僕と陸王くん!〜story2〜
陸王くんのバス停での突然の告白から2週間。

…あ〜…いよいよこの日が来ちゃったよ…
今日は約束していた練習試合の打ち合わせをするために、その陸王くんが峰小学校に来る日…
それでなくても僕はあの日の陸王くんのキスが忘れられないでいるのに…3日前に顧問の先生から「荒崎の主将が打ち合わせにくるから」と聞いて以来…僕は一気にオロオロそわそわ…とにかく落ち着かない毎日を過ごしてて。

なんでこんなに僕がそわそわしてるかと言うと…この間の陸王くんの僕への告白に、いよいよ返事をしなくちゃいけないから…
…陸王くん…次に会う時に返事をって言ってたもん…つまり……今日がその時だよね?……
陸王くんが来る時間までは決まってないみたいだったから、陸王くんがいつ来るかと気になって僕は練習の間中ずっとそわそわしちゃって…走れば転んじゃうし、ボールは上手くキャッチ出来なくて弾いてばっかりだし…
部員のみんなもいつもと違う落ち着かない僕に気付いてたんだろうな…なんか恥ずかしい。

夕方6時…練習終了の時刻。
2時間の練習もあっという間に終ってもう着替えて帰らなきゃいけない時間…でも肝心の陸王くんはまだ来ない。

「秋山キャプテン…陸王のヤツまだ来ませんね…」
「…うん………」
…どうしたのかな?確か…約束は今日だったよね?…

「どうする?暗くなってきたし…もう着替えてもいいかな?」
「…うん。遅くなると悪いし僕はもう少し待ってみるから、みんなは先に帰りなよ!」
…あ!ついそんな事言っちゃった!よく考えたら…もしみんなが帰った後に陸王くんが来たら…二人っきりじゃない!!どーしよ!どーしよ!
でも…みんなには言えないよね…陸王くんが打ち合わせのついでに僕の告白の返事も聞きに来るなんて…

「え?!でも……」
「ぼっ…僕なら…大丈夫だよ!」
心配する部員達に僕はキャプテンらしく精一杯の笑顔で答える…
…本当はちっとも大丈夫じゃないんだけど……

「…じゃあ…秋山キャプテンお疲れ様でした!」
「キャプテン、また明日!」
みんな口々にそう言うと、一人…また一人と部室を出ていく…そして最後には僕は一人に…
しん…と静まり返る部室に僕は一人きり…外は日も暮れかけて薄暗くなってきてなってきてる…

…あー…ついに一人になっちゃったよぉ…陸王くん本当に来るのかな?…
この2週間、色々考えてみたけど…陸王くんの事好きかどうかなんて自分の気持ちもよくわからなくて。考えてもみない事だったから…でもね、告白の返事は出てないけど…陸王くんにちょっと会いたい気持ちもあるんだよね。
この間会った時の陸王くん…優しくて穏やかで可愛くて…話しててすごく居心地良かったんだよね…落ち込む僕の事励ましてくれたり…すっごく優しかったんだ!
……最後にキスされちゃったけど…その時はびっくりしてとにかく驚いちゃって…やっぱり陸王くんは悪い人なのかも…なんて思ったけど…でも時間が経ってみるとなんか全然嫌じゃなくて………少し嬉しかったりして。だって、あの陸王くんが僕の事好きになってくれたなんて…やっぱり嬉しいって思っちゃうよ。
僕はこの間陸王くんに奪われた唇をそっと触ってみる…何日経ってもあの感触が忘れられなくて…
ちょっと意識しただけで、僕の唇にあのキスが甦ってくる様な感じ…

「早く陸王くん来ないかなぁ……」
いつまで経っても現れない陸王くんに、会いたい気持ちがなんか少しずつ大きくなってきちゃう…陸王くんの事待ち遠しくて仕方なくなってきて…
僕…一体どうしちゃったんだろ…?

ーコンコン…
僕がぼんやりそんな事考えていると…部室をノックする音が聞こえた。
その音に僕の心臓がドキッと高鳴る…もしかして……

「ど…どうぞ……」
……ガチャッ…
ドアが開く音と共に入ってきたのは…やっぱり陸王くん!!

