sweet valentine
「ふぇ〜…陸王…すげー数のチョコだな…」
「…ん?まーな〜…去年より少ないぐらいだけどな!」
「…えーー!!マジかよ………」


今日は2月14日バレンタインデー。
練習も終った闘球部の部室で弾平が驚いているのは、紙袋3個分のチョコの山…俺が今日一日で女の子貰ったもんだ。

去年より数が少ないというのは嘘じゃない
去年は断るのが面倒で貰えるものは貰ってみたが、恐ろしい数のチョコの処分に困り…今年は不要なチョコを貰うのが面倒で逃げ回ってみたが、それはそれで大変で……どっちにしても面倒な話だ。
俺が好きなのは弾平ただ一人。
好意を持ってくれたのに申し訳ないが…他のヤツなんて俺には正直どうでもよかったりする。

俺と弾平は約束通り球川高校に進学した。
俺がスポーツ推薦で入学した一年後に弾平も推薦を受け、今では二人揃って闘球部のエース。
俺と弾平は最高のコンビであり最高の仲間だ。ただ、俺はそれだけでは満足できずにいる………俺と弾平は一応相思相愛なのだが、何となくまだはっきりとした恋人同士という風にはお互い思えないでいる…まぁ〜原因は素直にならない弾平のせいなんだけどな。友達以上恋人未満…微妙な関係……といった処か………

「なんだよ…お前そんなにモテんのかよ!…みんな本命なのか?」
「…わかんねーな。多分義理もあるんじゃねーの?」
「……はあっ?…お前よく見てねーのかよ…」
弾平は興味なくあっさり言う俺に呆れているみたいだ。
正直こんなにあるといちいち見ていられないし…そもそも食べるつもりなんてもちろんない。
一生懸命用意してくれる子には悪いけど…いつも闘球部の仲間かごみ箱行きだ。

「だって本当に興味ねーし…それに…多分…来年からはもっと減るぜ……いや、もしかしたら完全に無くなっちまうかもな!」
「なんでだよ?」
「………う〜ん…手渡しされた子には言っちまったんだよな〜……俺は弾平が好きだから……って…机ん中のとかは言えなかったけど、多分噂も広まるだろーし…」
「…なっ…なにぃ〜…!!陸王お前!マジでそんな事言ったのかぁ?!」
一気に真っ赤になる弾平の顔…慌てた様に俺に詰め寄ってきた。

「あぁ…まぁ何人かには “ 男じゃん " って言われちまったけどな!冗談に思われてるかも…ははっ!」
「…はは…って…お前………」
「…だって…本当の事だしな!」
俺は弾平が好きだから隠す必要なんてないと思っている。男だろうが何だろうが、可愛いものは可愛い…好きなものは好きだ。周りの目なんて関係ないし、何も悪い事はしていない。
俺は弾平が好きで、弾平は俺が好き。ただそれだけで、それ以上もそれ以下も俺にはない。

「お前…バカだな…そんな事言わなきゃ来年もいっぱい貰えたのに……」
「…いらねーよ!…俺は興味のない100個のチョコより、好きなヤツの1個のチョコの方が欲しいしな…」
俺はニヤッと笑い…弾平に詰め寄る………

「……そんで…弾平………俺のチョコは?あるんだろ?」
「…っはぁ〜?何で俺が陸王にチョコを………」
「ええ〜!!ないのかよ…マジで?!俺、お前からのチョコすっげー楽しみにしてたんだけど…」
「だから!何で俺がお前にやらなきゃなんねーんだよ!」
「だってお前……俺の事好きだろ?」
「…なんでそーなるんだよ!」
「じゃー嫌いか?」
「…うっ………」
弾平は真っ赤な顔で困った様に言葉に詰まる………

「…どっちかってっと…好きだけど…」
「…ん?…聞こえねーなぁ…」
「…だから!好きだって言ってんだよ!」
…そんなに怒るように愛の告白をしなくても……まったく…弾平は本当に素直じゃね〜なぁ〜…まぁ、そこが可愛いとこなんだけどな…

