真名。魂につけられた名前。本来一つしかないはずのそれをもう一つ用意し、いわゆる二重契約のような状態にすることで身体と霊力に負荷をかけ、無理矢理に肉体の時間を止める。俺たちの主が歳を取らないのは先ほど述べたとおり、二つ目の真名を与えられたからだ。政府が主の身体の異変に気付いたのは二年ほど前、定期報告のために政府へと出向いた帰りのことだった。主と数年ぶりに会ったという審神者が、その容姿が数年前と全く変わらないことに気付き、自身の担当へと連絡を入れたことで発覚した。受付で呼び止められた主は検査室のような処へと連れていかれ、血液やら霊力やらを調べられることになった。定期報告の後だったこともあり、すべての検査が終わった頃には、主はすっかり疲れきった表情をしていた。あれやこれやと検査をしたものの原因は特定できず、本丸に来た際に霊力の変質等が起こったため身体の成長が止まってしまった、という診断が下されたらしい。実際にそういった例はこれまでにも百件程あったそうで、主のように原因が分からない、ということが何件かあったらしい。主に下った『霊力の変質による身体成長の停止』という内容を詳しく知っているのは初期刀である俺と、初めての鍛刀で来た秋田、長曽袮を除く新撰組の刀、主と仲の良い乱、それから俺や秋田が顕現したのと同じくらいに来ていた燭台切、岩融くらいだ。その中で、彼女の身体の成長が止まった本当の理由を知っているのはただ一振だけ。其処に在るのは惚れた腫れたなんていう甘酸っぱいものではなく、ただ“変わらずに”自分の事を愛して欲しい、可愛がって欲しい、という脅迫観念にも似たものだった。