X'mas night
季節は冬…もうすぐX'mas…
俺と逆巻は恋人同士となって初めてのX'masを迎えようとしていた。
俺は相変わらず逆巻へのプレゼントで悩んではいたが……
でも、今回はこの間の逆巻の誕生日の時のような失敗は繰り返さない。まぁ…あのお陰で今の俺達があるんだけど……
「…なぁ、逆巻…X'masプレゼントは何がいい?」
「う〜ん…そうだな〜…」
次の日曜、練習が休みだった俺達はデートを兼ねてプレゼントの下見に出掛けた。
町はX'mas一色…どの店も賑やかに飾り付けし、行き交う人々はみな幸せそうに見える…
俺達は逆巻が好きそうな店を何店か回ってみたが、逆巻の顔がパッと明るくなる様なものにはなかなか巡り会えない…というより、逆巻は途中からあまり真剣に選んでいない様に見える……
「……どうした?疲れたか?」
「そうじゃねーけど…俺さ、やっぱ欲しいものないや!」
欲しいものがない?!そんなはずはない…いつも漫画やゲームが欲しい欲しいと騒いでいるのに…
「何でもいいんだぞ。遠慮すんな。」
俺は逆巻が遠慮してるかと思いそう言うと、逆巻は俺のコートの裾を掴んでそっと小声で言う…
「…じゃあ……X'masは五大と一緒にいたい……」
「……ん?それはもう約束してるだろ?…」
「…んー…そうじゃなくて…」
「…なんだ?」
「…その…な…」
「……?……」
「……五大と一晩中一緒にいたい!」
「……え?」
「実はさ、急に家族で旅行に行く事になって……俺はもう五大と約束してたから行かないって言ったんだ。そしたら母親が、家に一人はだめだけど誰か友達が泊まりに来るんならいいって……だから…五大が泊まれないかな〜って…」
「………」
一晩中という事は…俺の大好きな可愛く愛らしい逆巻と一緒に寝て、一緒に起きるという事…そして一緒に寝るという事は……
俺はあらぬ妄想で頭の中が一杯に……
「……さっ…さっ…逆巻が…いい…なら…」
まともに返事をしたつもりだったが、明らかに動揺していた。
「…俺はいいけど、五大は家は大丈夫か?」
「…あっ…ああ…俺はいいよ…」
「そっか!良かった!じゃあ…それがプレゼントな!」
無邪気な笑顔を見せる逆巻。
なんの思惑もないこの無邪気な可愛い笑顔…これは確実に誘っている訳ではない……
こいつは恋人同士が一晩を過ごすという事がどんな事なのかわかっているのか……?
多分……全くわかっていないだろうな……
俺はとにかく逆巻が好きで好きで堪らない…可愛くて可愛くて堪らない…大切で大切で堪らない…そんな堪らないばかりの俺が逆巻と一夜を過ごし、何も出来ないなんて…はっきり言ってそれは男として拷問に近い……
逆巻との仲はキス以上進展していない…でも…俺も男…もちろんその先にも進みたい。しかし、その一歩がなかなか踏み出せないのだ……それは多分、俺が理性で動く性分なのと、逆巻を大切に思うに余り……
どうしてもどうしても一線を越えられないのだ。
ただ、俺の強固な理性に支配される反面…俺の男としての本能も目覚めているのも確かだ。
逆巻との初めてのX'mas……初めての一夜……
俺は失われつつある自分の理性…その代わりに大きくなっていく欲望に一抹の不安を覚えた……
そしてX'mas当日。
俺達は少し早めに待ち合わせ公園へ向かう。
どこかへ行こうかとも考えたが、今日はどこも混みあっている。逆巻の希望で近くの公園でのんびりし、早めに逆巻の家に行く事となった。
同じ事を考えるカップルが多いのか、公園は結構賑わっている……俺達は空いているベンチに腰を下ろし、二人の時間を楽しむ事にした。
「なぁ…逆巻の家族は俺が泊まりに来ても大丈夫なのか?」
「お前さ…俺の親からの信頼が絶大なんだよな。今日も、泊まりに来るのが五大君なら安心ね〜…だってさ!」
逆巻の親は知らない……まさかその、安心ね〜…の俺と逆巻が実は愛し合っている恋人同士で、その恋人同士がX'masに二人っきりで一夜を過ごす事を……ちっとも安心ではないのだが……
ちょっとした罪悪感を感じつつ、俺は逆巻の両親に信頼されている事を知り、少し安心した。いつかは自分の親になるかもしれない…嫌われてるより好かれてる方が断然いい!
