悪魔なキミ!〜story2〜
「なぁ滝と白川…わりぃんだけどよ…明日の日曜、二人で部の買い出しに行ってくんねーか?」
「白川とですか?!」
「滝とですか?!」
突然の陸王さんの言葉に、俺と白川は思わず声が揃う。
ここは荒崎闘球部の部室。
毎週定例の土曜の午後練も終わり、みんなが帰り支度をしている時に急に陸王さんに言われたこの言葉…
荒崎の各部活動は月に1回学校から部費を貰う。俺達はそれで新しいボールを買ったり練習試合の遠征費にしたり…まぁ俺達の練習を見て貰えればわかるが…殆どがダメになったボールの購入に消えちまうがな…
陸王さんはその部費で普段使っている救急用具を買って来て欲しいらしい。確かに俺達のあのケンカみたいな練習は生傷が絶える事がない。擦り傷や切り傷なんて当たり前…時にはちょっと大きな怪我も…
全然怪我しねーのは身体をガンガンと鍛えてる陸王さんぐらいだ。
部員として買い物に行くのは当たり前だ。陸王さんの役にも立ちたいし陸王さんの頼みは断れねーし…
でも…なんで相手が白川なんだ?!…どーして俺と白川が!!
白川と行くのが嫌だという訳じゃない。正直嬉しい。
しかしながら…俺は白川にほのかな恋心を抱いている…そしてそれに気付いている白川…こいつはそんな俺を翻弄して弄びやがるんだ。
自分でも情けねーが俺も白川の思惑にはまらないようにと思えば思うほどガッツリはまってたりして…
白川が好きなのは陸王さんだ。それにすげー嫉妬してる俺…俺は白川が好き…二人だけでデートなんてしたら…俺は白川になにをしてしまうやら…
「滝のバーカ!声揃えんなよ!」
「なっ…揃えてんのは白川だろ?バカバカ言いやがって…ふざけんな!!」
相変わらずの白川の俺様な態度に俺は激しく苛つく。まぁ〜俺も人の事は言えねーが…
「やめろっての!お前達は相変わらずケンカばっかしやがって…」
陸王さんは呆れ顔で俺達の仲裁に入る。
俺と白川のケンカはいつも陸王さんに仲裁されてるからな…陸王さんが呆れるのも無理もねーよな。
陸王さんに止められて言いたい事を言い切れなかった俺は消化不良…一人でブツブツ…
ふと見ると自分とは無関係みたいな顔をしてる逆巻兄弟。
…てめーらはどーなんだよっ!!行けねーのか?!
「おい逆巻!お前らは行けねーのかよ!」
「あ…悪いが俺達は二人で出掛ける用事があってな…な!豪!」
「ああ…すまねーな!」
逆巻拳と豪の兄弟は二人でにこやかに顔を見合わせている。
…おい……兄弟で出掛けんなよ…
俺はゴツい逆巻兄弟が二人仲良く出掛ける様子を想像…うわっ…かなり気持ちわりぃな…
逆巻兄弟はダメだ。他のやつらは…誰も俺と目を合わせねぇ…誰もが白川と一緒に行くのが面倒なのか?
そうだ!陸王さんはどうなんだよ!…ってか陸王さんが行けんならわざわざ俺と白川に頼まねーか…なんて俺が一人考えていると、逆巻拳がまた余計な事を陸王さんに聞いている。
「陸王は行けねーのか?」
「あ〜…俺はちょっとヤボ用がな…」
「…なんだよ…デートか?」
言葉を濁した陸王さんに拳はニヤニヤと笑いながら冷やかす様に言う…陸王さんもまんざらでもない顔だ。
…また余計な事聞きやがって!!やめろ…白川が泣いちまうじゃねーか!
陸王さん大好きな白川…その大好きというのはまさに恋愛感情であり恋心。白川の陸王さんへの愛は半端じゃねーほど深くて重い。俺は白川にほのかな恋心を抱いているが…陸王さんには到底敵わない…なんて思ってる。そんな俺の陸王さんへん嫉妬心も半端ねーけどな…
…その白川の前で陸王さんの女絡みの話はタブー…泣かれたら面倒じゃねーか!
