独り占めジプソフィラ
「グレース、24日って何か予定ある?」
「にじゅうよっか…24…?!」
少し考えて、ハッとした表情を浮かべ慌てるグレース。
かわいいな。
グレースが俺の誕生日プレゼントについてめちゃくちゃに悩んでいる事を、万里や先輩からなんとなく聞かされていた。
この反応はまだ何も決まっていないのだろうか。
おろおろと言葉を探しながら視線を泳がせていた。
「何もない…ううん、なくない!イタルの…!ち、違う…ないけど、うぅ…」
「あああごめんグレースごめん、落ち着いて」
上手く言えず混乱、涙目の彼女が可哀想になってきて、抱きしめて背中をトントン叩いてやると落ち着きを取り戻したグレースは小さな手で俺の服をぎゅっと握りながら口を開いたが、彼女の言葉を遮るように言葉を重ねた。
「24日、一緒にどこか出かけない?」
「おでかけ?」
「そう。俺、誕生日なんだよね」
わざわざ誕生日に有給取るとか草だけどたまにはいいだろ、許して欲しい。
「グレースとデートがしたいなー、なんて」
「デート…?」
「そう。…えっと、デートってわかる?」
いざ言葉にするとなんかめっちゃ恥ずかしいし、グレースのポカンという反応はこれ失敗ルートか?
恐る恐る伺うと、何度も首を縦に振るグレース。
「わ、わかる!でも、わたしとデートでいいの…?イタルのたんじょーびだよ、とくべつなのに。もっと、とくべつな事…」
「いつもは皆のグレースだけど、特別に俺だけのグレースになってよ。ダメ?」
ダメじゃない!と今度は首を横にいっぱい振る。
キラキラと忙しなく舞う金色の髪を抑えるように、指で梳かす。
限定だという最近使い始めたシャンプーの、桜の香りが指に移った気がした。
そして誕生日、当日。
「イタル、おまたせ!」
ピンクに花柄のワンピース、髪は少し高い位置でツインテールにされていて、リボンで結われている。
莇め…よくわかってるな。
幼女×ツインテは正義。
「おたんじょーびおめでとう、イタル!」
「ありがとうグレース。すっごく可愛いよ」
「めいっぱい可愛くしてもらった!」
スカートの裾を持って得意げにくるっと回るグレースは最高に可愛く、とんでもない天使だった。知ってた。
「わたしがプレゼントだよ。今日はイタルだけのグレースです!」
まって。
天使がいますごい滅びの呪文を唱えなかったか?
ほぼ無意識にスマホを取り出し、カメラを起動させて動画モードにする。
「…まって。まって、動画撮るから今のもう一回」
「ダメー!はやくお出かけ行こ!」
手を取られて玄関まで引っ張られる。
今日はこの可愛らしいプレゼントに、めいっぱい甘やかしてもらおう。
繋がれていない方の手で、にやけているであろう口元を隠した。