陸王の無邪気な笑顔が移ったのか、可愛い子犬達に俺の目尻も思わず下がってしまう……
俺は先程までの陸王の弱点を掴むという企みもすっかり忘れ、陸王と一緒に可愛い子犬達を眺めたり構ったり……
…なんか…マジでデートしてるみてーだな…
なんてちょっと思ったりして…
「……なぁ、勇一…こいつ、なんか弾平に似てねーか?」
そう言った陸王の指差すゲージを見ると…そこらじゅうを跳び跳ねて、おもちゃを噛んだり暴れたり…とにかく落ち着きがない小さな柴犬の子犬がいる……
「……くくっ…似てる…弾平みてー…」
「だろー?」
本当だ…うちの問題児、弾平にそっくり!
俺と陸王は思わず顔を見合わせて笑ってしまう……
「陸王、こっちのヤツも可愛くね?」
「おー!本当だ!すっげー可愛い!」
男二人が小さな子犬に興奮する姿は、周りから見たら少し変だったかもしれない……
俺も身体は大きい方だが、特に陸王は俺よりかなりゴツイ。身体が筋肉質でデカイだけでなく、普段は目付きも鋭いうえ威圧的も半端ない。ワルのオーラが滲み出てるような感じさえする……
噂で伝わる陸王の悪い武勇伝は数知れず……
その陸王が主将を務める荒崎闘球部も荒々しい闘球スタイルで有名だ。
メンバーも全員悪そうなヤツばかり。
試合をすれば、相手チームの何人かは必ず病院送り……怪我を恐れて試合を拒むチームも多い…もちろん周りからの評価は最低最悪。
そんなチームをまとめるのが主将の陸王だ。
その最低最悪なはずの陸王の意外な一面……
そんないつもの陸王とは全く違うあどけない無邪気な優しい笑顔に、俺が先ほどまで抱いていた陸王への警戒心は一気に溶け…昔からの友達の様に陸王と接していた。
お互い昔飼ってた犬の話なんかしながら店内を進んで行くと、陸王は店の一角に据えられた一段と広いージの前で歩みをとめる……
「……あれ?あいつがいない……」
見ると、そのゲージの中は何かがいた様な痕跡はあるものの空っぽになっている。
「なんだよ?」
「……いや…ここに犬が一匹いたんだ……」
陸王はそう言うと、近くを通った店員に声を掛ける。
「…ここにいた犬は……?」
「あ……この犬は先週、購入されたお客様がいまして…」
「……どんな人が買ったんだ?」
「ご夫婦でしたよ。私が対応したんですがなんだか大変気に入ってらして、大事そうに連れて帰られましたよ。」
「……そうか……」
人の良さそうな若い女の店員は詳しく事情を教えてくれた。
「どうしたんだ?」
「ここにいた犬……なかなか売れなくてな。もうすっかり大きくなっちまって…顔も何だか不細工なヤツでさ…でも、愛嬌があってすげー可愛かったんだ。俺にも妙になついてて…………そうか……飼って貰えたのか……」
ゲージを見つめる陸王の嬉しそうな…少し寂しそうな優しい笑顔……
さっきの陸王の無邪気な笑顔に完全に警戒心を解かれていた俺の心……そこにその優しい穏やかな顔がズドンと素直に入ってきて……俺の胸が一瞬ドキッと高鳴る……
…何だよ…陸王のヤツ…可愛い顔しやがって…
陸王の優しい笑顔を “ 可愛い " と意識した途端…俺は妙に恥ずかしくなってしまう…動揺して胸がドキドキと高鳴り、顔が急激に赤くなるのが自分でもはっきりわかっちまった。
そんな俺に気が付いた陸王……
「…ん?勇一…どうした?なんか顔があけーぞ…」
「…なっ…なんで……もねーよ!!…さっ!行こうぜ!」
俺は動揺する心の内を陸王に悟られない様に、慌てて陸王の先を歩き出した。
長い時間をペットショップで過ごした俺達は店を後にすると、近くのバス停に来ていた。
時刻は夕方…陽も随分と暮れて辺りは薄暗くなってきていた…
陸王に連れられて思ったより遠くまで来てしまった俺は、さすがにバスに乗らないと帰れない。
俺と陸王は肩を並べて停留所のベンチに座りバスを待つ……その距離は、昼間よりかなり近くなっていた……
「……陸王…なんか俺…かなり意外だったんだけど……」
「ん?なにがだ?…」
「いや…お前の行きたい場所って…俺はてっきりゲーセンとか、そういう所だとばっか思ってて…」
「ははっ…そんなとこ行かねーよ。行ったってケンカ売られるだけだろーしな!荒崎の陸王ってだけでケンカ売ってくるヤツも多いんだぜ…ひどくね?俺はなんもしてねーのによ!不思議だろ〜?」
…そりゃそーだろ!…こいつ…自分の放つ威圧的がわかってないのか?この恐ろしいほどの威圧感…ケンカ売られてもなんも不思議じゃねーよ!
