球川中学のとある日常
ここは球川中学校。
三笠と火浦.速水.土方.俺の5人は中学2年に進級していた。
球中2年は全部で4クラスあって…A組に三笠と火浦.速水の3人、B組に土方と俺に分かれている。
クラスは分かれてしまったが、小学に引き続き中学でもみな同じ闘球部に入部し長い付き合いとなっている俺達…そんな俺達はクラスにこだわる事なくいつも一緒に過ごしていた。
次はA組とB組の合同体育…俺達はみんなA組に集まり体操服に着替えている。

「キャプテン!次の体育は短距離走みたいですよ!」
Yシャツのボタンを外しながら火浦が口を開く。

「そうか……ってかさ…お前いい加減キャプテンって言うのやめろよな〜…今の闘球部のキャプテンは3年だろ?あと敬語もな!お前だけだぞ、俺に敬語使ってんの…俺達同級だろ?」
「……は…はい!!…あっ!すいません、つい…あっ…」
三笠の言葉にしどろもどろの火浦…顔も尋常じゃないほど真っ赤になっている……

火浦の三笠に対する憧れは俺達の中でも飛び抜けてすごい。
俺達は2年生…今の闘球部の主将は3年だ。それでも火浦にとって、三笠は永遠の主将みたいで…同級生だというのに火浦の敬語は一向に治らない。
確かに三笠は闘球も上手いし賢くて勉強も出来る…小学の時も主将を努め、その統率力と指導力には定評がある。闘球部内でも3年にすごく信頼されていいて次期主将の呼び声も高い…
そんな三笠は先生からの信頼も厚く、クラスでも委員長を努めたりしている。真面目で努力家…とにかく何事にも努力を欠かさず乗り越えていく…そんなオールマイティーな三笠に憧れてるヤツは大勢いるみたいだ。
…だから火浦の憧れる気持ちもわからなくもないけどな……

「くくっ…三笠、こいつはダメだよ。」
顔を赤くして動揺する火浦の様子に、すぐそばにいた速水は必死で笑いを堪えている…

「ははっ!そうだなぁ〜火浦の三笠への敬語は今に始まった事じゃねーしな!」
俺も速水と同様…土方も笑って頷く。

「…まぁ〜俺も火浦の敬語には慣れてっし…別にいいけどな〜…」
「すっ…すいません!!……あっ…」
更にその頬を赤く染める火浦……
その様子を諦め顔で見ていた三笠は、「俺、日直だから先行くな〜」と言うと一人先に教室を出た。
その背中を見送り、火浦はハァーッと大きく息を吐く。

「お前…相変わらずだなぁ…」
速水はクスクスと笑いながらポンッと火浦の肩を叩いた。

「仕方ねぇだろ〜…俺にとってキャプテンはキャプテンなんだよ〜……タメ口なんて……絶対無理!!」
「まぁ〜三笠が嫌がってないならいいんじゃないか?三笠は来年には本当にキャプテンになるだろうしな!」
「…あ〜またキャプテンかぁ!…やっぱ憧れるぜ…」
火浦の三笠への憧れの眼差し…俺達はハイハイ…といった感じで受け流す。

「……それはそうと…なぁ、速水ぃ〜次の英語、予習してきたかぁ〜?」
「まぁ、それなりにな!」
速水も三笠と同じくかなり頭がいい…成績はいつも学年でトップクラスだ。闘球部の練習も忙しいっていうのに…こいつは授業の予習復習なんかもきちんとやっている。きっと寝る間を惜しんで勉強も頑張ってるんだろうな…真面目で一生懸命で…そこが速水の偉いところ!
そしてその速水にいつも甘えてばっかの火浦…

「マジか?!頼む!!写させてくれよ〜俺当たるんだよな〜」
「……ダメだよ!お前いっつも俺の写してばっかだろ?…自分でやらなきゃ力にならないんだぞ!」
「またお前は先生みたいな事言って〜…そーゆーなよ〜…俺と速水の仲だろ?なっ?!」
「…だ〜め!!自分でやるの!」
ここで甘えさせては火浦の為にならないと、速水はプイッと顔を背ける。
しかし、ここで大人しく引き下がる火浦ではない…
火浦は速水の大親友だ…速水の事は誰よりよくわかっている。
もちろん…ご機嫌ななめの速水をどうしたら落とせるかも……

「……速水ぃ…お前さ…ずっと欲しがってた本があったろ?あれ…売ってる場所見つけたんだけどな〜……」
「…本当か!!?どこだ?どこにあったんだ?!教えてくれよ!!」
そっぽを向いていた速水の顔がパアッと明るくなり、興奮気味に火浦に詰め寄る。滅多に見せない速水の慌てる様子…さすが火浦…あのいつも冷静な速水をここまで焦らせるなんて…

