01 邂逅
今日も騒がしい忍術学園の校庭を横目に、ひたすら動かしていた手を止めて筆をそっと置く。なんとか課題が半分まで終わり、ふっと軽くため息をついた。
その時、自室の扉ががらりと開けられる。そこには、げっそりとした顔で疲れた様子の同室の友人が立っていた。どうしたものかと、思わず声をかける。
「どうしたの、そんな顔して」
「どうしたのじゃないよ〜…。補習だよ、補習」
ドカリと男らしく床に座る友人に「お疲れ様」と声をかけると「…んー」と小さく声が返ってきた。これでも滅多に補習にならない友人は、補習が決まった瞬間に凄いスピードで机に頭を打ち付けていたのを思い出して、思わず苦笑いを浮かべる。
「そういえば名前、よく外見てるけど何かあるの?」
「…んー、特にと言ったことはないけど…」
顔だけ私の方を向けて、こてりと頭を傾げる友人。その疑問に、私もぼんやりと頭を捻る。
「強いて言うなら平凡だから、かな」
自分で言ったその言葉は何故かストンと心の底に入っていくような感覚がした。そう、表すにはこの言葉が一番合っているのだ。
「なんだそれ」と呆れ笑いを浮かべる友人に「そういうものだよ」と返して、残り半分の課題を消費すべく筆に手を伸ばす。墨がじわりと紙に染みていくのを見ながら、再び手を動かし始めた。