「よぉ秋山!すまねーな…遅くなっちまって…」
陸王くんは片手をあげてニコニコと笑いながら部室に入ってきた。
…あ〜!陸王くんだ!やっと来てくれた!

ずっとずっと待ち遠しく思っていた陸王くんに会えて、僕は思わず陸王くんに駆け寄る…
「陸王くん!!」
「ごめんな。待たせちまって……あれ?他のヤツらは?もうみんな帰っちまったのか?」
「…うん。僕達の練習は6時までなんだ。」
「そっか……秋山は帰らなかったのか?」
「その…僕はキャプテンだから!…べっ…別に陸王くんを待ってたとかじゃないから!絶対違うから!…キャプテンとして!…別に…その……」
…あ!これじゃあ陸王くんを待ってたって言ってる様なもんだよね…恥ずかしい…
余計な事まで言っちゃって…僕は自分の顔が真っ赤になってるのがわかっちゃった。

「ククッ…相変わらず秋山は正直だな〜…」
真っ赤な顔でオロオロしてる僕を見て、陸王くんは優しく笑う…
…あ…またこの笑顔……やっぱり……可愛いかも…
陸王くんが僕に見せるこの笑顔…なんかこの笑顔を見ると…胸がきゅーんってするんだよね……僕はその優しい顔につい見とれちゃって…

「秋山?まーたお前は…ぼーっとして…」
陸王くんの言葉にハッと我に返る…
…あ〜…陸王くんの笑顔って可愛いなぁ〜…なんか見とれちゃうよ……
僕の顔…きっとすっごく赤くなってるよね…

あ!…そういえば……今、この部室にいるのって…僕と陸王くんの二人だけじゃない?!僕はふと気付く…
陸王くんと二人っきり…そう思うと…なんか急に緊張してきちゃった!どーしよ…僕の胸は急にドキドキと高鳴る…

「あれ?お前まだ着替えてねーじゃん…いいの?」
「えっ?……あっ…そういえば…」
陸王くんがいつ来るかってずっとそわそわしていた僕は自分の着替えなんてすっかり忘れてた…
転んだりしたせいで、練習着は真っ黒に汚れてる…とりあえず僕は着替える事に。

「り…陸王くん…僕とりあえず着替えるから、そっち向いてて…」
「はぁ?お前…恥ずかしいのか?俺達男同士だろ?」
…僕の事、女みたいなもんだって言ったのは陸王くんじゃないか…
僕だって他の人達となら着替えなんて全然恥ずかしくないけど、相手が陸王くんとなるとなんか意識しちゃって…やっぱりこの間の陸王くんとのキスのせいだよね…

「だって恥ずかしんだもん…」
「…またお前は女みてぇな事言って…仕方ねぇなぁ。」
陸王くんは僕に背中を向ける…僕は陸王くんがそーっと見るんじゃないかと心配で慌てて着替えを始めた。
砂や泥で汚れたシャツを脱いで私服のシャツに着替えると…次はハーフパンツ…

「…あれ?…あ…」」
「なんだよどうした?」
「…ここの紐が固く結ばれちゃって…」
慌てて着替えようとしたせいか、僕のハーフパンツのウエスト内側の調節紐が固く結ばれちゃってほどけない…

「ちょっと見せてみろ…」
陸王くんはそう言うと僕のお腹にぐっと顔を近付ける…
…うわっ…陸王くんの顔が!…なんか恥ずかしい…

「お前…無理矢理取っただろ?すっごい固く結ばれてるぜ…仕方ねぇな〜…俺が取ってやるよ…」
「えっ?!いいよ!じっ…自分でやるから!」
「いいから…お前不器用そうだし俺に任せとけって!」
陸王くんはあっという間に僕の後ろに回り…後ろから僕を包むように腰に手を回す…
…ええーー?!こんな…後ろから?…

