二人の秘密〜story3〜
「陸王……な〜にやってんだよ…」
「…ははっ…勇一…いい眺めだぜ〜…」

ここは陸王の部屋…
俺は陸王に押し倒され…陸王はその俺に馬乗りになって俺の両手を強く掴んで床に押し付け、身動きを封じている…

何でこんな事になっているかというと……
今から約一時間前。

俺は恋人の陸王と久し振りのデートの約束をしていた。
お互い学校や部活、練習試合なんかで忙しく…まともに二人っきりで会うのは実に1か月振り。

それでもお互い会いたくて仕方なくて、学校帰りに待ち合わせて少しだけ会ったりしていたが…学校区も違う俺達にはゆっくり過ごせる様な時間もなく…いつもほんの少しだけ話が出来る程度。
…今日は一日ずっと陸王と一緒に過ごせる…
話したい事も相談したい事も山の様にある。それよりなにより…陸王と同じ時間を過ごせる…
俺は陸王とずっと一緒に過ごせる今日をとても楽しみにしていた。

待ち合わせ場所はいつも陸王の家の近くの公園。
どこに行くか何をするかはいつも二人で順番に決めていて…今日は陸王がそれを決める番。
約束の時間通りに現れた陸王…

その軽い性格や俺様で威圧的な発言からか、かなりいい加減なヤツというイメージの陸王だが…実際は遅刻する事は殆んどないし約束を破る事も全くない。言葉遣いは悪いが挨拶なんかもちゃんとして…礼儀やけじめもしっかりとしている。

…陸王のヤツ…案外真面目なんだよな…
いい加減で軽いイメージの陸王の本当の姿…そのギャップに俺は完全にやられちまって…そんな所も俺が陸王を好きな理由の一つだ。

「よぉ!勇一…待ったか?」
「いや、俺も今来たところだ…」
陸王は俺にニコッと笑いかける。

…陸王…すげー可愛い……
いつもの凛々しくて大人っぽい陸王もかっこよくて好きだけど…俺だけに向けられるこの笑顔がすげー可愛くて…俺もつられてつい笑顔になっちまう。
俺は待ち遠しかった陸王に会えて本当に嬉しくて…にやけそうになるのを必死で堪える…


俺と陸王が付き合いだしてから早4ヵ月…
初めて一緒に過ごした時に、夕方のバス停で俺を好きだと言った陸王…その後も色々あったが俺もその気持ちに答えて以来…俺と陸王はれっきとした恋人同士だ。

お互い学校に部活に忙しい毎日だが、俺達は練習や試合のない休日なんかに時間を見つけてはこんな風に会ってデートを重ねていた。
陸王はもちろん男っぽいが、俺も決して陸王に恋する可愛い乙女って訳じゃない。
だから、デートというよりはどっちかって言うと男友達との遊びの延長みたいな雰囲気ではあるけど…
それでも一応気持ちを確認しあっている二人のデートだから…少しは恋人らしく手を繋いだり…抱き締めたり…もちろんキスなんかもしたりして…
俺は陸王と過ごすこの時間に、楽しさと安らぎを感じていたり…俺にとって何より大切な幸せな時間だったりする。

みんなが恐れるワルで有名な荒崎闘球部主将の陸王だけれど…俺といる時の陸王は大人っぽくて男前で、穏やかな笑顔の可愛い優しいヤツ。
そして俺の大切な大切な愛しい恋人…
恥ずかしいからあの告白以来陸王に言った事はないけど…俺はそんな可愛くて優しい陸王の事が死ぬ程大好きだ。
このまま…陸王とずっとずっと一緒にいたい…なんて思う俺は…やっぱり少し恋する乙女なのかもしれねーな…


「…で、今日はどうすんだ?なにするか決めんのは陸王の番だぜ。」
「……今日はさ〜…勉強しようぜ!前に俺に教えてくれるって言ってただろ?」
「…えええーー?!…雪でも降るんじゃねーか?!……お前が勉強なんて…」
「いや〜…今度のテストで赤点取るとさすがにヤバイんだよなぁ〜…ははっ!」

