「独歩お兄ちゃんおかえりなさい!今日もお疲れさま!」
玄関が開くと同時にそんな言葉を掛ければ、え、と驚きの声の後にただいま、と返ってきた。この歳でお兄ちゃんはやめてほしい…とも言われたけれど、私の方が歳下だからお兄ちゃん呼びはやめません。実際お兄ちゃんみたいなものだしね!
お荷物貰いまーす!と仕事鞄を預かろうとしたところで、毛布を羽織っている状態の私に「寒いなら奥で待っていれば良かったのに」と、気遣いの言葉を降らせてくれた。残業でヘトヘトの筈なのに、自分の身体のことよりも私の心配をされて、少しむっとしてしまう。独歩お兄ちゃんは、もっと自分のことを大切にしても良いと思うんだ、私!
「突然ですが、独歩お兄ちゃん甘やかしターイム!えりゃー!」
鞄を受け取ることはせずに、もふー、と毛布ごと独歩お兄ちゃんにくっついて、そのまま簀巻きにしていく。訳が分からず、えっ、えっ?と困惑する様子に、私はふんす、と満足げな表情を浮かべた。
ひんやりとした空気を感じて、目を覚ました。ぐしぐしと目を擦り、意識と視界をはっきりさせていく。すると。
「………おりょ?」
何故か私のほうが毛布で簀巻きになってしまっていて、甘やかしタイムは失敗に終わったのだ、と少し悔しくなった。もふもふの魔力と独歩お兄ちゃんの安心感、恐るべし。