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「なあ、北さんから話し聞いたんやけど。ほんま?」
朝一、HR前に治から言われて思わず目を逸らす。
日が経ってたし北さんが言わないでくれたと思ったのに。
昨日の夕方思い出したように言ったのかな。
「なあ、聞いてんねん。」
「本当ですけど…」
何故か敬語になる。
というかなんで治が少し怒ってるの。
治がモテるからあたしが責められたのに。
言わないけど、それ言ったらキリないし。
「こっち向けや。話してんねんから。」
「なんであたしが治に責められているのか
意味が分からないんだけど。」
「?、責めてへんやろ。」
「両手あたしの机に手置いてめっちゃ前屈みじゃんっ」
「これは……食い気味やったんや。」
「(素直…)でもその話はもう済んだ事だし、
北さんにもちゃんとお礼は言ったから大丈夫だよ。」
「またなんかあったら言い。」
「うん。」
返事をしてふと視界に入ったのは美南ちゃんだ。
周りの女子が囲んでいるけど
凄く泣きそうな表情だったのが分かる。
そんなに好きならこっち来て一緒に話せば良かったのに。
でも、もう好きな人に嫌な性格を知られたんだから
そんなこと出来ないよね
何年も片想いをしていたのに
こんな形で傷付くなんて辛いだろうな
「…侑は女子にも口悪いって聞くけどさ、」
「おん。クソ悪いで。雌豚とか吐きよる。」
「(想像以上に口悪かった…)
治は女子に優しくしてあげてね。」
「…俺、優しいやろ。今も心配してあげてんねんから。」
「あたしもそれは嬉しいけど、
双子を応援してくれる女子にもだよ。」
「……おん。」
治はそう言って返事を来ると
問題児が教室にやって来た。
「ハル シメようとした奴どこのどいつや?」
侑が見れば分かるほど不機嫌に教室入る。
あたしと治はそれを見て、思わずため息を吐いた。
「何ため息吐いとんねん!
こっちは腹たっとんねんぞ!」
「もうその話終わったからいいよ。」
「はあ!?」
「そうや、人に優しく生きんねん。」
「なんやねんそれ。」
侑は意味が分からないと首を傾げて
空いていた遥の隣の席に座った。
「で、誰やねん。」
「侑が出たらややこしくなるからいいよ。
北さんが言ってくれてから何も無いし。」
「それじゃあ俺らがカッコつかへんやろ。
俺のせいみたいなもんなんやし。」
「なんで自分だけやねん。」
「あ?だって俺のが人気あるやろ?」
「お前は他校のよう知らん奴にやろ。」
「はあん!?(怒)」
「……でも角名くんもだけどさ、
なんであたしに絡んでくるの?
バレー好きな女子なんか他クラスにもいるだろうし、
選手の話なら部員同士で話すでしょ?」
あたしは素朴な疑問を投げかけた筈なんだけど
思いの外3人にはピンとこなくて首を傾げられる。
そんなおかしい事言ったかな あたし。
「バレー好きな女だいたいニワカやし、
ハルは俺と好きな選手一緒やし、
何よりええ奴やから話したいって普通やろ。」
侑がキョトンとした顔で言うから
何当然な事言ってんの?みたいな気分になる。
治と角名くんも同じ意見なのか反論しない。
「……そっか。
こっち来てバレーの話出来ると思ってなかったから
正直嬉しいや。ありがとう。」
「おん。」
「なんや今日は素直やな。」
「素直の方が可愛いんでしょ?」
「素直過ぎも怖いわ。」
「めんどくさいな」
侑達と話すのは素直に楽しい。
ここまで言うと調子に乗りそうだから
口が裂けても言えないけど
角名くんの方を向くと全部見透かされてそうで
正直一番怖いと思うのこの人なんだよね。
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