…まさか…あの陸王が勉強するって?!……信じらんねー…なんか…なんか変だな……
俺を見ながらやたらとニコニコしてる陸王を見て俺は首を傾げる…

陸王は勉強がこの世で一番最低最悪に大嫌いだ。
学校の課題なんかも全くやらないし自習勉強なんてもっての他!テストはいつも最低点…本を読むのも嫌いで文字を見るのすらも大嫌いだ。
そんな陸王を見かねた俺が、今までどんなに勉強教えてやるって言っても…せっかくのデートなのに勉強するなんて絶対やだ…って言ってまるで聞かなかったのに…
…その陸王がまさか勉強したいなんて…大きな疑問に首を傾げる俺をよそに、陸王は妙に嬉しそうにしている…

「…お前…本当に勉強したいのか?…熱でもあるんじゃねーか?いや…頭でも打ったか?…」
「なんだよ…嫌な言い方しやがって…この俺が勉強するって言ってんだぜ?悪い事じゃねーんだからいいだろ?」
「…まぁ…お前がそう言うなら別にいーけどよ…でもどこで勉強すんだよ…図書館行くか?」
「いーや…教科書とか家だし、俺ん家来いよ!今誰もいねーからさ!」
「……あぁ…まぁ…お前がそう言うなら…」
「決まりっ!さっ!行こーぜ!勇一!!」

ニコニコとやたらと満面の笑みを見せる陸王は俺の手を取ると…半ば引っ張る様に強引に歩き出す。


そして……今に到る…



…なるほど…そーゆー魂胆か……
これが陸王の真意というか狙い…俺に馬乗りになっている陸王に俺は事の次第を理解して納得。
そんな俺にお構いなしに俺を甘く優しい視線で見つめる陸王…

「なぁ〜…ゆーいち…俺達付き合ってもう4ヶ月も経つよな?…もうそろそろいーだろ?…お前の事好き過ぎて…俺もう限界…」
陸王は甘く囁くと俺の首筋にそっとキスをする…

…陸王は俺とやりたい………
俺もなんとなくだが陸王の気持ちには気付いていた。

最近の陸王はデート中もやたら二人きりになりたがったり…そしていざ二人きりになると妙にベタベタして身体をくっ付けてきたり…隙を見て抱き付いたり…とにかく一時も俺のそばを離れない。
そしてキスをすればいつも必ず舌を入れてくる。
それは部屋だろうが外だろうが場所なんて一切お構いなしに…それで陸王の強引さにキレた俺に時々殴られたり。

それでも懲りずに陸王は俺への愛情表現を諦める事なくガンガンと激しく続けていた。
何とかして俺とそんな甘い雰囲気に持ち込みたい…そんな陸王のいじらしい一生懸命な姿が俺には妙に可愛くて思えてしまって…その陸王の高まる一方の「俺とやりたい気持ち」をなんとな〜く上手くかわしながら、その気の陸王を焦らしていたのも確かだ。

恋人同士の愛情の確認行為…ここまでは男同士の俺と陸王でも簡単に出来る事。
でも!…俺の知る限り、その本当の愛情行為の最後…つまり×××は男と女の間でしか出来ない。
…陸王…俺達はどうしたって男同士だぜ……男同士の俺達にやれる訳がない!
そりゃあ俺だって陸王が大好きだし、陸王をずっと俺だけのものにしていたいし…もし陸王と一つになれたらどんなに幸せか…なんて思う事もあるけど………こればかりは仕方ない。性別は変えられねーし。
俺とやりたくて一生懸命頑張っている陸王には悪いが…俺達の愛情表現はキスまでが精一杯だ。


俺に馬乗りになっている陸王は男っぽい甘い瞳で俺を見つめている…
「勇一ぃ…お前も男ならわかるだろ?…このお預け状態の辛さ…半端じゃねーよ…」
「…まぁな…わかんねー事もねーけど…」

…ふ〜ん……陸王は知らねーんだな…男同士じゃ出来ねーって事を…
俺はそんな一生懸命俺に迫る陸王が可愛くてつい笑ってしまいそうになる。
…可哀想だがいい加減教えてやらねーと…
俺は馬乗りの陸王の肩を掴むと少し上体を起こして陸王に優しく話し掛ける。

「陸王…いいか?よく聞けよ…」
「…なんだよ…」
「…俺は男だ。お前は女か?」
「なに言ってんだよ……俺も男に決まってんだろ?」
「そうだよな。お前も立派な男だよな。…あのな…こーゆー事は男と女がするもんだ。つまりな…男の俺と男のお前とじゃ出来ねーって事なんだよな…」
いつも俺の先を行く無敵の陸王より俺の方が上の立場に立っている様な感覚に…俺はちょっと得意顔。

