いつからかわからないが、この二人は私のことをよくとりあう。
「みょうじ、そのからあげ」
「これ?」
「あーん」
「はいはい」
ちょうだいと言われなくても、すでに口を開けて待ち構えているので食べたいということがすぐにわかる。
そのやりとりを見ていたブン太があわてて「俺には?」と聞いてくる。
そんなに慌てなくても多めに持ってきているのに本当に食いしん坊だ。
いつも友達と食べていたのに、今はすっかりこの二人と私を入れた三人が定番になっている。
いや、私は友達と食べたいのにどうも手をまわされているようでそれがかなわない。
「ブン太はデザートをわけてあげる」
「やりい!」
それに対して仁王がすかさず反応した。
「丸井のために用意したんか?」
「私のため!いつも二人に食べられて足りないんだもん」
文句を言ってやったのに丸井のためじゃないとわかると「なんじゃ」と興味をなくした。
なんじゃじゃない、大事なことだし!
足りないんだと言ったことに対してブン太は「じゃあこれやるよ、あーん」と玉子焼きを差し出してきたので遠慮なくいただいた。
「やった!あーん」
もぐもぐと美味しく食べていると仁王が「丸井が食べ物やるなんて今日は嵐ぜよ」なんて喧嘩をうるもんだから「人をなんだと思ってんだよい!」と騒がしくなる。
「二人ともさーどうでも良いけどさーなんで私にかまうのよ」
ついに核心にせまることを問うと、二人は動きを止めたあとに「あれは忘れもしない」と頷きながら話はじめた。
ある部活が終わった帰り道、目の前を歩いていた料理クラブであろう女の子がクッキーに塩を入れて失敗したんだと話していた。途中で気が付いて砂糖と入れ替えたものの取り切れなかったんだと。
それをみょうじがちょうだいって食べて「流行の塩クッキーみたいで美味しいよ」とペロリと食べた男前さに惚れたんだ。
「……男前って」
私もそれ覚えてる、本当に絶妙なしょっぱさで美味しかったんだよ。
ただ食い意地がはっていただけだったのに二人の中ではどうやら美化されているようだ。
「くいもん無駄にしないとことか」
「美味しそうに食べる姿が可愛くて」
だから最近お昼を一緒に食べたがるのか。
「「だから好きになった」」
「…………ええ!?ナチュラルに告白!?」
いきなりの告白に戸惑いつつ動物扱いされている気もしなくもない。
「今はまだどっちと付き合うか決めんで良いきに」
「俺たちのことをちょっとずつ知っていつかは好きになってくれよぃ!」
前向きすぎるだろ!
驚きを隠せない私に絶対俺を選ぶとかなんとか言い合う二人。
「わかったよ…でも好きになるかわからないよ?」
「大丈夫じゃ」
「俺らイケメンだからな」
「自分で言うあたり残念だよね」
「「まあ」」
「覚悟しんしゃい」「覚悟しろよ」