花火
「…なぁ〜夏といえばやっぱ花火だよな!今日の夜みんなで花火しようぜ!」

とても小学生の部活とは思えない格闘技の様な荒々しい練習を終えた帰り道…俺達の主将の陸王さんが言い放ったやたら小学生らしいこの言葉。
このなんとも言えない子供っぽい一言に俺達闘球部員の顔がひきつる…

…お…俺達…花火って感じかよ…
俺達全員が感じるものすごい違和感…

俺達の通う荒崎小学校は県内有数の荒れてる学校…つまりガラの悪い輩の集まりだ。その中でも俺達荒崎闘球部はすばぬけてゴツい面々が揃っている。
特に逆巻兄弟…こいつらは一体何者なんだと思ってしまうほどのゴツゴツさ。他にも滝…角田…どいつもこいつも一癖あるヤツラばかりだ。
そしてその俺達をまとめるのが主将の陸王さん…
陸王さんは荒崎一のワル。目付きも眼光も鋭くて、身体は筋肉質でかなりゴツい。でも男らしくて強くて逞しくて…みんなが憧れるすげーかっこいい俺達の主将だ!
そんな荒れる学校の特別ゴツい俺達……正直言って花火なんてキレイで華やかなもんなんて全く似合わないけどな…
違和感たっぷりの困惑顔で返事に詰まる俺達…そしてそれを怪訝そうな顔で見ている陸王さん…

「ん?…なんだ?みんな顔が暗いじゃねーか…どうした?」

花火をしたいと楽しそうに言い出した陸王さんに俺達が感じている違和感がバレてしまったら…それはマズイ!


陸王さんは時々こんな風に俺達を遊びに誘ってくれる。
俺達は誰かの家に集まったりみんなで出掛けたり…ゴツい集団がウロウロする姿は周りから見たらちょっと怖いかもしれないけど…俺はみんなが「仲間」って感じがしてすごく嬉しい。
いつも強くてしっかりしてる陸王さんだけど…実はかなりの寂しがりやなんじゃないか…って俺は思っている。もちろん陸王さんがそんな素振りを見せてる訳じゃない。でも…俺にはそう思えて仕方ないんだ。
陸王さんの仲間意識はすごく強くてなにより仲間を大切にしてくれる。
態度も口も悪い陸王さんだけど実は誰より寂しがりやで甘えん坊で…だからこそ俺達仲間をすごく大事にしてくれるんだろうな…なんて…
ただ強いだけじゃない…そんな弱さを持つ陸王さんもすごく好きだ。

仲間が大好きな陸王さん…もし俺達が花火に乗り気じゃない…ってわかったらきっとすごくガッカリするに違いない。陸王さんを悲しませるなんて…俺には無理だ!
俺は慌てて返事をする。

「あっ!い…いえ!…いいですね〜花火!やりましょう!」
「おー!白川!そうこなくっちゃな!」
「も…もちろんですよ!夏は花火ですよね!俺…花火大好きです!…な…なぁお前ら!」
俺の周りのヤツらはいまだに困惑顔…微妙な沈黙と違和感たっぷりな空気…俺の言葉に一度は明るくなった陸王さんの顔が再び曇る…
俺は慌ててすぐそばにいた滝に小声でそっと耳打した。

「…滝っ…バカっ…とりあえず返事しろよっ…」
「あっ…ああ…わりぃ…」

「い…いいですね!陸王さんやりましょう!」
「おー滝!お前もやるか?」
「当然ですよ!夏は花火!…み…みんなもやるよなぁ〜…なぁ!」
滝は周りのヤツラをジロッと睨みつける…
そんな滝の鋭い眼光から放たれる威圧感に押され…逆巻兄弟も他のヤツラも慌てて返事をした。

「…オ……オス!!」
「よしっ!じゃあ〜決まりなっ!」
みんなで花火をする事になってなんだかすごく嬉しそうな陸王さん…滅多に見せない満面の笑みだ。

…陸王さん…すげー嬉しそうに笑ってる…
花火なんて全然ガラじゃないゴツい荒崎の俺達だけど…陸王さんがこんなに喜んでくれるならまぁいいか…なんて思ったりして…


時間は午後7時半。学校近くの河原の土手に集合。花火は各自持参。
話はあっという間にまとまった…………はずだった…

…なっ…なんだ…この状況はっ…!!

