◇自分の気持ちに気がついた天体観測

全ては顧問の一言から始まった。




「うわあ!めっちゃ綺麗やなー!」

「金ちゃん走ったらあかんで」

「白石大丈夫ばい、俺がついとくけん」

「なまえーはよ来いやー」

「謙也が速すぎるねん!」



次々とバスから降りていく。



「みんな子どもっすね」

「お前もじゅうぶんお子ちゃまや」
オサムちゃんが財前の頭をぐわしとひとなでする。

「あ、銀さん荷物私も運ぶよ」

「おおきに」

「マネージャーやからね」
にこっと答える。

「小春〜さ、お手をどつぞ」

「あらユウ君ありがとう」
きゃぴきゃぴとした空気を出しているラブルス。




「みんなーロッジに荷物置いたら広場に集合や!」
オサムちゃんの呼び掛けにみんなが返事をしてそれぞれの部屋に入っていく。




「みょうじは俺と同じ部屋な」

「女の子やのにオサムちゃんと同じ部屋だなんて!」

「安心しろお子ちゃまには興味ない」

「きいいい!」




広場に行くとともうみんな集まっていた。




「それにしてもオサムちゃんもロマンチストよね〜みんなで星を見に行こうだなんて」
小春ちゃんが体をくねらせて言う。

「ほんまよね、望遠鏡なくてもめっちゃ綺麗に見える!」
オサムちゃんが頑張って望遠鏡を組み立てている横でつい口にだしてしまった。

「なまえも言うやんけ!」
向かいで笑っているのは謙也だ。

「でもほんま綺麗やな」
隣に座っていた白石がぼそっと呟く。

「白石も星好きなん?」

「せやな、たまにはこんなんも良いな」

「中々ゆっくりできへんもんな部長」

「なあみょうじさん」

「ん?」

白石の方を見ると。
私の事を真っ直ぐ見ていて。
あまりの真剣な表情に息をのんだ。



「今度は二人で来ような」



白石の言葉は私の頭の中をぐるぐると走り回っている。
遠くから星が綺麗だと言う小春ちゃんにお前の方が綺麗やでと返す一氏君の声が聞こえてくる。

あまりに突然のことで返事をできずにいると
白石ー!と金ちゃんが呼ぶ声がした。
それになんやと答えて去っていく白石。



もう星どころではなくて。
私の目は白石ばかり追いかける。






自分の気持ちに気がついた天体観測。