桜都国


 目覚めは早かったが身体は中々起こせなかった。モコナが安らかに眠っているのが可愛すぎたためである。目を覚ましたモコナが目をかっ開いて凝視する私にひどく驚いたあと、共にじゃれ合った時間も大変癒やしであった。

 モコナは私へのファンサービスを終えると他の一行に朝の挨拶回りへ行ってしまったので、探し出した洗面所で身支度を整えて戻る。既に朝の支度を終えている小狼に今日の予定を確認すると、市役所にまだ用があるため、昨夜の異形と羽根に関する情報も併せて聞きに行くという。



市役所には昨日手続きに関わった二人と羽根の情報に関わるモコナが同行することになり、私と黒鋼はサクラと一緒に留守番することになった。室内には心地よい春風が吹き込んでいるが、それも昨夜異形が空けていった大穴からなので趣は無い。



「黒鋼、家の中探検しましたか?」

「あぁ」

「こんなに広い拠点初めてですね。ここまで広いと落ち着かないなーと思ってました」



 無視である。やれやれ。



「組手でもしますか?」

「お前じゃ相手にならねぇ」

「そりゃそうだけど……一応格闘技能も鍛えてます」



 魔法の応用を目的とした鍛錬に過ぎないが、素人よりは動けるレベルにはなっている。重たいローブや靴たちを脱いで拳を構えて見せると、ため息をついた黒鋼が緩慢に立ち上がった。



「仕方ねぇから、野垂れ死にしないように鍛えてやる」



 拳を構えた黒鋼に敗北の未来しか見えなかったが、負ける気でいたら負けしかないので、勝利のビジョンで自分を鼓舞した。







 小狼たちが戻ってきたのはまだ昼を過ぎたところだったが、私はもう一日終わってもいいのではないかと思う程体力を消耗していた。扉が開く瞬間まで黒鋼に打ち込んでいたため、急に身体を躱されて前から飛び込んで転がった。

 終わりだ、終わり。汗の浮かぶ身体のままひっくり返っていると、黒鋼に首根っこを掴まれ座らされた。



「ケンカしてたの?」

「そうだよぉ」

「嘘つくな、ちげーだろ!」



 黒鋼が食い気味に否定するのでへらへら笑うと、状況を把握した様子の一同も丸くしていた目を収めて、小狼は胸をなで下ろしている。



「じゃあいい子で待ってた黒わんたにもお土産だよー」

「だから犬みてぇに呼ぶな!」



 黒鋼が怒るボーダーを理解しているファイが“よーしよーし”と言いながらエア撫で撫でかましているのを眺めながら、確かに犬系の呼び名が多いなと聞いていた。

 二人は大きな袋を抱えており、床におろしたときの音からそう重たくない中身なのだろうとわかる。食べ物、服、日用品だろうか。この家は広いが如何せん物が無い。

 仕事を決めてきたというファイに首を傾げながら続きを待つ。



「小狼君と黒わんは鬼児を倒して、んでお金持って来てーー」



「ガキ、説明しろ。さっぱりだ」

「はい」



 陽気に身振り手振りで説明してくれていたファイに何か言うこともなく、黒鋼は小狼の説明を聞いている。ファイに黒鋼からの信用がないのは今に始まったことではないし自業自得でもあるのだが、彼らを眺める背中があまりにも悲壮である。汗みずくでなければ肩でも撫でられたのだが。



 昨夜私たちが遭遇したのはこの国で“鬼児”と呼ばれ市役所で動向を把握している敵なのだという。出現するのは主に夜だが日中も出現することは稀にある。鬼児の強さは月の満ち欠けに影響を受けていて、月が満ちるほど強くなる。

