「王様かー…」
つぶやいて、溜め息をつく。此処カルデアには、かつて王と呼ばれた人たちが召喚されている。この間カルデアゲートで見かけた幼いマスターは、バーサーカーのヴラド公を王様と。その少女の側にいた兄と思われる人物は、賢王のほうのギルガメッシュを王様と呼んでいた。俺の双子の妹は征服王イスカンダルを我が王と呼び、なぜか孔明先生と日々張り合っている。それぞれがただ一人を自身の王だと決め慕っていて、少しだけ羨ましいな、と思った。…俺には、この人が自分の王様だ、と決めたサーヴァントがいない。まだ決めきれていないのか、それともピンと来るサーヴァントを召喚出来ていないのかは、自分でも分からない。
「ゆーき!大きな溜め息ついて、また王様のこと考えてるの?」
「うん。俺は永久みたいに、この人が自分の王様だ!って呼べる相手がまだ居ないからさ…」
こんなことで悩んでいるなんて馬鹿らしい、と思われるかもしれないが、自分にとっては割と深刻な問題なのだ。悩みすぎて熱が出てしまい、マスター業に支障が出てしまったくらいには。
「私思ったんだけど、結希にとっての王様って、アーサー王なんじゃないかなあ?」
「アーサー王?」
永久の言葉に首を傾げる。アーサー王。確かに、アーサーは居る。アルトリアなら、獅子王とオルタ、それからリリィ、サンタオルタも居るけれど。
「あっ、青いアルトリアね!サポートに来てもらった時に、結希、ずーっと彼女のこと見てるからさ。我がお兄さまが心に決めた王様は、アーサー王ことアルトリアなのかなーって思ってたんだけど…違った?」
意地の悪そうな笑みを浮かべて言う永久に、思わず、え、という声が漏れてしまった。サポートのアルトリアのことを、ずっと、見ていた…?身に覚えが全くなくて、マジで、ほんとに、いつから、なんて言葉たちが口から零れていく。それが予想外だったのか、妹の表情は次第に驚きの色に染まっていった。
「なにその反応、もしかして無意識だったの!?うそだあ!?」
私てっきり、えええ!?と次々に言葉が紡がれていくものの、その殆どはもう俺の耳には届いていなかった。