月曜日。今日からまた1週間が始まる。とはいえ、仕事場には大好きな先輩がいるからそんなに仕事は苦痛じゃない。

「いってきまーす」

家族が出かけたあとの家にきちんと挨拶をして出ていくあたり、私も人並みの常識人のはず。会社までは歩いて10分だからいいところに住んでるなと自分でも思う。うん、いいところ。

***

「おはようございまーす!」
「おはようございます、すよんさん。」

やった、今日は朝一番、大好きな先輩だ。気分よくニコニコしながら隣のデスクに荷物を置く。

「ジミンオッパ、早いですね?」
「あ、こら。会社ではオッパって呼ばない約束だろ?」
「ついうっかり。すみませーん。」

はあ、今日も素敵…。大好きな先輩ことジミンオッパは朝から爽やかな声で話しかけてくれる。もうそれだけで今日1日幸せとか思っちゃうから私も単純。

「そうだ、今度の日曜、どこ行きたいか決めとけよ?」
「あ、先輩こそ。会社で恋人トーク禁止〜!」
「あ、くそ。やり返された…。」

社内恋愛禁止なんて、いつの時代の会社だよって思うけど、自分から志願して入社した手前、そんなわがまま言えないよね。待遇とかはすごくいいんだけどなあ。

「あ、また2人で朝からイチャラブですか〜?」

…… 来た。私のライバル。いや、ライバルっていうか邪魔してくるだけなんだけど。私が先輩と付き合ってるのが気に食わないらしい。まあそりゃね?凡人と先輩みたいなキラキラしたイケメンが付き合ってたら、誰しも納得いかないよね。分かる。分かるけど!私にだって譲れないものくらいある!!

「イチャラブとかしてないから。ただ話してただけだよ。」
「そうなんですか〜?あ、ジミンせんぱ〜い、仕事でちょっと分からないところがあって〜。」
「ん?わからないところ?」
「そうなんです〜。」

いや、何が分からないところがあって〜、だ。お前全体的に仕事出来るだろ、私は知ってるぞ!先輩の前でだけできない振りしてるのを私は知ってるんだから!先輩も先輩だよね。彼女は私なのにさ?可愛いからって鼻の下伸ばしちゃってさ。

「先輩、この子仕事できるって有名ですよ?知らないんですか?」
「すよん先輩ってば、何言ってるんですか〜?私、本当にわからないんですよ〜?」

その語尾伸ばして話す喋り方、すごく腹立つ。可愛くないから、気持ち悪いだけだからやめて欲しい。

「そうだよ、すよんさん。わからないって言ってる人を放っておけないよ。」

いや、先輩もそっちの味方かい。はいはい、もういいですよ。私が邪魔ですね。

「はあ、そうですね。邪魔者は退散しますよ。」

嫌味のように台詞を吐き捨ててその場を後にする。なんか今私、すっごく嫌な女じゃない?これじゃあ、私が2人の邪魔してるみたいじゃん。なにこれ、モヤモヤするしばかみたい。つら。泣きそう。

「先輩も、可愛い顔の子の方がいいんだ…。」

ーーー パシッ

「え。」

誰かに腕を掴まれゆっくりと振り返る。

「可愛い顔の子の方可愛いなんて、誰が言った?僕、そんなこと言ってないよね。」
「ジミン、オッパ…。」

焦って追いかけてきてくれたんだろうか。少し乱れた髪と上がった息、緩んだネクタイがとてもセクシーだ。

「僕は別に、あの子のことをそういう目で見てないよ。ただ、後輩の面倒を見るのは先輩である僕の役目だからね。」

"仕事に私情を挟むのは違うと思うんだ。"

最後の言葉に胸が痛んだ。私ばかりが不安になったり、先輩に会えることに喜んだりしてたんだ。

「そう、ですよね。すみません。」

そう言って俯く私の頭を、私より少し大きい先輩の手が優しく撫でてくれる。

「でも、すよんのことになると焦って追いかけてしまう辺り、僕も私情挟みまくりだね。」

少し呆れたように笑いながら優しい目でこちらを見つめてくる先輩がやっぱり大好きで。思わずぎゅっと抱きついてしまった。

「オッパ、大好き。」
「ん、僕も大好きだよ。」

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