約束の7時半…俺は集合場所の土手でえらく動揺していた。
おかしい…これは絶対おかしい!…どうして俺と陸王さんしかいないんだよっ!
河原の土手には俺と陸王さんの二人だけ。他には誰も見当たらない…
確かに俺の所に逆巻兄弟から急に花火に行けなくなったという連絡は来ていた。でも…荒崎闘球部にはもちろん他にも部員はいる。
…滝は?!角田は?!…他のヤツラは一体どうしたんだ?!


「り…陸王さん…他のヤツラは…ど…どうしたんですか?…」
「…ん?滝から連絡があってな〜みんな急に来れなくなったって……もしかして逆巻もか?」
「あ…はい…俺の所に連絡ありました…」
「…そうか…まぁ仕方ねぇな…急だったしな!」
すごく残念そうな陸王さん。みんなで花火をするのをあんなに楽しみにしてたのにちょっと可哀想だな……なんて思いながら……辺りを見回した俺はふと気づく…

…ん?…誰も来れないって事は俺と陸王さんの二人だけ?!…まさかの二人っきり?!…ど…どうしよう…陸王さんと二人っきりなんて…

…ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ…
陸王さんとの二人っきりなんて滅多に無い事。この二人だけの空間を意識した俺の胸が一気に高鳴り…緊張が喉まで迫って妙に息苦しい。

…うわっ…すげー緊張する…どうしよう…
とにかく落ち着こうと思えば思うほど激しさを増していく俺の胸の高鳴り…
こんなに緊張して動揺してしまって…このままじゃ俺はどうにかなってしまいそうだ。

……俺はこの二人っきりの空間に耐えられるのか?!…む…無理かも…
陸王さんと二人っきりなんて…つい弱気になってしまう俺…
いつもは陸王さんといる時は他の部員も必ず一緒。たまには二人っきりになれたらいいな〜…なんて思っていたけど…いざそうなると緊張が身体中を縛り付けて……すごく苦しい。
…そ…そうだ!陸王さんだってきっと俺だけじゃつまらないはず…
弱気な俺はこの状況にちょっと逃げ出したくなってしまう…

「…ど…どうします?俺だけしかいないんじゃ…今日はやめますか?また別の日にすればみんな来れるかもしれないし…」
「えー!なんだよ白川…帰んのか?せっかく来たんじゃねーか!俺と花火やろうぜ!」
「…えっ?!」
俺だけなんて物足りないだろう…なんて思っていた俺は陸王さんの言葉に驚く。

「…で…でも…俺しかいないし…それじゃつまんないでしょ?…」
「つまんなくねーよ!いいじゃねーか…お前がいれば十分だよ!俺と花火しよーぜ!なぁ白川!」
陸王さんは俺にニコッと笑いかけてくれる…その可愛い笑顔に俺の胸がきゅーーん…と締め付けられ…
俺の動揺も緊張も弱気な心も…この笑顔に一気に掻き消される…
「…は…はいっ!!」

こうして思いがけず陸王さんと二人っきりの甘い時間を過ごす事となった俺
…ううっ…嬉しいけどすげー緊張する…


「陸王さん、いいですか?火ぃ着けますよ!」
「おー頼むぜ、白川!」
俺が陸王さんの持つ花火に火を付けると、花火は勢い良く色とりどりの火花を散らす…

「おー!!すげー!やっぱきれいだなー!!」
色鮮やかな花火の明かりに照らされた陸王さんの顔。
まるで幼い子供みたいな可愛くて素直な優しい笑顔…仲間にも滅多に見せてくれない陸王さんの無邪気な心からの笑顔…
可愛くて優しくて穏やかで…それでいて温かくて……俺は陸王さんのこの笑顔が大好きだ。

陸王さんは俺の憧れの存在だ。
強くて逞しくて男らしくて闘球もすごく上手くて…何をしててもとにかくかっこいい。そして陸王さんは強いだけじゃない。優しくて思いやりもあってみんなに信頼されていて…俺からみたら全部が完璧…これほど全てを備えた人には会ったことがない。