 物騒な国のわりに街の様相が平穏なのは、“鬼児狩り”という鬼児を倒すことを生業にしている人々がいて、鬼児が一般市民を襲うことは余程ではない限り無いためらしい。



「えーん、黒わんころがほったからしにしたーー」

「ファイ泣いちゃだめー」



 集中が途切れる茶番である。黒鋼が痺れを切らしてファイに「嘘泣きはやめろ!」と大声で構ってやった後、一呼吸置いて話が本題に進む。

 その“鬼児狩り”にうちの一行からは黒鋼と小狼の二人が一チームとして、情報集めと資金繰りを兼ねて選出したようだ。肉弾戦になるとするなら妥当な人選だろう。



「退屈しのぎにはなりそうだな」



「黒鋼ノリノリー♡」

「ほらねー」

「はい」



 誰もが予想しうる黒鋼の反応である。



「けど、おまえはいいのか」

「え?」



 黒鋼は小狼に対して、鬼児狩りが生業となっているということはそこそこの強さがあって素人では手が出せないということだろうと説明した。昨夜の鬼児より何倍も強い鬼児だというのなら、確かに切り傷では済まない。

 黒鋼に見られている小狼がきょとんとしていると、彼はその前髪を除けて上を向かせる。そして即座に言った。



「おまえ、右目が見えてねぇな」



 その言葉で、確かに昨日小狼が怪我をしたのは右肩だったと思い出す。しかし、それだけで確証を得た訳ではないようだ。心で操る巧断には視界は関係ないが、高麗国での息子への反撃の速さは“視えないが”殺気を感じ取ったからで、今回鬼児の攻撃を見切れなかったのは殺気を纏わない単純な攻撃だから“読めなかった”のだろうということらしい。

実際に打ち合ったわけでもないのにそこまで見抜いてしまうのなら、私との先程の組手は退屈しのぎにすらならなかったんじゃないだろうか。



「もっと速い鬼児相手だと怪我するだけじゃ済まねぇぞ」



 とはいえ、小狼の視えない右目に対策を立てるのにうってつけの敵ともいえる。黒鋼の同意と協力さえ得られれば、だが。



「……出来るだけ迷惑をかけないようにします。お願いします」



 小狼の姿勢は一貫している。出会った頃からだ。出来るだけ頼らない、迷惑をかけない。実際、黒鋼は小狼を気に入ってるんだろうし、もっと頼ってもいい気はするが。



「おっけーだよね、黒様ーー」

「……ふん」



「ありがとうございます」



 礼を言う小狼の表情は穏やかに微笑んでいる。黒鋼が小狼の身を案じていることなどとうに感じ取っているのかもしれなかった。



「じゃ、着替えして準備しよっかー」

「ウィズとサクラのはこれー!」



 着替えとして渡された袋を受け取り、一旦シャワーを浴びてから手に取った衣装に困惑する。袴は着たけれど、フリルのついたエプロンとヘッドドレスは手が震えて着けられない。仕事を決めたのはあの二人だけではなかったという事なのだろう。あまりにも可愛すぎる。まさかサクラと同じ服を着させられるのだろうか。精神年齢は既に彼女の親程といってもいいというのに。

 女は度胸。折角用意してくれたのだから。これは仕事着だし。



「あれー、頭のやつ付け方わかんなかった?」

「……あんまりこういうの着ないから」

「こうやって付けるんだってー」



 ささやかな反抗は無駄に終わり、頭にふりふりのヘッドドレスが装着される。その視界の隅にとんでもないものが映るまでは不貞腐れていたのだ。



「モコナかわいいのつけてる」

「あ、気づいたー?かわいいよねぇー」

「かわいいでしょ♡」

「すごくかわいい!!」



 腹のあたりにハンカチよりも小さいエプロンを巻いて、背中にさらに小さなリボン結び。悩殺的な可愛さに飛び込んできてくれたその身体を抱き締めるしか無かった。今日も神ファンサである。



 気分が最高になったおかげで、その後の“カフェ”の開店準備はよく働いた。窓ガラスが直ったあとは室内の掃除、小狼たちが注文しておいたという家具たちの配置と清掃が主である。キッチン周囲はファイが中心になるだろうと本人が言うので、全て任せてある。

