その笑顔が輝いて






「(昨日は歌ったなー。
盛り上がる系ばっか歌ったから
地味に喉がやられている…)」



休み時間、ジュースを買いに教室を出て
歩いているとポンッと肩を叩かれ振り返った。
するとニコニコ顔の宮侑がいた。



「宮侑くん?何?」

「なんでフルネームやねん(笑)
フラフラしとったから迷子かと思ったわ」

「え?いやいや、そこの角曲がれば自販機あるでしょ?」

「ちゃう。もう一個先や。
2年校舎からやと遠いから不便やねん。」

「そっかあ…!危な!ありがとう!」

「こちらこそありがとうな。
治が生駒ちゃんに借りたって言うとったから
ちゃんと丁寧に読んでるで。」

「それなら良かった…!」ホッ

「ほんま好きなんやなバレー。」

「うん。」



宮侑も飲み物買うのかあたしについてくる。
そのニコニコ笑顔を見て、第一印象モテなんだろうなあ。
話してみると宮治と全然違うや…なんていうか、
気さくに接しているようで壁がある感じ。



「生駒ちゃんはさー、
転校してもいた学校応援するん?」

「え…?」



いきなり何を言い出すんだろう。
そんなの当たり前だし、
でもかといって堂々とも言い辛い。
応援する権利すらあたしは失くしてるのに。

でも、ここで応援したって別に
向こうに伝わる事はないから…。



「それは勿論、応援してるよ?」

「それやめてほしいねんけど。」

「え?ちょ、」



すると宮侑はあたしを壁側に追い込んで
トンッと顔の横に手を置いた。
そのニコニコ笑顔が逆に怖い。
それになんで応援しちゃいけないの。



「生駒ちゃんはもう、稲荷崎の子なんやから。
俺ら応援してくれないと困んねん。」

「……はあ!?(汗)」

「声おっきいな(笑)」

「なん…なんで他校応援しちゃいけないの?
別に練習邪魔するわけでもないのに!」

「それでも1人知らん他校応援されたら
なんかモチベーション下がるやん。
どんなに練習やってても生駒ちゃんは
練習見てない他校応援すんやろ?」

「今は見てなくても1年間頑張ってるのを見てきたよ!
転校したからといって応援やめるのは違う!」

「あかん。俺のこと応援しいや。」

「個人的な意見に変わってんだけど。」

「細かいことはええねん。」

「ごめん、でもあたしは梟谷応援する。
応援を強要したって素直に応援出来ないよ。」

「せやったら俺らの試合見るとええ。
俺のセットアップ見たら絶対梟谷のセッターより
ええもん見れると思うで。」

「なんで…」

「セッター、好きなんやろ?」

「(お喋りめ…)」

「来週末に大学生と練習試合やんねん。
天神童大学とその大学で。
地図教えたるからLINE教えて。」

「行くって言ってないんだけど。」

「自分頑固やろ。ごちゃごちゃ言っといて
絶対見に来るんやから早よ携帯出しい。」

「……」

「素直な方が可愛えよ。」

「……たらしですか?」

「なんで敬語やねん。素直に言ったんやぞ。」

「…ありがとうございます。」

「だからなんで敬語やねん!(笑)」



宮侑の笑顔は凄く無邪気でキラキラしてる。

話に流されてあたしは宮侑と連絡を交換してしまった。
宮侑のアイコンはバレーボールを持って
おそらくカッコつけたであろう写真だった。