すると陸王が大きな声で笑い出す。
「…くくっ!!はははっ!!」
「なんだよ!何が可笑しいんだよ!」
俺の言葉に急に吹き出した陸王に俺はカチンと来て思わず陸王を睨み付ける。
陸王はそんな俺にお構いなしにひとしきり笑うと俺の頬をきゅっと優しくつねった。

「勇一…お前本気で知らねーの?」
「…なにがだよ!」
「……男同士でもな…ちゃーんと出来るんだぜ…」
「えええーー?!…マジかよ…」
俺は陸王のその言葉に驚愕……そして顔が一気に赤くなる…
「くくっ…さすが勇一…その反応…すげー可愛いーんだけど…」

「……そ…そんな!…どーやって男同士でやんだよ…だって…無理だろ?!」
陸王は驚きの余り動揺する俺の耳元に口を寄せ、そっと小声で囁く。

「それが無理じゃねーんだよな……俺の可愛い可愛い勇一くんに教えてやるよ…あのな…お前の×××××にな…俺の××××を××て…それでな…ゴニョゴニョ…」
「えええーーーー!!!…俺のそんなとこにお前のそのデケーのを?!……痛てーだろ?!…ってか半端じゃなく痛てーだろ!!」
「…最初はちょっと痛いみてーだけどな…まぁ〜その内慣れるって!」
軽いノリの陸王とは反対に俺は更にがく然…

…俺の×××××に陸王のデカイ××××をっ?!!…無理無理無理無理!そんなの絶対無理だ!!そんな事…痛いなんてもんじゃねーだろー!!
男同士の陸王との×××を想像して俺は少し青ざめる。
そんな俺を見て陸王は意地悪く嘲笑う…

「くくっ…お前…今更青ざめてんじゃねーよ…」
「だって!お前が挿入る方だって事は…俺が痛い方なんだろ?!そんなのやだ!!」
「やだじゃねーよ!そうしねーとお前とやれねーだろぅが!」
「じゃあ俺が挿入る方になる!陸王…お前が女の方になれよっ!!」
「バカッ!!俺が挿入る方で勇一が挿入られる方だって決まってんだよ!」
「…そんなのなんで決まってんだよ!俺が挿入てもいーじゃねーか!」
「ダメだ!!俺がお前に挿入てーんだよ!…勇一…いい加減諦めろ!」
「無理!!絶対やだ!!そんな思いするぐらいならやらねーよ!」

…いくら男同士でもやれるとはいえ……そんなの恥ずかし過ぎる!そんな痛いのは俺には無理だっ!!
断固として納得しない俺に、陸王は呆れ顔で吐き捨てる様に言い放つ。

「しっかしお前は本当に意気地がねぇーなぁ………確かお前って長男だったよな?やっぱ長男は甘ったれの意気地無しだなぁ〜…それでも兄ちゃんかよ!こんな根性無しの兄ちゃん持った勇二が可哀想だぜ…」
陸王の俺を馬鹿にした様な妙に意地悪な言い方…
その言葉が一気に俺の怒りに火を付けちまい…俺の怒りがメラメラと沸き上がる。完全に頭に血がのぼった俺は冷静さの欠片もなく陸王に詰めよって攻め立てた。

「はぁ?!…陸王お前なに言ってんだよ!!ふざけんなっての!!…なんでお前にそんな風に言われなきゃなんねーんだよ!!…お前だって三兄弟の末っ子の甘甘な甘えん坊じゃねーか!…兄ちゃん二人に相手にされなかったからって俺にヤツ当たんなよ!!」
…まさに売り言葉に買い言葉…怒りに我を失った俺は…なにも考えずつい陸王の兄弟の事を出してしまった…
すると途端に陸王の顔から笑みが消え…表情が曇る。


「…あいつらの事は言うな!!」
陸王は大きな声で言い放つと俺から降りてプイッと顔を背ける…そして俺に背を向けて窓辺の近くにドサッと腰をおろした。



…あ……しまった…俺は言ってはいけない事を言っちまった…
俺は陸王の心の地雷を完全に踏んじまった…

陸王はあまり自分の事を積極的に話す方ではないが…陸王の家族の事は一度だけ聞いた事がある。
陸王は男ばかりの三人兄弟の末っ子。
上の兄二人は陸王とは反対に素直で勉強の出来る優等生…とても出来が良く、幼い頃から両親から期待され溺愛されて育ったらしい…そんな兄と違って不出来な自分はなかなか両親に認めて貰えず、期待もされず…ずっと寂しい思いをしてきたと…そして、それは大きくなった今でも続いているという…