ウェイター姿のファイは細長い身体が際立ってあまりにもモデルさながらなので、いけ好かない。一方小狼の学生服姿はやはりこれくらいの格好が年齢相応なのだろうと思う程ピッタリ似合っていて、モコナと一緒に絶賛した。そして、黒鋼の袴姿はこれ以上ない程しっくり来るし、いつもの装束よりも随分爽やかなので深々頷きつつ拍手したら拳骨された。



「どんなメニューにするんですか?」

「んー、ウィズちゃんは何食べたい?」



 質問に質問で返してきたな。



「目が覚めましたか?」

「はい、あの、これ……」



 サクラが起きたので、ファイが簡単に状況を説明してくれる。

 各々の装いについて改めて茶々を入れ合い終えたファイが、この拠点で情報収集も兼ねてカフェをやる予定だということも説明し、サクラに歩み寄る。



「ってことでサクラちゃんも一緒にカフェやろうよー」

「ウィズとモコナもそれするのー!」



「はい、頑張ります!」



 サクラに着替えを渡したファイが別室に誘導していく。分からなければ私に聞くよう言っているが、桜都国の袴は簡単に着れるように省略された作りになっているので問題ないだろう。



「これでいいんでしょうか」



 大正解である。

 自分のヘッドドレスを毟り取りたい程サクラの可愛さが活きている。



「変じゃ……ない……かな?」



 不安そうなサクラに聞かれ何度も首を振っている小狼に焦れったい気持ちになる。どう見ても可愛い。可愛いよって言え!言えないか。小狼の装いも相まって甘酸っぱい空気になっている。

 むずむずとして居た堪れない私は人数分の紅茶を用意しているファイの傍に逃げる。仕事をして気分を落ち着けたい。そしてふと今しかないと思い付いて彼を見上げる。



「あの、私もこの服じゃなきゃだめですか?」

「えー?よく似合ってるよー」

「……はあ」



 暖簾に腕押しである。目を見開いたモコナが何かをテーブルに召喚したようなので、トレーを持ちながら何事かと歩み寄る。



「なになにー?」

「侑子から」



 テーブルには大皿ごと現れたチョコレートケーキらしきものが人数分並んでいる。



「ひょっとして差し入れー?」

「あの魔女がただで差し入れなんかするか」



 対応に困っている小狼とサクラに反して、ファイはにこにこと嬉しそうに笑い、黒鋼は口を曲げて不信極まりないという態度である。



「でもおいしそーー」

「これ、フォンダンショコラだ!中にチョコが入っててね、あっためて食べるの!」



 フォンダンショコラ。懐かしい食べ物である。一度目の人生で食べたきりだが、今でも鮮明に思い出せるほどの好物である。



「ちょうどいいからみんなで食べようよーー」



 ファイの提案に頷くより早くササッと茶を配り、レンジにフォンダンショコラを仕込む。その合間にフォークを人数分出すことも忘れない。



「フォンダンショコラ、好きなの?」

「すごく好き。うれしい」

「そっかぁ」



 隣でレンジの中を見守っていたファイが皿を持っていってくれたので、私はフォークを持ってその背中を追う。



「俺ぁいらねぇぞ」



 ファイが警戒を解かない黒鋼のふと口を開けた瞬間にケーキを入れている。ぎゃんぎゃん騒ぐ黒鋼を余所に、私たちはテーブルに着いて堪能する。



「何しやがる!!」

「黒鋼食べちゃったー侑子に言おうーっと!」

「なんだと!?」



「おいしーねー」

「しあわせ……」



 温めてふわふわになった生地と湯煎されたばかりのようにとろけるチョコレートの味わいはバターの旨味も加わって罪悪感の塊である。ギルティショコラ。突然の差し入れに困惑しつつも食べる手を止めないサクラと小狼もこの味の虜になっているのだろう。