「…よく見えねぇから上のシャツ持ってろ。」
「……うん」
僕は身体の大きな陸王くんに後ろからすっぽり包まれて…なんか…これって…陸王くんに後ろから抱き締められてるみたいじゃない?!
シャツを上に上げてるせいで、僕のお腹と腰は露になって…その辺りを陸王くんの両手がゴソゴソと動いてる…あ〜…時々陸王くんの大きな手が僕のお腹に直に当たっちゃって…くすぐったいよ…
僕の肩には陸王くんの男っぽい顔が乗っていて…陸王くんの吐息が僕の耳にかかってるみたいで……なんか…なんかすごく変な感じ…身体の奥がゾクゾクしちゃって…

「…ほっそい腰だな…」
陸王くんはそう言うと紐をほどいてた手を止めて僕の腰とお腹を柔らかくさらっと撫でる…
「…うわぁ!り…陸王くん!なにしてんの!」
「ははっ…わりぃ…つい手が滑っちまって…」
陸王くんのいたずらに、僕の胸がドキッと高鳴る。
…もう!陸王くんってば!絶対わざとだよ!…あ〜…なんかドキドキしちゃう…

「ほら、取れたぜ。」
「…あ…ありがと…」
紐がほどけても陸王くんは僕を離さずそのまま…

「…り…りくおーくん?………」
「あ〜…秋山…可愛いっ…」
陸王くんはそう言うとそのまま僕をぎゅーっと抱き締める…
「…ちょ…ちょっと陸王くん!やだ…離してよ…」
「………無理…」
陸王くんの大きな大きな身体に包まれて…その温もりが僕の身体中に伝わってくる…僕をしっかりと抱き締める力強い腕…あ…陸王くんすっごいあったかい…なんか身体の奥のゾクゾクがすごいよ…

陸王くんは僕の耳元でそっと囁く…
「…なぁ〜秋山…この間の返事聞きてぇんだけど…」
「…なっ…なに?へ…返事って……」
この2週間、片時も頭を離れなかった事をいよいよ聞かれ…僕は思わず言葉を濁してしまう。

「この間バス停で言った事…俺と付き合わないかって…」
「……そんな…僕は男だし…」
「言ったろ?お前みたいなちっこいヤツ、俺にとっては女みたいなもんだって!」
…僕…陸王くんからみたらそんなに女の子みたいなのかな……
僕は恥ずかしさの余り、わざと冗談っぽく言ってみる…
「り…陸王くんはきっと僕が女の子みたいだからからかってるんだろ?」

「……そんなんじゃねーよ!!」
陸王くんの真剣な声…僕を抱き締める腕の力がもっと強くなって…顔は見えなくても陸王くんの真剣さがじんじんと伝わってくる…

「…俺は本気だぜ…お前が好きだ。俺と付き合って欲しい。秋山……」
よく見ると僕を抱き締めている陸王くんの手が少し震えてる…
僕の背中に陸王くんの激しい鼓動も伝わってきて…もしかして陸王くん……緊張してるの?
男らしくて…逞しくて強くて…みんなが怖れて憧れるあの陸王くんが…僕に告白して緊張してるんだ………この間は僕の気持ちも考えないであんな強引にキスしたくせに、今日はこんなに緊張して…どっちが本当の陸王くんなんだろ…もう…そんな切ない声で僕の名前呼ぶのやめてよ…
…僕はそんな陸王くんがすっごく可愛いく愛しく思えちゃって、思わず…
「………うん。」
…頷いちゃったんだ。

「…マジ?!いいのか?!」
「だから……うんって…」
「………すげー嬉しんだけど…」
陸王くんはそう言うと僕を自分の方に向かせて少し僕を見つめると、またぎゅーっと抱き締める。やっと見えた陸王くんの嬉しそうな顔…僕まで嬉しくなっちゃって。

陸王くんは僕の身体を少し離して僕の腕を強く押さえる…陸王くんの顔は僕の目と鼻の先…間近で僕を見つめる男っぽい顔…
…陸王くん…すっごいカッコいい…なんか身体の力が……

男っぽくて逞しい陸王くんに迫られて僕の身体は力が入らない。またゾクゾク感が身体中に甦ってきて…身体の奥がきゅーって熱くなって…こんなの初めて…
勘のいい陸王くんは僕のそんな変化に気付いたみたい…