…あの家には俺の居場所なんてねーんだよ…
そう言って初めて俺にその話をしてくれた時の陸王の顔…それはすごく悲しく切なそうで…
いつも己を信じ自信に満ち溢れ、凛々しく颯爽としている陸王とは全然違う弱気な表情…あんな陸王を見るのは初めてだった。
俺は無敵の陸王の持つ他人にはなかなか見せない繊細な心…いつも隠している内面の弱さに初めて触れ…そんな弱さを持つ陸王をすごく可愛くてすごく愛しく大切だと思った。
…陸王は俺に自分の弱さ全てを俺に晒け出してくれた。
それは俺を心から信頼している証であり…俺を愛しているという証…
俺はその時、そんな陸王の持つ繊細な心を…そんな陸王を…俺がずっとずっと守って行くと決めたんだ。

俺はずっとその時の陸王の悲しい顔や辛い声を忘れられないでいたのに……陸王の一番触れてはいけない事なのに……いくら頭にきたとはいえあんな風に言ってしまって…

…あ〜…俺はなんて事を言っちまったんだよ…
俺の胸を激しい後悔が駆け巡る中、俺は起き上がって陸王にそっと近寄る…

「…ごめん……陸王…」
そう言って覗き込んだ俺の目に映った陸王の顔…それは俺が今まで見た事のない拗ねた子供の様な幼い顔…
まるで足りない愛情を欲しがる幼い子供みたいな表情に…俺はぐっ…ときちまう…

「…あいつらの事は言われたくねー…」
「陸王……」
一人言の様に小さく呟く陸王…俺は思わずそんな陸王をそっと優しく抱き締める…

「俺…お前の兄弟の事知ってんのに…あんな言い方して…ごめん。」
陸王は謝る俺の腕をぎゅっと掴んで、すがる様な潤んだ瞳で俺を見つめる…

「…勇一…俺の事かわいそーって思う…?」
「…かわいそうっていうか…その……」

「じゃあ…慰めてよ…」
そう言うと陸王は甘えた顔で俺を強く抱き締めてそっとキスをする…
そのキスは段々と激しくなり…あっという間に陸王の舌が俺の中へ…
陸王の舌は俺の舌をねっとりと絡めて離さない…そして唇に何度も何度も激しく吸い付いてくる…

「…んんっ……」
その甘く激しいキスに俺の唇の隙間から淡い吐息が漏れでる…
まるで俺の愛情を求めている様な陸王の激しいキス…
それに答える様に自分の中の陸王への愛情がガンガンと一気に高まり、俺のその陸王への大きく深い愛情が陸王の唇も激しく求めてしまう…

…お互いの愛情を貪る様な長く激しいキス……
陸王はそっと唇を離すと潤んだ瞳で俺を見つめ…唾液で濡れた俺の唇を拭うと、そっと俺に抱き付く…
いつもの荒々しく逞しい姿とはまったく違う…そこはかとない儚さすら感じる陸王…俺はそんな陸王が切ない程可愛くて愛しくて堪らなくて…
陸王が今にも俺の目の前から消えてしまいそうで…精一杯の力で陸王を抱き締めた。

「…り…陸王…」
「……なんだ…」
「その…お…お前には俺がいる!…俺がいるから!!…だから……大丈夫だからっ!!」
「…勇一……」
俺は陸王を抱き締めて必死に叫ぶ…
そんな俺の様子に驚く陸王…しかし、その表情はすぐに穏やかさを取り戻し……陸王は俺の頬を優しく撫でて俺をしっかりと見つめニコッと微笑んだ。

「…ありがとな…勇一……」
俺の言葉に安心した様な穏やかな優しい笑顔…俺はそんな陸王が堪らなく愛しくなっちまって…一気に胸がドキドキと高鳴って…俺の胸に陸王への深い愛情が込み上げて溢れて仕方なくなって…
……陸王と…一つになりたいって………俺の本能が囁いて…

