妹に届いた、一通の手紙。それは、政府からの「審神者に任命する。」という通達だった。
審神者とは、簡単に言うと、カルデアのマスターが未来を守るように、歴史を守る使命を与えられた者のこと、らしい。
詳しくは俺も知らないが、そんな感じだと以前、兄が審神者になったという友人が話していた。
その時に「審神者になるにはトクベツな能力が必要だ」とも聞いた気がするが、動物と会話ができるりつかのことだから、そういった能力を持っていても不思議ではないだろうな、と思う。
「りつか、本当に行くのか?」
「あい!だって、りつかに、おねがいされた、おしごと、だもん!」
俺の問いかけに、元気良く返事をして大きく頷くりつか。その姿からは、審神者になることへの不安などこれっぽっちも感じられなかった。
むしろ、俺の方が不安で不安で仕方がない。りつかはまだ幼いのに、何か…それこそ、命を落としかねないようなことがあったら。
そう考えるだけで引き止めてしまいたくなるけれど、妹が自分の意志で行くと決めたんだ。笑って、送り出してあげなければ。
「身の危険を感じたら、すぐにカルデアに帰ってくること。これは兄ちゃんとの約束、な?」
「う!やくそく、ね!」
「よし!じゃあ、早くカルデアゲートに行こう。あんまり待たせると沖田くんに悪いし」
なぜ沖田くんが待ってるのか、と言うと、りつかが審神者になるという話をみんなにしたとき、何があるか分からないからサーヴァントを一人連れて行った方が良いのでは?という話になった。
日本出身のサーヴァントの方がいいかもしれない、というダヴィンチちゃんの提案から金時や小次郎、牛若丸、沖田くん、トータが立候補。
最終的に、りつかが沖田くんを選んで今に至る、というわけだ。
沖田くんとは黒リボン同盟、なるものを組んでいるそうだし、そうでなくても良く懐いているから、きっと大丈夫だろう。
りつかと手を繋いで、カルデアゲートの前に立つ。よほど心配そうな顔をしていたのか、先に来ていた沖田くんに「マスターのことは任せてください!」と言われてしまった。
コクリと頷けば、りつかに差し出される沖田くんの手。俺の手を解いてそちらをかたく握ると、くるりとこちらを振り返って。
「おにーちゃん、いってき、ます!」