答え合わせは持ち越しで

魔法史の時間、一本調子で退屈な授業でとても起きていられない。隣でノートをとっているリリーって本当にすごい。 毎回ちゃんと起きてノートをとろうと頑張ってみても、気づけば授業は終わっていてリリーに起こされるばかり。いつも魔法史のノートを写させてもらっている。リリーに申し訳ないし、頑張って集中していたはずなのだけれど、睡魔に手招きされて意識をもっていかれそうになっていた。

うつらうつらと夢の国に旅立とうとした時だった。丸められた羊皮紙がわたしの後頭部を直撃したのは。何事かと回りをキョロキョロと見回せば、シリウスが頬杖をついてニヤニヤとこちらを見ていた。イラッとしたので睨んでみれば、口パクで「ひ、ら、け」と言っていた。丸められた羊皮紙を持ち上げると、コクコクと頷いている。無視してやろうと思ったけれど、それをシリウスは感じとったのか、新しく羊皮紙を丸めようとしていたので、仕方なく羊皮紙を広げた。



"明日のホグズミードは俺と行くぞ"



「何よ、コレ」



書かれていたのはそれだけで。何故わたしがシリウスとホグズミードに行かなければならないのか。特に仲が良い訳ではないのに。いつものようにリリーと行くつもりだから、後でちゃんと断っておこう。そういえば、シリウスは課題に使える本を教えてくれたり、変身術のコツを教えてくれたり、何かと優しくしてもらった気がする。

それらを思い返すと、今まで意識していなかったけれど、急に照れ臭くなって顔が熱くなってきた。眠気なんて飛んでいってしまったし、ノートどころではない。

結局眠ってしまうことはなかったけれど、ノートをとることもなかった。リリーにまたノートを借りることになりそうだ。授業が終わって荷物をまとめていると、リリーがわたしの顔を覗き込んで顔を真っ青にしていた。



「リリー?」
「なんてことなの、ナマエ!あなた顔が真っ赤よ!熱でもあるんじゃない?医務室に行きましょう!」
「え、あ、いや、熱じゃないの!」
「俺にお熱、だもんな」



後ろからやってきたシリウスに腰に手を回されて、引き寄せられた。あまりにも自然すぎて抵抗もできなかった。けれど、我に帰ってみれば、じわじわと羞恥を覚えた。リリーは驚きすぎて思考も動きも止まってしまっている。



「シリウス!離して!」
「断る。ホグズミード、楽しみだな」
「ふ、ふざけないで!あなたのことなんて少しも気になったりしてないんだから!」



答え合わせは持ち越しで
とりあえず1回デートしてみないか?