俺達は他愛もない会話をしながら二人の時間を十分楽しみ、夕暮れ前に逆巻の家へと向かった。
逆巻の母親が用意しておいてくれたX'masの料理を二人で仲良く分け合って頂戴し、お腹は十分満たされた。
プレゼントはいらないと逆巻に言われたけど…何もないのは寂しいと思った俺は、ささやかな品を用意しておいた。
俺が渡すと、逆巻も机の引き出しからゴソゴソ何やら取り出す…
手に持っているのは可愛くラッピングされている小さな袋………
「大したもんじゃねーし…」
なんて言いながら、逆巻は耳まで真っ赤にして俺に渡してくれた。
その後、風呂に別々に入る……ちょっと残念な気もしたが…もし一緒に入ったりしたら何をしてしまうかわからなかった俺は、正直少しほっとしていた…
風呂から上がってきた逆巻は可愛くパジャマなんて着ている。「可愛いパジャマだな〜」なんて意地悪気に突っ込むと、逆巻は「……うるさい!」とほんのり頬を染めて恥ずかしそうに怒った。
可愛い愛しい逆巻との楽しい時間…俺はとにかく幸せを感じていた…
時刻は11時過ぎ。
聖夜もだいぶ更けてきた……
「なぁ、五大…そっち……行ってもいい?」
逆巻がこう聞く時は甘えたい時…いつもそうだ。
俺の返事も待たずに、逆巻はいわゆる体育座りをしている俺の膝と膝の間にスルッと入ってくる。
身体の小さい逆巻は俺の両膝の間にスッポリと収まってしまう。普段もこうしては俺に背中を預け、漫画を読んだり…時には眠ってしまったり……狭くて窮屈ではないかと訪ねた事があるが…逆巻いわく、“ ちょうどいい ” らしい……
俺にとっては特別な一夜も、逆巻にとっては普段と同じみたいだ……
まだ少し濡れている逆巻の髪からは、シャンプーの淡い香りがしてくる…俺に預けた背中から逆巻の温もりと穏やかな胸の鼓動が伝わり…そっと首もとに顔を寄せると、パジャマから逆巻の匂いが……
俺の大好きな逆巻…ワガママで素直じゃなくて…でも本当は優しくて…無邪気な可愛い逆巻…俺の愛しい大切な逆巻…
…あ〜逆巻…なんて可愛いんだ!可愛い!逆巻が可愛い!俺は逆巻が大好きだ!!大好きだ!好きなんだ!!………
俺の中に逆巻への深い深い愛情が一気に溢れてくる
。
全身で愛する逆巻を感じ…自分の逆巻への愛情を意識した途端、俺は自分の身体の中を熱い衝動が込み上げてくるのを感じた。
……それは今まで我慢に我慢を重ねてきた俺の溢れる性欲…
その溢れる性欲に今までなんとか俺の男としての本能を抑えてきた真面目な理性があっけなく消し去られてしまう。
逆巻に対する俺の欲情がラムラと一気に沸き上がって身体中を駆け巡り…それは俺の溢れる性欲と合わさって俺の下腹部に大きな変化をもたらす……
……俺にはもう理性の欠片もなかった。
「…逆巻!!」
俺は本能のままに逆巻にガバッと抱き付くとその小さな身体を力強く抱き締め、そのまま一気に床に押し倒す。
そして逆巻の身体を強く押さえ付け、その可愛い唇に吸い付くと貪る様に何度も何度も激しく吸い上げる…緩く開いた逆巻の唇の隙間から自分の舌を無理矢理滑り込ませ…逆巻の小さな舌を絡めて執拗に舐め廻す……
十分に逆巻の口の中を舐め尽くすと次は逆巻の首筋に舌を這わせ、パジャマの中に手を入れてその小さな身体を撫で廻す……
「………ん………?…」
そこまでして、俺は逆巻の変化に気が付いた……
