花霞












「えーと、今日から3人での授業開始日なのだが……
雨寧はどこに行った!(怒)」

「知りません。」

「分かりません!」







満開だった桜が散り終えそうな四月の半ば
普通の高校生ではとっくに入学式を済ませ
学級委員を決め、クラスにも馴染んできた頃。

ここ呪術高等専門学校は今日初めて
同級生が揃う日だったのだが、
教卓の真ん前の空席に担任は教卓を強く叩く。
初日から授業をバックれるという
大問題を起こす大問題が同級生かと
15歳の高校一年生にしては大人びている
七海健人は深く溜息を吐き、
その隣の灰原雄はワクワクとした表情をしていた。



「同級生なんだから団体行動をしろよ!」

「今日が初日なので顔なんか知りません。」

「そうだった!」

「不良なのかな!」



呪術師でもある担任は理不尽な事を吐き出すが、
七海は冷静に答えると隣の灰原は呑気に不良認定する。
担任は連帯責任で探し出せと
黒髪の前髪がセンター分けの女とだけ言われて
七海と灰原は教室を追い出された。












ーーーーーー*°






樹齢何年だろうかと思う程の立派な木が
学生寮や校舎から離れた場所に聳え立っている。
どうやって登ったか見ただけでは分からない程
高く木々に包み込むように覆われた太い木の枝に
雨寧は寝そべり時間が過ぎる事を待った。

あの家から出れるのを清々する。
文句を言う奴らを押し切り京都では無く東京を選び
先日から寮へと移り住み居心地が良かった。
では何故バランスの悪いこんな所で寝ているのかというと
授業をバックれた自分を探しにくるだろうと読んで
まだ見つかりづらいであろう場所を見つけていた。

入学前から任務続きで授業のある今日は休みの気分だ。
だから態々呪術について知る事を
普通の中学を送っていた人達と学びたくなかった。























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