そんな俺の気持ちも知らず…陸王さんと逆巻の話は続く。
「…ははっ!まぁ〜デートみたいなもんだな!」
「…へぇー…さすが陸王だな!今度はどんな女だ?」
「まぁ…気が強くて生意気で素直じゃねーけど、甘えてくる時なんかは堪んなく可愛くてよ〜…」
…拳のヤツ!なんて空気が読めない発言を!…ヤバイ……
俺は二人の会話をそばで聞いている白川が泣き出すんじゃないかとハラハラ…
俺がそっと白川を見ると……白川の大きな瞳が潤んでるじゃねーか!
下唇を噛み締めて白川は泣く寸前…あ〜!もう!泣かれたらすげー面倒だぜ!
とっ…とにかく陸王さんと拳の会話を終らせねーと!…俺は慌てて二人の会話に割り込んでいく。
「…りっ…陸王さん!!」
「…ん?」
「お…俺が買い物行きます!!なっ…白川!」
「……はい…」
嬉しそうに話す陸王さんと拳…そのそばで今にも泣き出しそうな白川…そしてその間に立たされてる俺……
俺は場の空気をなんとかしようとかなり必死…ってか、なんで俺が白川の陸王さんへの恋心の為に必死にならなきゃいけねーんだよ!!
くそ〜…惚れてるってのは弱いもんだぜ…
「お!本当か?わりぃな…じゃあ頼んだぞ!」
陸王さんは俺に部費と購入リストを手渡すと白川に近付き…白川の頭にぽんっと手を置いた。
「…白川…頼んでごめんな!よろしくな!」
白川にニコッと笑いかける陸王さん。
途端に白川の顔がパアアッ…っと明るくなって…
「は…はいっ!!」
俺には絶対見せない愛情溢れる満面の笑み…
…白川…可愛い笑顔だぜ…
もちろん俺に向けられた訳じゃねーけど…やっぱすげー可愛い…この笑顔がもし俺に向けられたら…俺は…
ぼんやりそんな事を考えていると…
「…おい…滝!…それなくすなよ!」
いつも通りの白川の辛辣な言葉と冷ややかな顔。くそー…俺にはその態度かよ!
こうなると売り言葉に買い言葉…いつもと同じ展開だ。
「うるせー!なくしたりすっかよ!お前じゃねーっての!」
「なんだと?!滝のバーカ!」
「またバカバカ言いやがって!…お前それしか言えねーのかよ!」
「うるさいバカっ!」
…白川!…お前のために頑張った俺がわかんねーのか?あ〜またケンカだ…
「おい……やめろって!まったく…」
口を開けばケンカばかりの俺達に、陸王さんは再び呆れ顔…
俺だって白川とケンカなんてしたくねーけど…でもこれは好きな子を苛めたくなるガキな心理。
白川…本当にこいつは乙女で繊細で面倒で生意気で……可愛くて…可愛くて…あ〜…やっぱりすげー可愛い!
とにかく白川とどうにかなりたい俺。でも白川は陸王さんが好きで…俺はいつもモヤモヤモヤモヤ…こんなんで二人っきりで買い出しなんて行ったら俺はどうなってしまうのか…白川になにをしてしまうのか……ん?もしかしたら…逆に白川と近付くチャンスじゃねーか?
白川と二人っきりなんて滅多にない。この間キスを迫ったあの時以来…
そうだ!これこそチャンスなんだ!よしっ!このチャンスを生かしてこそ男だぜ!