火浦はニヤっと笑うと速水に近付く…
「俺もお前の為にあちこち探して…やっと見つけたんだからな〜タダじゃ教えねーよ!」
「なんだよ!俺がめちゃくちゃ探してたの知ってんだろ?」
「…そりゃあ知ってるさ…だから……次の英語のノートと交換ってのはどうだ?」
「…ううっ……それは…」
「じゃあ教えない!」
「ええっ?!…それは困る!……わかったよ!好きなだけ写せ!」
「やりぃ〜!じゃあ交渉成立な!」
「……し…仕方ない…」

速水に勝ったとばかりに火浦は嬉しそうに拳を握り…そんな火浦とは対照的に速水はブツブツと小さな声で呟いている。
「…俺は火浦の為に…でも…あの本は絶対欲しい…でもこれじゃあ火浦の為にならないし…」

…速水のヤツ…また火浦の策にはまってるぜ……
速水には自分が火浦の思惑通りになっている…という自覚はあるものの…一枚上手な火浦には敵わないみたいだ。
いつもこんな感じのこの二人……火浦は速水を信頼してて…速水はそんな火浦がほっとけなくて…俺から見たら最高の親友って感じだけどな!

「さあさあ!体育行こうぜ〜速水くん!風見、土方、俺達先行くぞー!」
思惑通りに事が運べてかなりご機嫌な火浦…多少腑に落ちない顔をしている速水の肩に手を回すと、速水を多少引きずる様に引っ張りながら教室を出て行った。
やっぱりこいつらは仲がいいなぁ…とそんな二人を微笑ましく見送る俺と土方。…速水がそれほどまでに欲しがる本って一体どんな本なんだ?…なんて少し思いつつ…


「風見…仕度終ったか?お前着替えるのいつも遅いから…手伝ってやろうか?」
「…バ…バカっ!子供じゃねーんだから一人で着替えられるっての!」
「ははっ!…すまんすまん!」
…土方はいつも俺を子供扱いする…俺はお前と同い年だっての!
俺より何倍も身体のデカイ土方……優しくて強くておおらかで…身体だけじゃなく心も懐も大きな男だ。
土方はやたらと俺を心配して優しくしてくれる。
前に…なんでそんなに俺の事心配すんだ?…って聞いたら一言…
………お前が小さいから……

…それって理由にならねーだろぉ?!…なんなんだよ!その理由はっ!!…
俺は正直そう思ったけど…俺も優しい土方が嫌いじゃない。
いつもそばにいてくれて助けてくれて…俺にとってすごく頼れる親友だ。



「風見が着替え終ったんなら俺達も早く行こうぜ!」
「…そうだな………あっ!……しまった…」
「……ん?どうした?なんかあったか?」
「土方…俺忘れ物した…取りに行ってくるからお前は先行っててくれ!」
「…いいよ、俺も待っててやるから早く行ってこいよ。」
「……でもお前まで遅刻したら…」
「俺が遅刻しなくてもお前がするなら、それは俺が遅刻するのと同じ事だからな!」
「………はあっ?…お前…何言ってんだ?…」
…俺の遅刻が土方の遅刻になるだぁ?………俺は土方の言ってる意味がわからない…

「…まぁ〜説明すんのも面倒だからあんま深く考えんな!…とにかく待っててやるから早く行けって!」
「そ…そうか?…じゃあ…行ってくるけど…」
土方はそういうけど…俺のせいで土方まで遅刻させてはやっぱり悪い…俺は慌てて走り出す。


「…ほら…風見!慌てて走んなよ!…お前この間も転んだばっかだろ!大会も近いんだから気を付けろって!…」

走る俺の背後から聞こえた土方の大きな声…この間転んで怪我をした俺をおんぶして保健室に連れて行った土方を思い出した。
周りにいたヤツラにジロジロ見られてすごく恥ずかしくて…
俺は恥ずかしいからやめろ…って言ったんだけど、土方は「恥ずかしくなんてねーよ!お前が無理する方が俺は嫌だからな!」…なんて言ってどうしても降ろしてくれなくて…

…まったく…いつもいつも心配しやがって!……お前は俺の保護者かっての!

土方の優しさに嬉しさと恥ずかしさを感じながら…声にならないツッコミを入れつつ俺は走るのをやめてゆっくりと歩き始めた。




*いいですね〜♪こんな男子中学生の普通の日常が…可愛い♪当たり前にみんなで仲良く楽しく過ごしてて欲しい…
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