「好きなのに用意してねーのかよ…信じらんねー」
「……ご…ゴメンな…だってなんか…恥ずかしくて…」
「お前から貰えねーなんて…俺マジで傷ついたぜ…」
「だから…ゴメンって!…」
「どーしよっかなぁ…キスしてくれたら許してやってもいいけどな〜…」
「…はぁ?!」
「お前からキスしてくれたら許してやるよ!」
俺は意地悪くそう言うと、弾平の顎に手をかけて自分の方に顔を向かせる。

「……ううっ…」
弾平は顔を真っ赤にして唇をギュッと噛み締めている………
そして次の瞬間、弾平は激しく俺の唇に自分の唇を重ねた。

「…んんっ………」
弾平の目は半分睨んでるみたいに俺を見つめ、少しうなり声も聞こえる。無我夢中………そんな言葉がピッタリの荒々しいキス………

………なんてムードの欠片もないキスだ………
俺は、精一杯下手なキスをした弾平が可愛いやら可笑しいやら………

「これでいいだろ!」
弾平は勢いよく唇をばっと離すと後ろを向く。よく見ると、耳まで真っ赤になっている…
本当に恥ずかしいんだろう……不器用に精一杯の愛情を俺に見せてくれた…俺はそんな弾平が可愛くて堪らない…

後ろから弾平の腕を掴むとグッと抱き寄せる……
突然の事にバランスを崩した弾平は後ろ向きのまま俺の腕の中にすっぽりと収まった…

「ばっ…ばか!離せ!」
弾平は最初はなんとか抜け出そうと必死にもがいていたが…力で俺に敵う訳がない。
次第に全身の力が抜けた様に大人しくなる…

ぴったりとくっついた弾平の背中から暖かい温もりと激しい胸の鼓動が俺に伝わり…柔らかくしなやかな燃えるような赤い髪が俺の頬を優しく撫でる……

「…お前…本当にキスが下手だな………」
俺はそう言うと弾平の身体を俺の方に向かせ耳元でそっと甘く囁く…

「なぁ…弾平…俺がいっぱいチョコ貰ってヤキモチ焼いた…?」
「………別に…」
俺を上目使いでそっと見つめて強がる弾平……
その潤んだ大きな瞳…赤く染まった頬…そして俺の大好きな拗ねた表情…


…弾平…すげー可愛い……
二人っきりの部室で…こんな間近でそんな可愛い顔をみせられては……俺はもう我慢出来ない………

「弾平…好きだぜ………」
「……陸王…俺も陸王が大好き……」
俺達はお互い自然に顔を近付け…そっと唇を重ねた………


帰り道……

甘い時間を過ごした俺達は仲良く肩を並べて歩く……
長いキスをすませた後も、俺は可愛い弾平を離しがたく………帰る気持ちになるまでにかなり時間がかかってしまった。
冬は日が落ちるのが早く、辺りは既に真っ暗……澄んだ空には大きな月が金色に輝いている。

「しっかし、なんでお前はそんなにモテるんだよ!」
「まぁ〜…俺がかっこいいからだろ〜…」
「…バーカ!自分で言うなっつーの!…でも、そんなに貰わなくてもいいだろ…どうせ捨てちまうんだし…そもそもくれたヤツラは知ってんのか?…お前が殆んど中身も見ないで捨ててるなんて知ったら…」
弾平は一人言の様にブツブツ……

「ふ〜ん……弾平、お前やっぱりヤキモチ焼いてんだろ!」
「別に!」
弾平はつんと口唇を尖らせ、拗ねた様な顔で俺を見る…そしてすぐに小さな声で呟いた。

「…興味なさそうで…少し安心したけど…な…」
「…ん?聞こえねーなぁ〜…」
「だから!安心したっての!」
「なにに?」
「…うぅ………陸王の意地悪!」
俺の意地悪に弾平は膨れっ面…

「ははっ…ゴメンな!」
俺はそう言うと弾平に手を差し出す。

「…………」
「大丈夫!暗くて見えねーよ!」
「…うん!」
弾平は俺の手をそっと握り、照れた笑顔を見せる…

「今年はゴメン…来年は必ずやるから……」
「…俺はまた今日みたいのでもいいけどな!」
「…バカ!……」
弾平は恥ずかしそうに言うと、俺の手を強く握り返した……





*可愛いCPですね〜幸せ感が恐ろしい程…陸王と弾平は小学の時から仲良しなので、こんなCPになっていそう…弾平が可愛くて仕方ない陸王…いいですね〜…
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