俺は拳を握り締めて一人意気込む。
それを端から遠巻きに見ている逆巻兄弟…
「…なんか…滝のヤツ気合い入ってねーか?…」
「…あぁ…まぁ〜白川と二人で買い物行けるって興奮してんだろ?」
「あ〜やっぱり?滝って絶対白川の事好きだって思ってたからな〜」
「でもさ、白川は陸王さんが好きだからな…見込みねーんじゃねーの?」
「そーだよな…白川の陸王さんへの愛は半端ねーからな……なんか…滝って哀れだな…」
「まぁ〜明日はイイ思いすればいいんじゃねーの?滝が行ってくれりゃあ〜俺達も予定通り出掛けられるしな!」
「だよな!」
ヒソヒソと話す逆巻兄弟の声も意気込む俺には聞こえない。
「よしっ!白川!明日買い出し行くぞ!」
「うんっ!」
白川と二人っきりの買い出しに心踊る俺。
陸王さんに頼まれてとにかく嬉しい白川。
思惑はそれぞれに違うが…どっちも嬉しい事には変わりない。
俺も白川も笑顔…二人で意気揚々と帰り支度を始めた。
次の日曜、白川との約束は午後3時。
俺としては午前中から会ってちょっとデートみたいな感じを味わいたかったんだけどよ…白川が俺は夜型だから〜…なんて訳のわからねー事言うもんだからこの時間になっちまった。3時なんて…あっという間に帰る時間になっちまうじゃねーか!…少し残念な俺…
…時刻は2時45分過ぎ…時間を持て余していた俺はちょっと早かったが待ち合わせ場所の公園に向かう。…白川のヤツ、さすがにまだ来てないだろう。あいつ結構いい加減だからな…遅刻するんじゃねーか?…なんて思いながら俺は公園に入る。
すると…そこには白川の姿が…
「よぉ…滝!お前も早かったな!」
白川は公園の門に寄り掛かりながら俺を待っていた。約束は3時…まだ15分も早い。俺より早いって事はそれより更に早く来てたのか?俺はそんな白川に正直驚いた。
「…なんだよ…来んのが早いじゃねーか…」
「…お前を待たせたら悪いからな!ちょっと早めに来てみた!」
白川は少しだけ微笑んだ。
…なんだよ…キャラと違うじゃねーか…もしかして……白川も俺とのデートを楽しみにしてたとか?!
…あ…白川の好きなのは陸王さんだった…ただ早く来ただけか…
普通のTシャツに細身のジーンズ…男が着る当たり前の服だけど…白川が着ると何故か妙に女っぽい。
私服の白川は毎日学校で見てんだけどな。…こんな風に学校や部活以外で二人っきりで見ると…なんかすげーイイんだけど…
可愛い白川をチラッと見ながら俺は一人ドキドキ…
そんな俺に気付いた白川がぐっと俺に近付く。
「…ん?滝…なに?」
俺の顔を覗き込む白川の可愛い顔…やたらと近いその距離…
「い…いや!なんでもねー!じゃ…じゃあ行こうぜ!」
白川の大きな瞳に見つめられ…動揺した俺は慌てて歩き出した。
目的のドラッグストアはここから近い…さっさと終わらせれば一時間もかからないはずだ。そしたら少し白川とデート出来るかも…
俺は淡い期待を胸に足早に店に向かう。
二人で店に入ると、陸王さんから渡されたリスト通りに買い物を済ませた。
時計を見るとまだ4時前…もちろんまだ帰るつもりなんてない。
…どこへ誘おうか…どこがいいんだ?…映画…買い物…う〜ん…もう時間もねーし…悩む…
俺がこれからの事をぼんやり考えていると白川の方から声を掛けてきた。
「…なぁ滝…お前ちょっと時間あるか?」
「……なんだよ…」
「俺さ、行きたいとこあるんだけど…ちょっと付き合ってくれない?」
…まさか白川から誘ってくるとはっ!!…
俺は飛び上がりそうなほど嬉しかったが…そんな事をしてはまた白川の思うツボ。あえて冷静に興味なさそうに返事をした。
「し…仕方ねーなぁ〜暇だし付き合ってやるよ!」
「本当?…ありがとうっ滝っ!」
白川は俺に向かってニコッと可愛く笑う。その満面の笑みに俺は思わずドキッ…
あ…この笑顔はよく陸王さんに向けられる笑顔………だけどやっぱりそれよりはちょっとランクが落ちるか?…きっとここが陸王さんと俺の違いなんだろう…
はっきり現れた陸王さんとの違いに俺は少しガッカリしたけど…可愛い白川とデートする事になったのには変わりはない。
俺と白川は肩を並べて歩き出した。
俺の隣を歩く白川…横顔も可愛いじゃねーか…あ〜夢みてーだ…
俺はドキドキ…
暫く歩くと大きな建物が見えてくる…それは大手の大型書店。
白川はその書店の前で立ち止まって指をさした。
「ここっ!」
「……えっ?!」
どうやら白川はこの書店に行きたいらしい。これまたキャラと違う意外な場所に俺は驚く…
…なんだよ白川…お前はそんなヤツだったか?!
