火消しと消防官







「燐ちゃん 今日も負けだねー」

「くっそー ここでやめてれば…!」

「それがこいこいの面白いところだよ」



燐子は見回りついでに花札が得意な
駄菓子屋のババアに捕まり5円の掛け金で
こいこいをして負けていた。
もう5年くらい続けてるが勝てたことがない。

少ないお小遣いを巻き上げられたが
それと変わらないくらい駄菓子屋を貰うから
博打ではないと紺炉に許されていた。



「次は紅ちゃんも連れて来てね」

「うん!駄菓子ありがとな!
ヒカとヒナにもちゃんと分けるから!」









燐子は駄菓子屋のババアに手を振ると
詰所まで歩いて帰ったが、
詰所が何やら人が集まっていた。



「第8…なんだこの鉄の塊」



先日の白装束の件で第8が来ていたのだが
入り口を塞ぐように大勢が立っていた。
浅草から出た事がない燐子は車を知らなかった。



「てめえらいい加減にしろよ!」

「若!」



うちのもんの怒号が聞こえて走って
燐子は入口にいた第8の中隊長である火縄を押し除け
中に飛び出して来た。



「燐子…おせえ帰りだったな
どうせまたサボってたんだろ」

「燐子ー!手に持ってるもんはなんだー!」

「駄菓子屋のババアとサボってやがったなー!」

「さ、サボってなんかいやせん!
ボケてないか確認して今日も負けたんスよ!
そんな事よりこいつらなんなんスか!?」

「皇国の特殊消防隊だ。
お前はヒカヒナと裏へ行ってろ。」

「げ…こいつらが」

「げってなんだよ(汗)
(俺と同い年くらいの女…
めちゃくちゃ口悪いけどこいつも特殊消防官なのか?
最強の消防官の下で…)」

「見てんじゃねえよ やんのかコラ」

「おい 燐子…
はぁ…若の受け売りですぜ…」

「それも俺のせいじゃねえよ…
勝手に来ちまったことはまあいい、
だが伝導者の調査だかなんだか知らねェが
俺たちのシマを勝手に荒らされるわけにはいかねェ
んだ
第7には第7のやり方がある」

「大隊長会議も途中退場されてましたが…
第7は伝導者の一味を無視していくおつもりですか?」

「伝導者も白頭巾も皇国が定めた敵だろ?
興味がねェってのが正直な意見だな。」

「伝導者は人工的に“焔ビト”を造り出している。
次はここの町民がターゲットにされる可能性もありますよ。」

「それだって皇国の言ってることだろ?
実際にその一味が人を、"焔ビト”にしている所を
俺が見たわけじゃねェ。
馬鹿正直に信じる気はねェんだよ。」

「だからそれを確かめるために
私たちはここに来たんです。」

「俺は実際に見ました!!
伝導者と繋がる男が人を“焔ビトにするところを!!」

「私も見ました!」

「皇庫の犬が何を見たかなんてこちとら知らねェんだよ
疑うことの知らねェただの犬っころの話なんざ
聞きたくねェ。」



紅丸がそういうと第8の今年入隊した消防官
森羅日下部が喧嘩を売り出した。



「疑うだけ疑って何もしねェ奴に
言われたくないね(怒)」

「威勢がいいな クソガキ………」

「第8はいい教育してるじゃねェか」

「シンラ!
ケンカしに来たわけじゃないんだぞ(汗)」

「ケンカですよ!こうなったら!
第7の大隊長!!
あんた最強の消防官なんだろ!?
強すぎて消防官にするしかねェって
町の火消しを皇国に認めさせたんだろ!?
だったら今度は俺があんたをぶっ飛ばして
認めさせる番だ!!(怒)」



森羅が啖呵を切ると
裏に行ったはずの燐子が飛び出してきた



「良い度胸じゃねえか!
若とやり合うなんて百年早えよ!
テメェが若とやる前にアタシとやりやがれ!!
生意気な奴らはさっさと追い出してやる!!」

「おい…燐子…」

「ハァ…火事と喧嘩は江戸の華ってか?」



紅丸は呆れながらも
燐子が飛び出して来たことに少し笑みを浮かべていた。