俺は陸王さんのそばにいたくて闘球部に入部したと言っても過言じゃない。
荒崎の練習はまるで格闘技…殴ったり殴られたりとかなりハードで激しい。部の中で一番身体の小さい俺はゴツい逆巻兄弟なんかにボロボロになるまで痛め付けられる事も多く…正直へこたれる事もたくさんある。それでも俺が頑張れる理由…それは憧れの陸王さんと仲間としてそばにいる事が出来るから。それだけでもあの厳しい練習に耐える価値があると俺は思っている。

陸王さんは俺の絶対的な憧れの存在。
…でも俺は…陸王さんに憧れだけではない感情…つまり…「男として好き」という秘めたる想いを持っていたりする…
本音を言えば陸王さんの特別な存在になりたい…俺だけを見てて欲しい…なんて思ったりもするけど……そんなのは贅沢だよな。
主将と部員…そんな今のままでの関係でもいいんだ。陸王さんのそばにずっとずっといられるなら…


「白川!お前もやれよ!すげーきれーだぞ!」
陸王さんは優しい笑顔で俺に花火を手渡して火を付けてくれる。
鮮やかな火花を散らす花火…

「…きれいですね〜…」
「なっ!やっぱ花火っていいよな〜!」
俺は陸王さんをチラッと見る…花火で照らされた陸王さんの楽しそうに笑う無邪気な笑顔…すごく可愛い…
陸王さんに気付かれてしまうかも…と思いつつ…どうしても俺はそんな可愛い笑顔の陸王さんを見つめてしまう。

「ん?白川…どうした?」
「な…何でもない…で…す……」
俺の視線に気付いた陸王さんと目があって…慌てて視線を逸らす。
思いがけず手に入れた陸王さんとの二人っきりの時間…今…陸王さんの言葉も笑顔も全部…陸王さんの全部が俺だけのもの…

…俺…なんかすげー幸せかも…
俺は自分のすぐ隣で無邪気に笑う陸王さんの存在を感じながら…二人で同じ時を過ごせる喜びを噛み締めていた。


「あ〜もう終わっちまったな〜」
花火の入っていた袋はもう空っぽ。
俺と陸王さんが持ってきた花火はほんの少し…楽しい時間はあっという間に終わってしまう。

「今度はもっと持ってこようぜ!」
そう言いながら土手に仰向けに寝転がる陸王さん…俺も緊張しながら遠慮がちに少し離れた隣に寝転がる。

「…スゲー星だな…」
「……そうですね…」
土手に寝転がる俺達の視界に入るのは、夏の夜の満点の星空。
真夏といえども川辺の夜は涼しい。
時折吹いてくる川からの穏やかな風が俺達の頬を優しく撫でていく……
俺の隣に寝転がる陸王さん…いつもの荒々しさや雄々しさは微塵も感じられない。それどころか陸王さんを取り巻く空気すらすごく柔らかく暖かで…

…いつもの陸王さんと全然違う…すごく穏やかであったかくて……本当の…本当の陸王さんってこうなのかも知れないな…

俺はそんな事をぼんやり考えながら陸王さんの柔らかさにひたすら酔いしれていた…


どれぐらい時間が経ったのだろうか……
視線を感じてふと隣を見ると…先程まで満天の夜空を嬉しそうに眺めていた陸王さんが自分を見ている。

…りっ…陸王さん…俺の事み…見てる…
陸王さんの熱い視線…
俺を見つめるその視線を意識した途端に俺の身体が一気に硬くなり胸がドキドキと高鳴る。

少しの沈黙…

「なぁ白川…お前…俺の事好きか…?」
「……え?…」
次の瞬間…俺のすぐ目の前には陸王さんの顔。
一瞬の事になにが起こったのかわからなかったが…間近で俺の顔をしっかり見つめる陸王さんの熱い眼差しにハッとする…
陸王さんは仰向きに寝転んでいた俺の上に馬乗りになっていた。

「り…陸王さん……」
陸王さんの男っぽい顔が俺に迫る。その顔からは先程までの無邪気さと柔らかさは消え…いつもの荒々しく精悍な顔…陸王さんのきれいな瞳が俺をしっかり捕らえて離さない。

