逃げる、逃げる、あてもなく。どうしてこんな事に?問うた声に答える者はない。此処にいるのは、悪意をもって私を殺そうとするナニカだけ。「あっ、」前だけ見て走っていたせいで、小石に躓いて派手に転んでしまった。痛みが走った瞬間、翻る白と黄金色。「まったく。何をやっているんだ、あんたは。」
*****
帰り道、知らない人に声をかけられた。今までに何度かあったし、道案内だろうかと振り返る、と。かぱり。大きくひらかれた、ナニカの口。喰べられる…!思わずかたく目を閉じたものの、いつまでも痛みはやって来ない。おそるおそる目を開けると、はらりと季節外れの薄紅色が舞った。「首落ちて死ね!」
*****
駅のホームから落ちかけたり、車に轢かれかけたりしたせいで、帰路に就く私の足取りは重かった。大きな溜息を一つ吐いて、歩道橋を降りようとしたところで、不意に襲う浮遊感。あ、落ちる。そう思うのとほぼ同時に、誰かに受け止められた感覚。顔をあげれば、ストロベリーブロンドが風に揺れていた。