振り回す






ーーーお疲れさまです。
   ちゃんと話したくて連絡しました。
   嫌でなければ返信下さい。



HRが終わって1限目始まる前に
朝練での空腹を埋めようとお握りを食べてたら
LINEが来て、部活の伝言かと思ったら
思ってもみない人から連絡が来た。

しかもめちゃくちゃ他人行儀。
この間までびっくりマークが沢山ついて
文章だけでも明るかったのに
違う人のように冷たく感じる。

嬉しいとも言えないこの感情はなんだろう。
嫌でなれけば返信下さいって
嫌なわけないけど、どうして今?
ちゃんと話したいって何を?
俺を嫌いになった理由を
また改めて言われるならそれは嫌だ。

でも違うとしたら、
なんて希望を持っても良いのだろうか。

食べかけたお握りは1限目始まるまでに
初めて食べ切る事は出来なかった。






ーーーーーー…*°




「……」



お昼休み過ぎても連絡はなかった。
これはこれで良し。
こんな自分勝手な奴早く忘れて
バレーに集中してくれるなら。
それは良い事なんだから気にしない。



「……既読スルーなんてされたの初めてだな…」

「え、遥 既読スルーされてんの?」

「誰に?東京の友だちか?彼氏か?」

Σ「え!?あ、いや、友達!(汗)」



しまった皆んなの前で声に出してしまった馬鹿!



「ひどいなぁ。転校したら終わりちゃうやろし、
向こう見ただけでたまたま忘れとるだけちゃう?」

「でも初めてなんやろ?それってわざとやん。」

「大丈夫や!向こうは向こう!
こっちはこっちで楽しくやったらええねん!
LINEのアイコンウチらとの自撮りにして
見せびらかしたらええやん!」

「それめっちゃ喧嘩売っとるやん!(笑)」

「急にボケたのかもしれないし
一日だけ待ってみるよ!
それでも返信なかったら辛いから
アイコン変えようかな!(笑)」

「ええやんええやん!」

「そうしたったらええよ!」

「じゃあ、俺とツーショットにするか?」

「「「は?」」」



運動部の女子達と中庭でお昼を食べて
教室に戻っている時
教室からひょっこり顔を出して
侑がまた笑顔で言ってきて
あたし含め皆んな意味わからんと言った顔になる。

運動部女子には宮ツインズの性格を知っていて
王子様なんて思っている子は1人もいなかった。



「急に出て来て何言ってんの?(汗)」

「せやせや!あたしらと撮んねん!」

「俺とでええやん 仲良しなんやし」

「……」

「遥 引いてるやん。」

「なんでやねん!!」



つい真顔になってしまった。



「侑 今日なんかおかしくない?
あたしの事騙そうとしてる?」

「こいつの笑顔詐欺師やもんな。」

「財布隠しとき。」

Σ「だから失礼やろ!!(怒)
既読無視する奴となんか連絡せんでええやん!」

「こわ!どっから話聞いてんねん!」

「ストーカーか!」

「はああ!?(怒)」

「!」



運動部女子と侑が言い合っている時
携帯が震えて画面を見ると
京治から返信が来て文章が見えた。



「侑、ありがとう。でも大丈夫だから。
今返信きて既読スルーじゃなかったよ。」

「!、ならええけど…誰?」

「……東京の友だち。」

「……ふーん」

「遥 良かったなあ!」

「友だちボケてたん?」

「返したつもりでいたんだって(笑)」



あたしは嘘を重ねて適当に質問に返し、
侑には背を向けて自分の教室に戻った。

京治からは

ーーー 話すなら声聞きたい。



その言葉にあたしは胸が締め付けられた。


まだ好きなんだ。