「……り…陸王……俺…いいよ……ベット…いこ…」
「……え?…」
「だからっ!…陸王と……その…」
「……勇一?…」
「お前と一つになりたい!!って言ってんの!…」
「……」

突然の俺の言葉に陸王は驚いた様に俺を見つめていたが…すぐになにも言わずに立ち上がると俺の手を引いてベットに連れていく…俺をベットに乗せるとあっという間に俺を押し倒し…優しく穏やかな眼差しで俺を見つめる…

「…いいのかよ……」
耳元で囁く陸王の優しい声…その声に俺は身体の奥がゾワゾワと震え…それが身体中を一気に駆け巡るのを感じた。
陸王はなんともいえない男っぽい甘く優しい顔で俺の髪をそっと撫でる…全身をゾワゾワに支配された俺は頭が真っ白になっちまって…頷く事しか出来ない。

「ゆーいち…怖い?」
「………少し…」
柄にもなく身体が震えてくる。
陸王はそんな俺を優しく抱き締める…

「大丈夫…勇一にも俺がいる……だから大丈夫だぜ…」
そう言うと陸王は俺に深く深く口づける。
重なりあう陸王の身体から、陸王の熱い体温と激しい鼓動が伝わってきて…俺の身体から力がどんどん抜けていって…その代わりに陸王への愛情がどんどん俺の心を満たして溢れていって…

「勇一…愛してるぜ……俺の事もいっぱい愛してよ…」
陸王の囁く甘い言葉…
「…俺も…陸王の事すげー愛してる……」

陸王の唇が俺の首筋を優しくを伝う…
俺は陸王の溢れる愛情を感じながらその淡い感触に身を任せ、そっと目を閉じた…




初めての陸王との甘い行為が終り………
俺と陸王はベットで互いに寄り添う…俺にぴったりとくっついている陸王はすやすやと安らかな寝息をたて、穏やかな顔でぐっすりと眠っている…

最初にひどい痛さを想像していたせいか、実際の陸王との初めては思ったより痛くなくて。
それより陸王の俺への大きな愛情が俺の身体と心にひしひしと伝わってきて…俺もそれに心底満たされて…なんかすごい幸せだったんだよな…恥ずかしいけど最後には俺もかなり気持ちよくなっちまったし…
俺は隣で安心した顔で眠る陸王の顔を見つめ、さっきまでの陸王との甘い行為を思い出す…

…こいつ…緊張した顔してたな…
俺は初めてだからもちろん緊張していたが…陸王もすごく緊張していた。
俺に伝わる陸王の胸の鼓動はすごく激しくて…俺に触れる手も汗をかいていて…そして…
初めて俺に挿れる時に…陸王の身体が少し震えていた…
こんな事にも慣れていて、自信満々の陸王だと思っていたが…そうじゃなかったらしい…
俺はそんな陸王がすごく可愛くて…その愛情がすごく嬉しくて…陸王との行為の間ずっと幸せを感じていた…


俺との初めてに緊張して疲れたのか、俺にしっかりとしがみついて眠っている陸王…
いつもの荒々しい陸王とはまるで違うそのあどけない柔らかい寝顔…
俺はそんな子供みたいな陸王が堪らなく可愛くて愛しくて…その唇にそっとキスをする…
俺のキスに気が付いたのか、陸王が少し目を開いた。

「……んっ…ゆー…いち?…」
「…まだ寝てろ……俺が側にいるから安心しろよ…」
俺は陸王を優しく抱き締めて髪をそっと撫でる…
「………ん…」
再び目を閉じる陸王…すぐにまた穏やかな寝息が聞こえてきて…寄り添う俺の身体に陸王のあったかい体温と力強い鼓動が伝わってくる…

俺には…陸王の深い深い心の傷を癒す事は出来ないかもしれない。
陸王の持つ悲しみや辛さ全部なんて俺は理解しきれないかもしれない。
過去を変える事なんて俺には出来ないし、過去の陸王の側にいてやる事も出来ない。

でも…そんな俺にも出来る事がある。
…陸王のこれからには…陸王の未来には…ずっと付き合っていける…ずっとそばにいてやれる。
陸王が辛い時や悲しい時…嬉しい時も楽しい時も…どんな時でもどんな事でも陸王と分かち合いたい…陸王のその繊細な心に寄り添っていきたい…ずっと…ずっと…