「…なんだよ……力抜けてんじゃねーか…どうした?俺に惚れた?」
「……うん…」
「…ははっ…マジ?そんなに可愛くすんなよ…堪んなくなっちまうぜ…」
「り……りくおーくん………」
「…秋山……好きだぜ…」
「僕も……なんか好きなっちゃったみた……」
僕が言い終わらない内に…あっという間に僕の唇は陸王くんのもの……陸王くんは深く深く口づける…
「……んっ…」
…あ…息が止まりそう………

「…んー…秋山可愛い…」
陸王くんはそっと唇を離すとまた僕を優しく抱き締めて…僕の髪をそっと撫でる。
僕は素直に陸王くんの逞しい腕の中…そっと陸王くんの背中に手を伸ばしてその大きな背中にしがみつく…
僕の耳に伝わってくる陸王くんの力強い鼓動…なんかすごく温かい…
優しい陸王くんに包まれて愛情がいっぱい伝わってくるみたいで…僕はなんだかぼんやり……なんか…頭の中が真っ白になっちゃって…僕は陸王くんにされるがまま…
…陸王くんの方が可愛いよ…あ〜…なんだろこの感じ…僕…幸せかも…


僕がぼんやり陸王くんの愛情に浸っていると…陸王くんが僕の耳元でそっと囁く…
「お前…よく解ってねぇかもしれねーけど、付き合うって事はさ…つまり…俺と××したり…×××したりするんだけど………大丈夫か?」
「…え?………」
…××したり…×××したり?!…わわわ…よく考えたら…すっごく怖い!!
付き合う=×××が急にリアルに思えちゃって、僕は一気に現実へ…僕は慌てて陸王くんから離れる。

「大丈夫じゃない!ぼっ…僕やっぱり付き合うのやめる!!」
「なに言ってんだよ!今さらそんなんダメだぜ!」
「……だってそんな事…僕には絶対無理だもん!」
「大丈夫だって!俺が優しーく教えてやるから…」
…それが一番怖いんだよぉ!
陸王くんの×××ってすごく激しそうで……そもそも男同士ってどうやってするの?!陸王くんが優しーく教えるって…なんか怖い!怖いよぉ!
僕は正直怯む…

「とにかく、お前は俺と付き合うんだよ!…もう…お前は俺のもんだからな…わかったか?……」
陸王くんの僕を見る鋭い目付き…さっきの優しい陸王くんはどこへやら…
…わわわ…!どーしよ!どーしよ!…
僕はオロオロ…
陸王くんはジリジリと少しずつ僕に迫り…その威圧感に圧倒されて僕は後ずさる…あっという間に僕の後ろは壁…
あ…もう後がない…
陸王くんの顔が僕に迫る…さっきとは違う意味で僕の身体は動かない…

「秋山…俺の愛情表現すっげー激しーからな〜…覚悟しとけよ…」
…ひぇぇぇーー!
陸王くんのニヤッと笑うその意地悪そうな顔…ううっ…怖い……でもそんな陸王くんも可愛いなんて思っちゃう自分もいたりして…

「秋山…可愛いぜ……」
陸王くんは僕の頬っぺを両手で優しく包んでまたキスをする。
長い長いキス…陸王くんのあったかい唇から、陸王くんの愛情が僕にじんじん伝わって…僕の身体はまた力が抜けちゃって……
唇を離すと陸王くんは僕の髪を撫でて優しく笑う…その笑顔につられて僕も思わず笑顔…
…陸王くん…怖いけど…可愛いや…僕……陸王くんとなら………

陸王くんが僕の恋人…あ〜…どんな毎日が待ってるんだろ…不安なような嬉しいような…断然嬉しい方が大きいかも!
そんな風に思っちゃうなんて…やっばり僕…陸王くんに惚れちゃったのかも…ね……





*あ〜…秋山くんが女の子みたいに思えてしまう…完全に陸王にときめく乙女です…可愛い……陸王もワルかっこよくて…こんなに陸王に惚れない男はいないでしょ!…と思って書きました♪女の子みたいな秋山くんが本当にツボなんで…なんて可愛いCP♪また次も書きたい!
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