なんの抵抗もせずに俺にされるがままの逆巻……
…………ね……寝てる………………
…なんと…逆巻は眠っていたのだ……
俺の激しいキスにも何だか無抵抗だな…とは思ったが、まさか…まさか寝ていたとは……
…さ…逆巻…それはないだろぉ……
俺の精一杯の攻めは全く報われず…
俺は一生懸命頑張っていた自分が可笑しいやら悲しいやら…張り詰めていた心と身体の力が一気に抜け落ちた…
俺は仕方なく、幸せそうに寝ている逆巻を起こさない様にそーっとベッドに運び寝かせてやる……そして、自分も逆巻の側に寄り添う様に横になると毛布を被った。
俺のすぐ側で眠る逆巻…まさか俺に襲われてたとも知らず…すやすやと柔らかい寝息を立て安心しきった穏やかな顔で眠っている…
…逆巻のヤツ……可愛い顔して寝やがって…なんの警戒心もないのかよ……
逆巻の幼く可愛い寝顔…
あ〜…まだまだ俺の思いは遂げられなさそうだ…
「…まったく……逆巻…拷問だぞ…」
俺はそう呟くと、憎らしいほど可愛い寝顔をしている逆巻に軽くキスをする…せめてもの俺の復讐だ。
「…はぁーー…………」
深いため息と共に、俺は自分の下腹部のモヤモヤしたモノをどうしたらいいものかと思案を巡らせる……
しかし…そこに身体中の熱を奪われてるせいか…あまりにもガッカリしたせいか…俺の頭が全く働かず…このモヤモヤを抑えられる方法は思い付かない…
「……はぁぁーーー……………」
俺は再び深いため息をつきながら逆巻の可愛い寝顔の側に顔を寄せ、首元に顔をうずめる。
逆巻の淡い匂いを感じつつ、目を閉じた……
「……んっ……」
俺は朝日を感じ、ゆっくりと目を開ける……
……あ…俺も知らない間に寝てしまったんだな……なんてぼんやり考えていた俺の視界に入ったのは、至近距離の逆巻の顔……
「わーー!!さっ…逆巻…!!」
「おはよう、五大!」
慌てる俺をよそに、逆巻はニコニコと笑顔で俺を覗き込んでいる。
「…お…起きてたのか…?」
「うん!五大の寝顔ずーっと見てた!お前、可愛い寝顔してんな〜…練習の時はあんな厳しいくせに……」
「…うう…一体いつから……」
俺はどんな顔をして寝てたんだろう…思わず顔が赤くなる……
「その…ゴメンな〜五大…俺…先に寝ちゃったみたいで…」
一応、先に寝てしまった自覚はあるらしい……
逆巻の照れながら謝る申し訳なさそうな顔がすごく可愛くて…俺はつい意地悪を言ってしまう……
「ダメだ!」
そう言って逆巻に抱き付くと無理矢理自分の毛布の中にに引っ張り込む。
「…わっ…五大…やめろって!…」
「やめない!昨日先に寝てしまった罰だ!」
俺は照れて嫌がる逆巻を強く抱き締め、俺の腕の中の愛しい逆巻を存分に楽しんだ……
こうして俺と逆巻の初めてのX'masが終った。
なんてX'masなんだろうとも思ったが…まぁいいか…とも思う。
俺と逆巻がずっとこのままでいればX'masはこれからも何回もあるし、それ以外にも楽しい事は沢山ある!
逆巻との仲だって、少しずつ進んでいけばいい訳だし……
…まぁ、そういう事にしておこう!
*可哀想な五大…でも、それでも楽しそうですけど♪
幸せですね〜…この二人……ほんと、五大と逆巻が可愛くて……次は学校モノを書きたい!
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