俺は陸王の優しい笑顔が世界で一番大好きだ。
いつも陸王のそばにいて二人で笑っていたい。
陸王にはいつもいつも笑っていて欲しい……それが俺に出来るなら……

陸王への深い愛情が俺の胸に溢れてきて…俺のすぐそばで穏やかに眠る陸王を思うと胸が苦しくなって…俺は柄にもなく涙が出ちまって…

…好き過ぎて涙が出るなんて……どうかしてるぜ…
俺は自分のこんな初めての感情に戸惑いながら…陸王が起きてしまわない様に静かに溢れる涙を拭った。


次の日…

「よぉ!勇一!待ったか?」
「いや…俺も今来たとこだぜ…」
「そっか…それなら良かった!」
いつも通り、俺との待ち合わせの時間に颯爽と現れた陸王はいつもの荒々しく自信に溢れた凛々しい陸王…

いつもと変わらない陸王の様子に、俺は昨日の陸王との甘い行為はもしかしたら夢だったんじゃないかと思ったりしたが…
今日も残る身体中の痛さと俺の後ろの穴にまだ陸王のモノが入ってる様な感覚……やっぱり夢じゃねーんだよな…


「なぁ…ゆーいち…昨日すっげー良かったぜ〜…」
陸王はニヤッと笑って耳元でそっと意地悪げに囁く…
俺は昨日の陸王との初めての甘い行為を思い出しちまって…一気に顔が真っ赤になっちまう…

「なに?お前照れてんの?!…勇一可愛い〜…」
「…照れてなんかねーよ!!」
真っ赤な顔で否定する俺にはなんの説得力もないけどな…

「…あ〜…勇一ん中すっげー気持ちよかったんだよなぁ〜…なんか……今日もやりてーなぁ〜…」
「バ…バカっ!勘弁しろよ!俺の身体が持たねーよ!!」
「…ははっ!そー怒んなってぇ〜…冗談だろ〜?」
「…お前のは冗談に聞こえねーんだよ!」
「そっかぁ?……でもすげー気持ち良かったから…またやろーな!」
「…バカッ!!そーゆー事デケー声でゆーな!!」
「ははっ…わりぃわりぃ!」
いつもの軽い調子の明るい陸王に俺は怒りながらもちょっと安心…

「陸王…今日はどこ行きたい?決めんの俺の番だけど、お前の希望も一応聞ーてやるよ。」
「…そーだなぁ〜…俺は……勇一と一緒ならどこでもいいぜ!」
「…バ…バカっ!そーゆー恥ずかしい事ゆーな!」
「恥ずかしいかぁ?…俺の本心なんだけどなぁ〜……」
「…ったくもう!」
…思いのままに言いやがって…まるで身体の大きな子供みたいだぜ…
俺は幼い子供みたいに愛情全開な陸王に少し照れながらも嬉しかったりして…
……俺は思わず呟く…

「…俺も……俺も陸王とだったら…」
「ん?なんか言ったか?」
「なっ…なんでもねーよ!」
「…変なゆーいちだな〜…まぁいっか!」
陸王は俺を見つめて優しくニコッと微笑む…いつも通りその笑顔につられて俺も笑顔になっちまう。

「まぁ〜…行き先は歩きながらぼちぼち考えようぜ!」
「…そうだな!そうすっか!」
俺と陸王は行き先も決めずに歩き出す…

「勇一…」
「…ん?なんだよ…陸王…」
陸王がふっと立ち止まる…俺も立ち止まって陸王と向かい合う…


「…俺と……俺と一緒に行こうな!」
「………あぁ!」

陸王はニコッと優しく笑って俺の手を取ると、いつも通りに俺の一歩先を歩き出す…俺もそれに遅れない様に付いていく。

俺はこんな風にずっとずっと陸王と一緒に歩いていく…
隣を歩く陸王の嬉しそうな顔をチラッと見て、俺は心に決めたんだ。





*う〜ん…なんて繊細な陸王…実は甘えたがりの三男坊の陸王と、それを受け止められるしっかり者の長男の勇一…という管理人の萌により生まれた小説です♪拙い文章力なんで大して表現出来なかったんですが…この二人の関係に萌えました…お互い男前なガチガチCPなんであんまり可愛く出来ないんですが、それでもCPらしくしてみました。
切なく儚い陸王…懐の深い大人な勇一…可愛い…
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