本丸のみんな曰く、私は極度の方向音痴らしい。確かに野良猫を追いかけたり、鳩を追いかけたりして見知らぬ所に居ることはあるけれど、そんなに酷くはないと思う。地図は読めないけど。
「………あれー?」
ふと振り返ると、付き添いだったはずの光忠さんの姿が見当たらなくて首を傾げる。私は小さいから仕方ないけど、光忠さんは大きいから姿を見失う、なんてことはそうそうないはずだ。ということは、もしかして。
「私、迷子になった?」
試しに、来た方向にむかってみーつたーださーん!と呼び掛けてみたけど、返事はなし。今日はジークさんもお留守番だから、完全に一人ぼっちになってしまったらしい。…あ、いや、一人ぼっちではないか。
「んー?確かこの辺に入れたはずなんやけどな…あ、みーっけた!おったおったー」
がさごそと荷物を漁って、鳥の形に切り抜いた和紙を取り出した。念じるようにしてそれに霊力を込めれば、まるで手品のようにばたぱたと動き始めた。太郎ちゃんによると、これは式神というものらしい。私はこの子…この子たちに、迷子になったときの話し相手になってもらっている。
「今日もよろしくな、ムギ子」
ムギ子、というのは私が勝手に付けた愛称だ。