知ってる有名人






街中歩いていると東京と比べて賑やかだ。

そこら中に関西弁が飛び交って
神戸がこのレベルなら大阪はどうなるんだろう。
住民全員が吉本なのが納得出来る。

1人ドキドキしながら職員室に行き、
自分は1組に転校する事を告げられた。
学年クラス近くの社会科教室で待機。
小学校の転校の時はすぐに先生と一緒に教室に行ったけど
高校の方が周りに見つからない様念入りだ。

数分で挨拶を終えた担任の男の先生に呼ばれて
一緒に教室に入ると、転校生だとザワザワする。
この注目される感じ苦手だ。
木兎さんなら大喜びな環境なのかな。なんて、
まだ向こうの思い出を引き摺ってる。



「今日からこのクラスに転校生が入る事になった。
生駒遥さんや。生駒さんは東京から越してきて、
関西に住むのは初めてらしいから、
皆んな驚かさん程度に仲良くしていけよ。」



先生がそう言うと皆んな良い返事をする。
ケラケラと笑いながら楽しそうだった。

ふと、目線を上げて前を見ると
パチっと目が合ったのは



「(あの人…知ってる…確か宮、)」

「じゃあ、生駒ひとこと挨拶。」

「あ、はい。生駒遥です。よろしくお願いします。」





ーーーーー……確か、宮侑か治くんだ。



無難な言葉を述べて頭を軽く下げてからあげると
見たことあるどっちかの宮は退屈そうにあくびをしながら
そっぽを向いてまたボーっとした表情になった。



「生駒はあそこ。角名の後ろ空けとるから。」

「はい。」



私は窓側の一番後ろの席になった。
前が角名と言う背が高い人で
黒板は斜めからなんとか見える。
黒板を見るたびに中央にいる宮くんが見える。

この前の人も背が高いし
もしかしてバレー部だろうか。






ーーーー……*°



「なあなあ!遥って呼んでええ?」

「東京のどこにおったん?」

「やっぱ渋谷って楽しいんか?」

「東京の荻窪ってとこ。
渋谷はあまり行かなかったよ。
皆んなの名前は?なんて呼んだから良い?」



昔から人見知りはする方だけど表に出さないタイプだ。
休み時間ワッと人が集まってびっくりするけど
皆んな仲良くしてくれようとしてて嬉しい。
前の席の角名くんも女子から逃げるように
自分の席から離れて行った。



「遥は部活何やってたん?」

「帰宅部?」

「あー…マネージャーやってた。バレーボールの…」

「「「え…」」」



何となく予想してた。
この学校でバレー部の話題を出すとこうなるって。
だって他県でも有名な選手がここにいるんだもん。



「え、女子?」

「こっちでもマネージャーやるん?」

「男子のマネージャーだったけど、
さすがに転校先でもマネージャーやりたいってならないよ。
おこがましいっていうかチームになれないっていうか(笑)」

「せ、せやんなー!びっくりしたー!」

「というか東京おったのにうちらのバレー部知ってるん!?」

「さすが宮ツインズやわー!」

「あたしがいたチームも今年春高出たから。
稲荷崎とは当たってはないけど…」

「ほんま!?凄いなー!」

「強いとこおったんや!」

「うん。」

バサッ「どれ?」

「え、」



クラスメイトと盛り上がっていると、
女子たちをかき分けて入ってきたのは
さっきまで机に伏せて寝てた宮くんだった。