陸王さんは俺の両手を上に回し片手で強く押さえけて身動きを封じると…もう片方の手で俺の顎に手をかけ自分の方をぐっと向かせる…咄嗟の事に俺はされるがまま。
文字通り…俺は陸王さんに組み敷かれ身動きひとつ取れない。
自分の両手を押さえつける陸王さんの腕の力強さと熱いぐらい近くに感じられる体温…俺は事の成り行きを理解した。
陸王さんが俺に覆い被さり迫っている…
…ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ…
俺の胸が尋常じゃないほど高鳴って息苦しい…

「…なぁ白川…お前って本当に可愛い顔してるな…」
「…り…陸王…さん…?…」
「目も大きくてきれいだし…唇も小さくて柔らかそうだし……そこら辺の女よりよっぽどそそられるぜ…」
陸王さんは俺の耳元で甘く小さく囁くと自分の親指をペロっと舐めて湿らせ…その指で俺の唇を軽くなぞる…

「…んっ……」
その優しい感触にビクッと素直に反応する俺の身体…
緊張の余り乾燥していた俺の唇は、陸王さんの湿った親指によって一気に潤いを取り戻し…いつもの淡いピンク色を取り戻す。
陸王さんは何度何度も繰り返し…俺の唇はあっという間に陸王さんの唾液でベットリ…

「可愛い唇しやがって……なぁ…早く答えろよ…」
俺の耳元で囁く陸王さんの甘く意地悪な声…俺の耳がジンジンと疼き…それは全身へと一気に伝わっていく。…そしてその疼きに俺の口から漏れてしまう甘い声…
「…あぁ…んっ…」
「ん〜?感じてんのか?…可愛い声出して…」

ふっと陸王さんの顔が俺の視界から消えたかと思うと…俺の首筋に温かく湿った感触が…それは陸王さんの熱を帯びた柔らかい舌…
陸王さんは俺の首に顔を埋めながら首筋に舌を這わせるとじっとりと何度も執拗に舐めあげていく…

「…んんっ…はぁっ…」
大好きな陸王さんに感じやすい首筋をじっくり攻められて…俺はもう…
陸王さんはそんな俺を見てクスッと笑う。
「ん…どう?…俺の事好きか?」

陸王さんの唾液でベットリと濡れた唇…俺の首筋を舐め回す陸王さんの甘く執拗な舌の動き…俺の陸王さんへの愛情がガツンっと刺激され…秘めた想いが形となって爆発する。

「…り…陸王さん!お…俺…陸王さんの事死ぬほど好きです!あ…愛してます!」
叫ぶように言い放った俺…
普段は大人しい俺の激しい感情…陸王さんは一瞬驚いた顔をしたがすぐにニヤッと笑う。

「…そっか…白川は素直でイイコだな……じゃあご褒美にキスしてやるから目ぇつぶれ…」
…陸王さんとキス…昂る心と身体が疼いて仕方なくて…俺は頷く事しか出来ない。
少しずつ近づく陸王さんの唇の熱い吐息を感じながら俺は精一杯目をぎゅっと瞑る……

……あっ!!……………

次の瞬間…陸王さんの唇の熱い温もりが伝わったのは俺の唇ではなく頬…
陸王さんはそっと唇を離すと俺の唇を優しく撫でた。

「……こっちはお前がもうちょっと大人になったらな…!」
陸王さんはそう囁くと俺の唇を人指し指でゆっくりなぞる…俺の顔を見つめ軽くウィンクすると自由を奪っていた俺の腕を解放した。

「り…陸王さ…ん…」
「俺…お前の事嫌いじゃねーぜ…続きは…またな!」
陸王さんはそう言うと俺にニコッと笑いかける。
ジンジンと疼く俺の頬…陸王さんの柔らかく濡れた唇の感触がまだ残る…


「…さぁ、遅くなるから帰ろうぜ!」
陸王さんはサッと立ち上がり服に付いた草を払い…そのまま俺を見る事なく土手の上に登っていく。

「…り…陸王さん!ま…待って下さい!!」
俺が陸王さんの後を追おうと慌てて立ち上がろうとしたその瞬間…俺の身体がクラっ…と大きくよろめき…俺はその場にへたへたと座り込んでしまう。
無理もない…陸王さんからの数々の甘い刺激に腑抜けになった俺の身体は思うように力が入らないのだ。