陸王は納得がいかないといった顔で不満そうにしている…自分の存在感をまったく理解していない…そんな陸王を俺はすごく可愛く思っちまって……思わず笑ってしまう……
「…ん?なんか可笑しいか?」
「いや!……なんでもねーよ……くくっ…」
「なんだよ…ゆーいち………なんでもねー事ねーだろ?そんな笑って…」
「…なんでもねーって!」
半分ふざけた様に話していた俺だが…次の陸王の一言に心底驚いてしまう…
「…まぁ〜俺も売られたケンカは買っちまうタチだしな…でも、派手にケンカなんてして警察沙汰にでもなったら俺達のチームは出場停止くらっちまう……そんな事したら一生懸命やってる仲間に迷惑掛けちまうしな!」
「…………」
……こいつは真剣に闘球に取り組んでいる……
陸王は主将としてチームの事…仲間の事を真剣に考えているのだ。……確かに荒崎小の闘球スタイルは荒々しく暴力的だ……でも、俺達と形が違うだけであって本人達は真剣なのだ。逆に、そうでなければあんなに自分達を痛め付ける練習を続けていけるはずがない……あれが陸王達の追い求める闘球スタイルなのか……
数多くの武勇伝をもつ陸王。
俺は正直、その殆どが陸王からけしかけているもんだとばかり思っていた…でも…どうやらそれは俺の偏見だったらしい…
…こいつ…もしかしたら誰より闘球に真剣なのかも……
俺は陸王の優しい横顔を見つめ…そんな風に思った。
陸王はそんな俺に気付くとそっと耳打ちする…
「なぁ、勇一…今日の事は内緒…な!」
「……どうしてだ?なんで内緒なんだ?」
「…だってよ…荒崎小の陸王が犬猫を可愛がってたなんて……イメージと違い過ぎてはっきり言ってヤバいだろ!」
「あははは!まぁ〜確かにな!」
「……笑い事じゃねーよ!」
「……すまんすまん!」
陸王は拗ねた様な顔をしている……
そんな事を真剣に心配している陸王が、俺は妙に可愛かった。
「約束するぜ!誰にも言わねーよ!」
「…じゃー……俺と勇一の二人だけの秘密な!」
陸王はそう言うと先程まで子犬に向けていた様な優しい笑顔を俺に向け…俺の髪をそっと撫でた…
幼い頃は弟の頭を撫でたりもしたが……俺自身が誰かに髪を撫でられるなんて滅多にない事………
なんだかすごく心地よくて……陸王の優しい眼差しと大きな手のひらから伝わる温もりに激しく動揺しながらも、俺は陸王にされるがまま……
顔が真っ赤になってるのが自分でもよくわかる…
そっと見た陸王の顔もなんだか赤くなっていて…
「…なぁ…勇一…その……」
「………ん?」
陸王は言葉に詰まっている…
「…なんだよ…はっきり言えって!」
「…あ…あのさ!…その…良かったらまた俺に付き合ってくんね?」
「…………え?…」
「いや…何かさ…今日お前といてすげー楽しくて…こんなに楽しいの初めてで………良かったら…また俺と遊んでくれねーかな〜って!……」
陸王のすごく照れた顔…
その可愛い顔に俺も妙に照れてしまい…つい素っ気なく言ってしまう…
「……あ…あぁ…暇だったらな!」
「なんだよ…つれねーなぁ〜」
陸王はそう言うと俺のそばにぐっと近付く…
陸王の逞しい大きな身体が俺のすぐそばに…体温すら感じられる様なその距離に俺の胸は一気にドキドキと高鳴る…
「勇一……」
優しい声で俺の名前を呼んだ陸王…
あっという間に俺に顔を近付けると俺の頬を両手で優しく包んでそっと撫でる…
陸王の男っぽい優しい顔が俺のすぐ目の前…優しい笑顔で俺を見つめる陸王の穏やかなきれいな瞳…その瞳に捕らえられた俺はもう動けない…
…うっ……陸王……すげーかっこいい……
一歩も動けない俺に…陸王の唇がそっと俺に近づく……
思わず目を瞑ってしまった俺の頬に陸王の唇らしきの温もりと感触が……
「……うっ…うわぁっ!!なっなにを!!…」
「…俺…お前の事好きんなったみてーだからな!」
「…………」
「あ、バス来たぜ!」
陸王の突然のキスに固まる俺を残し、陸王はニヤッと笑って席を立つ……
「…じゃーな!」
そう言うと、軽く手を上げて振り返らずに行ってしまった……
俺は………完全に…………フリーズ……
バスが到着し、パッとドアが開く…
「……乗らないんですか?」
運転手の声にハッと我に返り、慌ててバスに乗りこんだ。
一番後ろの席に座り振り返ると…まだ陸王の歩く後ろ姿が見える。
「まったく……なんてヤツだ……」
陸王に奪われた俺の頬がジンジンと熱く疼く…
…また二人で会えたら、次はどこへ行こうか……
俺はそんな事を思いながら窓の景色をぼんやり眺め、シートに深くもたれ掛かった……
*若干BL気味に書いてみました〜なかなか可愛いCPだと思うのは管理人だけでしょうか…素直な陸王に真面目な勇一…身体も大きいガチガチCPですが、対等…な感じが良くないですか〜?
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