そんな俺に構わず書店に入っていく白川…俺も慌てて追いかけた。
店の中に入ると白川はなにかを探す様に辺りを見回しながらどんどんと歩いていく…俺もその後に続いた。
「漫画でも買うのか?」
「…んーん…参考書が欲しくてさ…」
「えええっー?!さ…参考書?!なんだよお前…あんまりにもバカ過ぎて逆に真面目になったのか?」
「……なに言ってんだよ!…」
白川のムッとした顔……あ…これも可愛いじゃねーか…
「…実はこの間のテストがあんまりにも悪くてさ。先公から追試だって言われちゃったんだよな…」
「…ははっ…バカだな〜お前!いっつも俺の事バカバカ言ってるくせにお前の方が本気バカじゃねーか!」
俺の挑発的な言葉の連続に白川はチラッと俺を睨んだが…場所をわきまえたのかなにも言わずにまた参考書を探し始めた。
…あっ…言い返さねーし…追試本気でヤバイのか?…大丈夫なのかよ…
「…つ…追試どうなんだよ…なんとかなりそうなのか?…」
「…う〜ん…多分…」
自信なさげな白川の様子に俺もなんだか心配になってしまう…
「…わかんねーとこあったら言えよ…俺もそんな得意じゃねーけど一緒に考えてやるよ…」
「…滝…」
…俺は本当にバカだな…何言ってんだ…
こいつが好きなのは陸王さん。わかっていても白川の事をほっとけねーんだよな…
「…ありがとな!」
白川の可愛い笑顔…俺の胸は再びドキドキ…
…あ〜白川…やっぱ可愛いぜ…
参考書のコーナーに辿り着くと白川はあれこれと本を選び始める。
何冊か選んだ白川は近くの椅子に腰掛ると一冊ずつぱらぱらと捲る…俺もすかさずその隣に座ってそんな白川をぼんやり見つめた。
…まったく…こいつは怒ったり笑ったりコロコロ変わりやがって…くそー…可愛いじゃねーか!
…真剣に参考書に目を通す白川の横顔…
白川…顔は小さくて目は大きく綺麗で…色白な肌に頬っぺも唇も淡いピンク色…女みてぇ…本当に可愛いな…
俺は暫し…白川の綺麗な横顔に見とれる…
「……なに見てんだよ…」
参考書を見ていた白川がふっと顔を上げ…俺と目が合う。
…しまった!気付かれた!…
「…い…いやっ…お前本当にバカだな〜…って思ってさ!」
「…なんだよ…」
慌てて取り繕う俺に白川は少し拗ねた様な顔をしたがすぐに…
「ゴメンな!待たせちゃって!」
にっこりと満面の笑み…
…白川のこの笑顔…だから…そう可愛く笑うのはやめてくれ…拗ねた顔も可愛いからやめてくれ…
あ〜…俺…顔が赤くなっちまってるかも…
長々と選んでいた白川もようやく決まったらしく会計を済ませる。
書店を出ると辺りはもう真っ暗…月明かりの中を俺と白川は並んで歩く…
「…あっ…」
隣を歩いていた白川が急によろめき俺にしがみつく。
白川にいきなり腕を掴まれて俺はドキッ…
「ど…どうした?」
「…俺…どうも夜の道が苦手で…」
…はぁ〜…?!夜の道が苦手だぁ?それでよろめいたってのか?!…またこいつは女みてーな事言いやがって…
「……だっ…大丈夫かよ…」
「…あぁ………イタッ…」
言ってるそばからまたつまずく白川…
…夜道が苦手なんて…可愛いじゃねーか…
「…仕方ねーな…掴まってろ…」
俺は白川の手を取ると自分の腕に掴まらせる。
「…ありがと…」
白川は反抗する事なく素直に掴んだ。
俺の腕を掴んで歩く白川…
…なんか…これって…腕組んでるみてーじゃねーか?…
俺は今更ながら急に恥ずかしくなって歩き方もぎこちなく…
…うわぁ〜…白川に気付かれてるかも…俺の動揺…
俺はひたすらドキドキしながら白川と夜の道を歩いた。
腕を組んだまま俺と白川は朝待ち合わせた公園に戻ってきた。
辺りは真っ暗…人もいない。つまり…俺と白川の二人っきり…
…あ〜…白川になんかしてしまいそうだ…で…でも…
白川とどうにかなりたい…なんて思っていた俺だけど…いざチャンスが来ると怖じ気づく。白川が好きなのは陸王さん…残念だけど俺じゃない。
自分の欲望のままに無理矢理白川を襲っては…嫌われてしまうかも知れない。白川に嫌われるなんて!…俺はつい弱気になってしまう…
