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Twitterでぽそぽそ書いた小話3つとうらぶ/亀甲貞宗
おばけ的HL生活
D組っぽい時空の提督志望さん
(とうらぶ/亀甲貞宗)
亀甲へ呼びかけると、その美しいかんばせをほころばせ、嬉しさを隠しもせずに、ご主人様、何か御用かい、と返ってくる。手の動きだけでこちらへ呼び寄せると、その命令を待っていました、とでも言わんばかりにいそいそと近寄って来た。
目の前に座った彼の頭に手を乗せる。髪の一筋、一本に至るまで全てが芸術品のように美しい彼を、主であるというだけでめちゃくちゃにすることが出来るのだと思うと、何か良くない気持ちがふつふつと湧いて出てきてしまう。そんな思いを腹の底へと押し込め、触り心地の良い亀甲の頭を撫でる。
亀甲はご主人様である私に頭を撫でられているのが嬉しいのか、蕩けた顔をしている。こちらに全幅の信頼を寄せ、例え裏切ったとしてもそれがご主人様の施しなら、と受け入れてしまうであろう彼を、少し気の毒に思う。けれどもそんな盲目的なところが、私は酷く気に入っている。
(おばけ的HL生活)
本日のHLはサラリーマンで大賑わいらしい。電車の中には似通ったスーツに身を包んだ大人たちがしこたま乗り込んでいる。お疲れさまです、と心の中で呟いた俺は、灰色の大人たちの中で哀れにも身を縮ませているレオナルドを発見した。
かたたんかたたんと音を立てて過ぎ去っていく箱を、アンカーを引っかけつつも慌てて追いかける。朝っぱらからあんなのに乗っているなんて何かあったんだろうか。いつものスクーターはどうした。爆発に巻き込まれて、壊れてしまったのだろうか。
ダイナミックに無賃乗車を果たした俺はレオナルドに声をかけた。混雑の中、一瞬気が付かなかったようだが、すぐさま俺を探し当てると、優生さん、と返事をしてくれた。よしよし、それでこそレオナルド・ウォッチだ。相変わらず目が良い。
傍から見ると壁と会話をしているかわいそうな奴にしか見えないだろうが、そんなことを気にもせずに俺と話をしてくれるレオナルドの存在は、ありがたかった。俺だって、何もレオナルドを変人にしたくておばけをやっているのではない。理由不明の不可抗力なのだ。
がたん、と電車が一際大きく揺れてサラリーマンたちがこちらへと傾いてくる。彼らの体重を受けてしまったレオナルドは壁際へ押されてしまった。けれどもおばけである俺にはそんな人波、まるで意味を為さずにすり抜けてしまう。もしおばけじゃなかったら、レオナルドの盾くらいにはなれただろうか。
(D組っぽい時空の提督志望さん)
「先輩これ読んでください!」
そう言って彼が差し出した手紙、であろう物体を福本は受け取った。ノートの切れ端にみっしりと書かれた甘い言葉たちを、ラブレターである、と早急に判断するのは素人の仕事だ。
「これは、まさか……!」
「そう! 俺の那珂ちゃんへの熱い思いを書いてみたんだ! アイドル好きとしての先輩である福本にも、見て貰おうと思って」
那珂ちゃん、というのは彼の好んでいるゲームに登場する艦隊のアイドルだ。例え二次元であってもアイドルはアイドル。そこに貴賤はない。
相手を褒めたたえるだけではなく、どこが好きなのか、どのように好きなのか、今後も応援していく、等、ファンとしての思いの丈が十二分にしたためられたそれを、福本は思わず握りしめた。
「素晴らしいじゃないか」
「だろ? ネタにされがちだけど、那珂ちゃんはアイドルなんだよ……! かわいいし、すぐ改二になってくれるし、先制対潜できるし。川内型で集まってるの見ると統一感があってとても良い。ありがとうbobニキ!」
少し照れたように笑う彼に福本は微笑みを浮かべた。
「まーたやってら。今が部活中だって分かってんのかね」
「お菓子は出来上がっているから、良いじゃないですか。ほら、スコーンに合うジャムもありますよ」
神永と三好が、呆れたような視線を送っているのにも気が付かずに、二人はアイドル談義に花を咲かせたのであった。
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