「…大丈夫か?」
陸王さんはそんな俺に気が付くと急いで土手を降りて優しく手を差し伸べてくれる。

「す…すいません…」
俺も遠慮がちにその手を握った。
陸王さんはそのまま俺を上まで引き上げると再び歩き始める。
振り返る事もなくどんどんと先を歩く陸王さん…その背中がだんだんと小さくなっていき…遠く…遠くなっていく…

さっきまで俺のすぐそばにいてくれた陸王さん。
それは身体だけじゃなくて心も…でも…今はまた遠くなっていく。
俺はそんな陸王さんが自分から離れていってしまう様な気がしてすごく寂しくて…

「……り…陸王さん!…さっきの本気ですから!俺…どこまでも陸王さんに付いていきます!…だからっ!………」

陸王さんは俺の必死な声に立ち止まるとふっと俺を振り返り…軽く手をあげると再び俺に背を向けて歩き始める。
追いかけようと思ったけど…何故か身体が動かなかった。

どうやら陸王さんにとって俺はまだまだ子供…恋愛の対象にはならないみたいだ。俺はまだ陸王さんの心に踏み込めない…今はまだ追いかけてはいけない…

俺は昂る身体を抑えながらその背中を見つめ…いつまでも立ち尽くしていた…


次の日の練習時間。
荒崎闘球部の部室にいつものメンバーが集まり始めてくる…

「陸王さん!昨日は行けなくてすいませんでした!」
「すみませんっ!急に都合が悪くなって…」
部室に入るなり申し訳なさそうに口々に陸王に詫びる闘球部のゴツい面々。

「ははっ!そんなに気にすんなって!俺も急に誘ったしな〜」

…よかったぁ〜…陸王さん怒ってねーな!……
陸王さんはいつになく上機嫌…笑顔の陸王に一同はホッと一安心。

「陸王さん!花火はどうでした?」
「それがよ…久々やったら案外楽しくってよ!…次は絶対みんなでやろーな!」
「…オスッ!!」


和やかな雰囲気の中…滝が陸王のそばに近寄りそっと耳打ちする…

「…陸王さん…白川は来ました?」
「…ん?あぁ…白川・だ・け・来たぜ…」
「…そうですか……陸王さん…白川と “ たのしかった ” ですか?……」

「あぁもちろん……可愛い可愛い白川とたのし〜い時間を過ごさせて貰ったぜ〜…一夏の思い出…ってやつだな!」
「……そうですか…そりゃあ〜良かったですね…」
陸王の意味深な言い方に滝は思わずニヤッ……

ヒソヒソと小声で話す陸王と滝を見たゴツい面々。
……こりゃあ白川になんかあったな……
今日急に学校を休んだ白川を思い…その身を案じた…



・・花火の集合時間の1時間前・・

ープルプル…プルプル…
逆巻家に鳴り響く電話の呼び出し音。

「……もしもし…」
「あ…拳か?」
「あぁ…なんだ滝か。…どうした?何の用だ?」
「あのさ…お前…今夜の陸王さんとの花火……絶対行くなよ。」
「……え?」
「他のヤツラにもそう言ってあるから豪にも伝えろ。それで白川に電話してして行けなくなったって言え。他のヤツラの事や俺の事や余計な事言うんじゃねぇぞ……」
「えっ……そんな事したら陸王さんと白川の二人だけに…」
「……二人にすんだよ……」
「…ええーーっ!…で…でも…そんな事したら陸王さんも白川も怒るんじゃ…」
「お前は余計な事考えんじゃねーよ!俺に言われた通りにしろ!」
「……滝…お前なんか企んでんな?」
「企んでなんかねーよ…ただ…面白い事になるかな〜…なんて…」

……滝のヤツ…やっぱりなんか企んでやがる…全く恐ろしいヤツだぜ…まぁいいか…言われた通りにすれば…余計な事すると面倒だしな…

「…わかった…じゃあ白川に連絡しとくぜ…」
「あぁ…よろしくな…」

電話を切った拳は悪さを企む滝の恐ろしい悪人顔を思い出す……まぁいっか……困るのは俺じゃねーし。

…えーと…白川ん家の電話番号は……
拳はすぐそばにあった電話帖のページを捲った…




*【悪魔なキミ!】とは少し違う陸王に恋する白川…管理人は陸白も大好きなんで♪陸王さん大好きな白川とそれを弄ぶ滝…こんな関係性もいい…
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