「そ…そろそろ…帰るか?」
俺はそう言いながら白川の手をパッと離した。
すると…白川がすぐにもう一度俺の腕を強く掴んでくる…俺の腕をしっかりと掴みながら切なく甘える顔で俺を見つめる白川…
……なんだよ…そんな顔して掴むなよ…
「…ちょっと待てよ…もう少し…」
「…なっ…なんだよ白川…さては…俺ともっと一緒に居たいのか?」
動揺する俺はあえて冗談っぽく言ったつもりだったが…
「……うん…」
照れた様な白川の一言に身体の奥がきゅーんと一気に熱くなってしまった…
「………」
公園のベンチに並んで座った俺と白川は少しの沈黙………
白川を近くに感じる俺の胸はドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ…より一層激しく高鳴る…
…な…なんだよ…この感じ…なんか喋らねーと…
あまりの緊張に俺はとにかく息苦しい…とにかく何かを話さないと息が詰まりそうだ。苦しさのあまり俺が口を開きかけると…先に話し掛けてきたのは白川…
「…なんか楽しかったな!」
「えっ?…」
「滝と二人っきりで出掛けるなんて…初めてだもん!俺はすっごく楽しかった!…滝は?…」
「お…俺も…楽しかった…」
「そっか!良かった〜…」
嬉しそうな白川の顔…俺は白川の意外な言葉に少し驚きつつも白川が喜んでくれた事がものすごく嬉しい。
…また白川とデートしたい…俺は勇気を振り絞る。
「し…白川……」
「…ん?」
「その…良かったらまた俺と……遊んでくんねーかな?…なんて…」
「…いいよ……俺も滝と…一緒に…いたいし…」
…ええっ?!…マジかよ…
これまた意外な言葉…俺は正直かなり嬉しい…
顔がにやけるのを止められない。
白川はそんな俺を見てクスッと小さく笑うと俺にそっと近付き囁く…
「……なぁ滝…さっき本屋で俺の事見てただろ…?」
「…えっ?…みっ…見てねーし…」
「嘘ゆーなよ…見てただろ?…俺の事好きだーって目で見てたもん…」
白川はそう言うと俺の両頬を手のひらでそっと包み込み優しくなぞる様に撫でる…俺を見つめる白川の大きな瞳はとろん…として…今にもとろけそうな甘い顔で俺を見つめる白川…
…し…白川すげー可愛い…どうしよう…ヤバイ…本気でヤバイ…
「…俺の事…好き?…」
…そんな訳ねーだろ…と言うつもりが…
俺は自然と頷く…ダメだ…本能には勝てねー…
「キス…してもいーよ…」
白川は誘う様な色っぽい上目使いで俺に顔を近付ける…
「…滝……」
俺の名前を呼ぶ白川のその甘い声と甘い顔…
俺の白川への愛情が一気にガツンっと刺激され…昂った俺の男としての本能がムラムラムラムラ…俺は反射的に白川に抱きつくとそのまま優しくベンチに押し倒す。
ドサッ………
白川は一瞬驚いた顔をしたが…すぐにそのきれいな瞳を閉じた。
俺はその顔に少しずつ近付く…白川の可愛い顔がすぐそばに…俺は少し躊躇しながら白川の淡く濡れたピンクの唇に自分の唇をそっと重ねた。
白川の可愛い唇の温もりを精一杯感じて味わう…
長い長いキス…そっと唇を離し白川の顔を見ると…潤んだ瞳で俺を見つめている。
「…たーき……」
白川が俺の背中にそっと手を回してしがみつく…
俺の身体に伝わる白川の体温…一気に感じる白川の温もりに俺はもう堪らない…
俺はもう一度白川の唇に自分の唇を重ねると今度は吸い付く様に何度も何度も白川の唇を貪る。激しく深く…俺は白川の唇を思いのままに舐め尽くす…白川もそれに応じる様に俺の唇を受け入れている…
俺は緩く開いた唇の隙間から自分の舌を無理矢理滑り込ませ、熱く滑らかな白川の舌に絡み付かせた。
「…んんっ…ん…」
俺からのしつこいぐらいの深いキスに白川の唇から甘い声が漏れる…
…ヤバイ…興奮してきちまった……
ムラムラとした男の本能に支配された俺の手は自然と白川のシャツの中に……
「…あっ……」
白川の身体をまさぐる俺の手に素直に反応した白川の可愛い声…
その声に俺の性欲が更にムラムラムラムラ…
…あ〜止まんねぇ!無理だ!このまま…!!
