皇国と原国











「燐子ー」



昼間 紺炉は燐子を探して詰所内を歩いていた。
すれ違う火消しに問い掛けると
詰所内にはどうやら居ないらしい。
見回りでも行ったかババアの花札に付き合っているか
それか、



「燐子。」

「!、紺炉中隊長。」



屋根の上で座禅を組んでいるかだ。

紺炉は梯子を見つけて登ると
予想通り刀に触れて座禅を組んでいた燐子を見つけた。



「どうしやした?」

「若を探しに行ってくれねえか?
皇国からめんどくせえ話が来てんだ。」

「皇国から?分かりやした!」

「気ぃつけろよ。」

「はい!」



燐子はそのまま屋根を飛び移って紅丸を探しに行った。
その姿を見て紺炉は猫みてぇだなと笑みが溢れた。

瓦屋根の上を駆けながら下を見下ろして
紅丸を探すが詰所近くは居ないようだった。
そして紅丸がいつも行く銭湯にも来たが
出てきた客に聞くと此処にもいないらしい。

東側は粗方探したが居ないとくれば
西側を探さなくてはならない。
燐子は方向を変えて西側に行こうとすると
まだ真っ昼間だというのに
博打をやっている店から紅丸が出て来た。
然も見るからに負けて不機嫌そうだ。



「昼間から博打してると中隊長に怒られますよ 若。」

「!、燐子…何で屋根から降りてくんだ。
新しい見回りのやり方か?」

「若の事探してたんですよ 紺炉中隊長に言われて」

「紺炉が?」

「何やら皇国から面倒ごとがあったみたいで…」

「何?……直ぐ戻るぞ。」

「あ!待ってください若!」



スタスタと早歩きする紅丸に
急いで燐子も追いかけた。












ーーーーーー…*°






「若…、皇国から連絡があって
明日聖陽教で大隊長会議を開くそうです。」

「会議?なんだって急に…」

「何やら最近白装束とかいう俗が出て
消防隊の中にも裏切り者が出たらしい。
その件で必ず出席しろと念を押されやした…」

「チッ…めんどくせえな……」

「若一人で行くんですか?」

「いや、若だけだと心配だ。
俺もついて行く。」

Σ「え!紺炉中隊長大丈夫なんすか!?」

「カチコミに行くんじゃねえんだ。
最近は体調も良いし大丈夫だろ。」

「アタシも行きやす!」

「3人も行くこたねえだろ(汗)」

「なら紺炉中隊長が休んでて下さい!」

「お前と若じゃ熱くなる同士で収まらねえだろ(汗)」

「燐子はなんでそんなに行きたがるんだよ。
皇国に興味でもあんのか?」

「違いますよ!アタシだけ留守番はズルい!」

「餓鬼か。」



燐子が熱くなり駄々をこねていると
紅丸も紺炉も呆れたように肩を落とした。



「浅草で焔ビトが出た時はお前に任せる。
だから留守番してろ。」

「重要な役割だぞ。燐子。」

「………二人して丸め込もうとしてやせんか?」

「燐子を信じて浅草を預けてんだよ。
その心意気を嘘だと思ってんのか?」

Σ「すいやせんでした!(汗)」



燐子は紅丸からギロリと見下ろされて
焦って頭を下げた。



「あそこはお前が行くようなとこじゃねえよ。」

「そんな嫌な連中なんすね。聖陽教って奴らは。」

「連中もだが、天照の方だよ。」

「発電所が?」



燐子はよく分からず顔を顰めて首を傾げた。
紅丸はそれだけ言ってまた見回りに行ってしまった。



「明日は留守番頼んだぞ。燐子。」

「紺炉中隊長。任せて下さい!
出ねえ事が一番ですけど、焔ビトが出たら
しっかり仕切って弔うんで!」

「おう。頼もしいな。」



燐子はすっかり留守番を受け入れてやる気だった。



「それよりも紺炉中隊長。
中隊長も天照に行って嫌な感じしたんすか?」

「いや…紅の直感だろ。」

「やっぱ若は凄いっすね。」



燐子は紅丸に対して尊敬の眼差しを向けていた。