 黒鋼が手を付けなかった残りのフォンダンショコラはサクラと半分ずつ分けて食べた。



 日がしっかりと暮れた夜、黒鋼と小狼は鬼児狩りに出掛けた。今日は満月のようだから強い敵が出て危ないのでは、と思わないでもないが、ファイが黒鋼に刀を託したようなので無傷ではなくとも二人で帰って来るだろう。それに、“強い”敵には羽根が関係している可能性がある以上、今日を逃すのは確かに無い。いくら拠点に恵まれても、次の満月まで一ヶ月も足踏みする羽目になるのは本意ではないだろう。



 残されたカフェチームは侑子の送ってくれたフォンダンショコラを自分たちで試作してみたあと、ナプキンをひたすら折ったり、メニュー表をひたすら書いたりするのを、ファイがにゃんにゃん言いながら何か描き殴っているのを見ないふりしながら進めていた。



「てっめーー!!」



「おかえりーー」

「おかえりー」

「おかえりなさい」

「た……ただいま」



 鬼児狩りチームはそう遅くない時間に帰ってきたーーいや、怒鳴り込んできた、黒鋼が。相変わらず近所迷惑なことだが、まあファイが何かやらかしたのだろうから今は叱らないでおこう。



「よくも……妙な名前つけてくれやがったな!」



 黒鋼の言葉に首をかしげる。そして、昨日市役所に行くときに言われたことを思い出したのだ。“住民登録”のときにファイが名前を伝えてくれたものだと思っていたが、どうやら黒鋼は細工されていたのか。



「市役所の子が偽名でもいいって言うからさー、でもこの国の字分かんなくてー。これ描いてー」



 さらさらと描かれたのは黒い大きな犬と白い子犬である。



「おっきいワンコとちっこいわんこにして貰いましたー」



 描かれた犬は確かに二人の雰囲気をよく捉えている。小狼はもう少し凛々しくてもいいと思うが、今まさに困惑して口を噤むことしかできないときの顔はそっくりである。

 待て、黒鋼のみならず小狼にも珍妙な名前を?



「オレはコレでー、サクラちゃんがコレー、ウィズちゃんはコレー」

「ウィズ、モコナと一緒ー♡」



 “おっきいニャンコ”ファイのやらかしは“ちっこいにゃんこ”サクラや私“ちっこいうさぎ”にも及んでいる。

 しかし、モコナに“一緒♡”とまで言われて駄々をこねるのは違う。ただ、絶対にこの世界で他人に名を呼ばれないようにしなくてはならない。愛しいモコナを抱き上げて頬を擦り寄せ合う。幸。



「看板どうするかちょっと悩んでるんだよねぇー」

「ファイのセンスに任せますよ」

「うーん」



 すらりと近くで刀を抜く音がしたので、話は看板どころではなくなった。

 看板片手に逃げ回るファイと抜き身の刀を振り回し追う黒鋼は、まあ本気でたたっ斬ろうとはしていないためかーーいや、本気かもしれないがーー愉しげに戯れ合っている様子である。



「わー、可愛いお店ー。ここがお家なんて素敵ですね!“ちっこいわんこ”さん」

「わんこさん……」



「え、いや、あの……」



 何やら顔見知りらしいセーラー服の少女が入り口から顔を覗かせている。誰かから実際に呼ばれている姿を見るとむず痒い心地になる。自分は、ああ呼ばれて耐えられるのだろうか。サクラがぽつりと小狼の名前を反復しているのを聞いてわたわたと所在なく慌てている小狼が憐れである。その姿がまた“ちっこいわんこ”じみていてちょっと愛しい。ファイの命名は案外的を射ているのかもしれない。