俺は我を忘れて白川との甘い行為に没頭してしまう…
白川の柔らかい唇…滑らかな素肌…悶える声…あ〜〜……堪らねぇ!!
するとそんな俺達の前に人影が…
「…白川と滝じゃねーか!」
聞いた事のある声……陸王さんだ!
その声に俺と白川は慌てて起き上がると平静を装おう。
「…んー?あ…邪魔しちまったかな…?」
互いの唾液で濡れた口を慌てて拭う俺達に、勘のいい陸王さんは事の次第を見抜いた様だ。
デートのはずの陸王さんは一人…相手はいない。
俺は白川との甘い行為を悟られまいと慌てて話題を変える。
「あ…あれ?陸王さん!…デ…デートは終ったんですか?」
「ん?まだ真っ最中だぜ!」
「…え?」
ふと見ると、陸王さんの胸の中には一匹の小さな猫が…
「…まさか…陸王さんのデートの相手って……」
「そう、こいつ!気が強くて可愛い俺の恋人!最近忙しくて全然構ってやれなくてな…」
その猫は陸王さんにすっかり慣れている様で、うっとりとした顔で大人しく抱かれている。陸王さんも陸王さんでその猫を撫でたり喉元をゴロゴロしたりとベタベタ…
…お…おいおい…デートの相手ってそのにゃんこかよ?…陸王さん…なに言ってんだよ!…
そう思ったが…やっぱり陸王さんには逆らえない。
俺が呆然としていると…
「…あ…すまねーな!続けてくれ!じゃーな!」
俺達に気を使ったのか陸王さんは早々に立ち去っていった。
俺と白川は顔を見合わせる…
続けるったって…
さっきは雰囲気に流されてしまっていたが…よく考えると……
「わーーー!!!」
…俺は白川に一体なにを!…しかもこんな外で!…
冷静になった俺は慌てて白川から離れる。
「…滝のキス…すごい良くてちょっと感じちゃった…滝も興奮した?」
白川は小さく微笑むと俺の下腹部をそっと撫でる…俺の其れはさっきの白川との甘い行為に素直に反応して大きく熱く変化している…
「…ばっ…バカ!!触んな!!」
「…くくっ…滝のおっきくなってる…」
俺の大きく変化した男の塊は白川への欲情の証…
俺は自分の白川への欲情の塊に触れられ、白川に俺の心の内を晒された様…
…ダメだ…すんげー恥ずかしい…
俺は堪らなく辛い…
「ねぇ滝……いいとこまで行ってたのに…残念だったね…」
「……………」
白川の小悪魔な笑顔に俺は言葉が出ない。
「…次は最後までいけるかな?…」
白川は意地悪げに言うとくるっと身を翻して俺から離れていく…
俺の目に写るその後ろ姿…
あ……また小悪魔の尻尾がユラユラと揺れている…
…次は最後までいけるかな?…
白川の言葉が耳に残る。
…俺は白川と最後までしてしまうんだろうか?…
俺の下腹部の大きくなった其れが行き場のない想いを抱えてジンジンと疼く…
…しちまうな…多分…
なんだかわからない俺の中の妙な確信…俺は暫くその場を動けなかった…
*白川可愛い…♪なんなんですかね〜この小悪魔ぶり…そしてわかっていながらもそれに翻弄される滝も可愛い…♪この二人は最後までいっちゃうんですかね…?
この話は「Peach Novels」の【悪魔なキミ!〜love story〜】に続きます!
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