少し肌寒い中、屋上でお弁当を食べた。そのあと幸村の育てている花を見ていたが数分で飽きてしまった。
「秋だー!ね、秋と言えばなんでしょう!?」
「いきなりだね。秋と言えばやっぱり」
「やっぱり?」
「芸術だよね」
「ガッデム!芸術かよおおおおおおお」
そっかーそうだよね幸村はそういうタイプの人間だよね。つまらんと寝転がるとなんだったら満足だったのかと聞かれた。
「そりゃもちろん食欲の秋でしょ」
「みょうじっぽい」
「そうだ、丸井と秋を楽しめば良いんじゃん」
私も天才的〜と大の字に広がり伸びをする。幸村が足元を凝視しているのでおかずでもこぼしたかなと思ったが、確認するほどでもないのでそのまま動かずにいた。
「惜しいな」
「なにが?」
「もう少しで見えそうだった」
「変態!もういい丸井の所に行く」
のそのそと起き上がりお弁当箱を手に取る。
「ねえ」
「ふーんだ」
「丸井のこと好きなの?」
「え?そりゃ好きだよ」
もしかして二人の間に何かあったのでは、深刻そうな表情が心配で立ったばかりの腰を下ろした。しかし何か話そうという素振りがない。どうしたものか考えていると、あーあと小さく呟く声が聞こえた。どんな話が飛び出すのか少し身構えたが、思っていた内容と違いすぎて呆気にとられる。
「俺のこと好きになればいいのに」
「え、なに?いきなりどうしたの?」
「ああ……突然ごめんね?」
「あ、うん、いや、そうじゃなくてね」
そうじゃなくて、なんだろう。自分でもよくわからなくて助けを求めるように幸村を見るがさっきとは打って変わって楽しそうにしている。
「俺、あんま気が長くないからさ」
「う、うん」
「早く俺のこと好きになりなよ」
ニッコリ笑っているはずなのになんとも言えない恐怖があって、考えさせてくださいという言葉は飲み込んでしまった。
秋:「俺のこと好きになればいいのに」「突然ごめんね?」
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