2-ろ

 レオナルドの家に先回りしたらどこか知らない洋館に飛ばされたでござるの巻。
 俺はレオナルドとチンピラ先輩よりも早く家に着いた。おばけだから、ばびゅーんとひとっ走り……いや、ひとっ飛び? で先回りし、ついでに何か仕掛けておこうと壁からダイナミックおじゃましますをした。ここまでは、普通。
 ちか、ちか、とやけに心もとなく瞬いていた電球と、ふわりと隙間風で揺れたカーテン。それらを買い替える余裕もないほどレオナルドは毟り取られているのかと涙がちょちょぎれそうになった俺はひとまず、玄関に仕掛けでもしようとそこを一旦通り抜けた。
 次の瞬間だった。まさに一瞬。瞬きする暇もなく。
 謎の洋館に居た。
 いわゆるフリーのホラゲーにありそうな洋館だ。背後には豪奢な玄関。目の前にはでかい階段。上段から下段にかけて裾が広がっていくようなタイプだ。そこに敷かれた、元は綺麗な赤だったのだろう絨毯はすっかりくすんでしまっている。いわゆるエントランスホールと呼ばれるところだろう。
「ふむ」
 これはレオナルドが仕掛けたことなのだろうか。
 その考えにすぐ否の判決が下る。こんな大がかりなこと、レオナルドがするはずない。それに、もし実際に彼が行ったことだとしたらそれは大変なことだ。レオナルドは俺にホラー対決を仕掛けたことになる。そんな楽しそうなこと、一言くらい相談して欲しかった。
 どうやら外では雨と雷が降っているらしい。屋根を叩く雨粒が楽しそうにしているし、雷はごろごろと鳴ったり、時折洋館の中に稲光を届けている。これも、いかにもホラゲーにありがちだ。嵐で立ち往生。にっちもさっちもいかなくなった主人公は怪しげな洋館にて雨宿りをする……。
「問題は追いかけっこ要素があるかどうか、だな」
 とはいえ俺はおばけなので物理攻撃効かないけど。ゴーストタイプにノーマル、かくとうタイプは効果がないぞ!
 ああでも、ゴーストタイプの攻撃なら効果があるのだろうか。今までは同業者に会ったことがなかったから意識してなかったけど。
 おばけである俺が、同じおばけの攻撃を受けたらどうなるのか? ダメージ有り? それとも貫通?
「ダメージ無効のアイデンティティの崩壊危機か……ヤバイな」
 まぁその時はその時で。むしろ今までがイージーモードすぎた。名前をむてきにした覚えはないが。……ブルーベリーみたいな色をした全裸の巨人が出てきたら嫌だからこれ以上考えないようにしよう。
 ひとまず、この手の展開において大事なのは探索だ。そして有益なアイテムを見つけ謎解きをし、洋館からの脱出を目指す。その際、条件次第で色々なEndを楽しめるが今回最優先すべきなのは脱出。これのみ。
 ってか、謎の洋館で謎解きホラー(暫定)とかいう美味しい展開で俺一人って悲しくない? ここは空気読んでレオナルドも一緒に来るべきだったじゃん。先回りか。レオナルドの家に先回りした俺が悪いのか。
 久々に嗅いだ埃の匂いに猛烈な違和感を感じながら、俺は洋館を探索することにした。