想いは同じ

マルコと付き合ってから半年は経つ。付き合うまでは彼も私のことを好きでいてくれているなんてわからないくらいには他の皆と変わらない接し方だった。私の方が年下だし大人の余裕ってやつなんだろうなと思っていた。のに、付き合ってわかったが彼はヤキモチ焼きだ。そして束縛をしたがる。

「おい」

「マルコ、どうしたの?」

「なまえこそこんな時間に何してる」

寝ていたけど喉がかわいて水を飲んだ帰りにバッタリ会った。なぜか不機嫌でどうしたと聞いても質問で返されてしまう。こういう時は大体なにか妬いている時だ。だけど一人でいる今思い当たることはなくて素直に答えた。

「お水飲みに行った帰りだよ」

「そんな格好でうろつくな」

「暑いもん」

ノースリーブにハーフパンツというとてもラフな格好だ。ただのパジャマだし夏島が近いここはとても暑い。寝る時くらいこれでもかというくらい薄着になりたい。

「襲ってくださいって言ってるようなもんだよい」

「そんなことないよ」

「言うこと聞けねえのか?」

「……わかったよ」

ほら、と渡されたのは今彼が着ていたシャツだ。大人しく羽織るとワンピースのような着丈になり身長差を感じてドキドキする。彼の爽やかな香りに包まれ、温もりを感じてまるで抱きしめられている感覚に陥る。

「やっぱりちゃんとした服を着ろ」

「え?」

「その格好逆にそそって駄目だ」

はあ、と大きくため息をつかれてしまったが言う通りにしただけなのにと反抗心が芽生えてしまう。しかしこうなってしまった彼に何を言っても聞いてもらえないので黙って頷いた。とりあえずシャツは洗って返すとだけ言って部屋へ戻ろうとしたが、前まで送ると言ってついてきた。すぐそこだというのに。

次の日は半袖にミニスカートで朝食へ向かうと、食堂の前でマルコが待っていた。上から下までチラリと見て眉間に皺を寄せる。やはりミニスカートが駄目だったか。でも可愛くて好きだから着たい。その表情に気がつかないふりをしておはようと声をかけた。朝だからかわからないが少しの沈黙の後におはようと返ってきたからほっとした。

朝食をとったあと、マルコは仕事に。私はエースと訓練の約束があったので本気をだして挑んだ。しかし隊長というだけあり悪魔の実の能力を使わずとも打ちのめされた。

「なんでそんなに強いの〜」

「なまえも強くなってきてるって」

全力を出し切ったため力が入らず、隣に座ったエースにもたれかかった。それを戦いの後だと言うのに息ひとつきらさず軽々と受け止めてくれる。

「本当に?」

「おお、一瞬能力だしかけた」

「え!そんなに!?嬉しいなあ!」

今までは能力使うまでもないと軽くあしらわれてきたので、その言葉は素直に嬉しかった。よりかかって会話をしているのもあったが興奮のあまり距離が近くなっていたのに気が付かなかった。

「倒せる日も近いんじゃない」

「それはねえよ」

額をくっつけて笑いあっていると影ができた。海の天気はかわりやすい。雨でもふるのだろうか、上を見あげるとそこにはマルコがいた。

「なまえちょっとこっちに来い」

いつもよりずっと低い声での呼び出しだ。きっとこれは長くなる。思い当たる節は、エースとの距離感だろう。エースは恋より食い気が勝っているしそれこそ兄妹であってそんな目で見られることなんて絶対にないというのに。渋々とついて行くとマルコの部屋にたどり着いた。

「俺を嫉妬させるのがそんなに楽しいかい」

「え……?」

また怒られるのだろうと思っていたのに寂しそうな声でそんなことを聞いてくるものだから思ってもいない言葉に咄嗟に返事ができなかった。

「何度言っても肌を見せる」

「暑いから……」

「エースとの距離感も近いまま」

「楽しくなっちゃって」

「言い訳が聞きたいわけじゃねえ!」

でもでもだってを発動してしまいそれが彼の逆鱗にふれた。彼の言うこともわかる。もしこれが逆の立場でナースとゼロ距離で笑いあっていたら気が気じゃない。だけどついつい忘れてしまうのだ。マルコと付き合う前からの仲だから。

「ごめんなさい」

「その言葉はもう何回も聞いた」

「気をつけるから」

「頼むから、不安にさせないでくれ」

「みんな家族だもん、大丈夫だよ……」

家族だから、その言葉に言葉をつまらせる。不安なのはわかるが、同じくらい信用信頼しているのを知っている。そこにつけこむような言い方をするのはずるいとわかってはいるがやめられなかった。

「でも、家族の俺は家族のなまえが好きなんだ」

「私もマルコが好きだよ」

「だから、他にも狙ってるやつがいるかもしれねえだろ」

「それはマルコもだよ、モテるもん」

「俺はなまえしか見てねえ、なまえしかいらない」

「それは私も同じ気持ちだよ」

辛そうな苦しそうな顔をする彼の背に手をまわすと、言葉とは裏腹におずおずと両手をまわしてきた。だから、大丈夫だと、私にはマルコしかいないと、そんな気持ちをこめてぎゅっと抱きしめた。