 セーラー服の少女と共に連れ立って入って来た男性は白い学生服の上に同じ生地の羽織を着ている。



「うまそうな匂いだな」

「チョコケーキの試作なんですー。開店は明日からなんですけど、良かったら食べてみてもらえませんかーー」



「よろこんで!!」



 甘い物が好きなのか、お腹が空いていたのか。彼らは表情を輝かせてファイの申し出に頷いた。

 それにしても、黒鋼の斬撃を躱しながら彼らの様子まで確認しているのだからファイの身体能力も底知れない。



「悪いな“おっきいワンコ”」

「ワンコじゃねえ!!」



 矛先がファイに留まらなくなり諦めが付いた様子の黒鋼が刀を納め、ファイは料理の提供準備に取り掛かった。



「おいしーー♡」

「よかったー♪モコナのアドバイスで生クリーム添えてみたんだー」



 ファイがベースを作って焼き、私が生クリームを泡立てて粉糖をかけ、紅茶はファイに教わってサクラが淹れた。フォンダンショコラの製作に際しても質問はされたが、ファイの思うように作ってもらうのが一番おいしく仕上がる気がするので特に何も言わなかった。



「味どうー?」



 目の前に一口分のフォークが差し向けられ、おいしいに決まっていると思いつつ味わう。筆舌に尽くしがたい美味である。生クリームと粉糖に合わせて甘みが控えめになって全体のバランスが整っているし、何より好物である。とろけるチョコレート。罪深ければ罪深いほどうまい。



「おいしいねぇ」

「はい……」



 二人連れにも好評の様子で、彼らもにこにこと機嫌よく食べ進め、鬼児狩りコミュニティにカフェを広めなければと話している。

 気の良い人々のようで、辿々しく紅茶を運んでいるサクラに満面の笑みで気持ちのいい礼を言っている。

 ケーキは美味しいし、拠点はしっかりしているし、何かと癒されるし。鬼児と羽根のことさえ無ければ平穏で過ごしやすい国なのだろう。



「桜都国には来たばかりなんですね」

「はい、昨日」



 少女はファイが昨夜あった“家宅侵入”と今日市役所で詳細が説明されなかった“鬼児の段階”について彼らに問いかける。



 鬼児の段階は“イロハニホヘト”の七段階とその内で更に五段階で分けられ、イの一が最強、トの五が最弱となっているらしい。ずいぶん細かい段階なのだなと考えていると、昨夜現れた鬼児がハの五段階であったことを聞いた男性の方が訝しむ。



「そりゃ妙だな。家に侵入できる鬼児はロの段階以上だぜ」



 どういうことだろう。話を続けたいところだったが、彼らの足元にいた犬が立ち上がり警戒する素振りを見せ、鬼児が近くに出たことを感知しているのだと説明し、素早く立ち上がる。そこには先程までの賑やかなだけではない高揚感がある。



「ごちそうさん」

「すっこくおいしかったです!」



 鬼児狩りたちは皆イの一段階の鬼児を倒すことを目標にしているのだと言われていた。彼らもまたその一組なのだろう。

 ファイは立ち去り際支払いをしようとする男性に“また来て色々教えてほしい”と言って今日は支払いをサービスにした。言葉の一つ一つが違和感のない好感を抱かせるので末恐ろしい限りである。



「またね」

「また」



 サクラは少女との出会いを心地よく感じられたようで、年相応の無邪気な笑顔で挨拶をしていて微笑ましい。



「もう常連さん候補出来ちゃったねぇ“おっきいワンコ”」



 扉が閉じるか否かというときにファイが掛けた言葉に返事をするように刀が抜かれる音がする。



「モコナ、羽根の波動は?」

「感じるけどやっぱりすごく弱い。場所までは分からない」



 俯いたモコナのエプロンがテーブルに垂れて、落ち込む心境を表しているようである。そのモコナに励ますよう指先を寄せるのは小狼である。



「鬼児狩りは情報を得るのに有利だそうだ。きっと色々聞けると思うよ」

「モコナも頑張って羽根の波動キャッチする!」



 正しく協力関係にある二人のやり取りには心が穏やかになる。落ち込んでいたモコナも気持ちを持ち直してやる気に満ちあふれているようだ。

 安堵するのも束の間、外野の大人二名は一方的なリアルチャンバラごっこできゃーきゃー言って喧しい。そろそろ備品が破損しないよう一声掛けなければならない。



「モコナ、洗い物手伝ってくれる?」

「はーい!」

「わたしも手伝います!」



 まあ、洗い物が終わってからでいいだろう。

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