あれは誰だろう。

あれは誰だ。

あれは……ボク?

周は目を見張る光景を見ていた。
恋人である凛十が楽しそうに周と話しているじゃないか。否、周で周じゃない周と話していた。

何かのいたずら……?

とそう考えたが、その可能性はとても考えにくかった。何故なら、あまりにもそっくり過ぎるのだ。ツートンカラーの独特な髪に、凛とした赤い瞳に、小柄な身長に、自分でカスタマイズした制服……どこからどこまでも周、自分自身と似ていた…いや、本当は自分自身なのではないかと思うくらいに全く瓜二つだった。
凛十は違和感を抱いていないのか、普通に話しているのを見ると、無情に腹が立った。ボクじゃないのに、違いに気づかないなんて、目が節穴なんじゃないの……
周はとある可能性を思い浮かべることが出来なかった。

それはドッペルゲンガー。

自分と同じ人間がいて、しかも目が合うと死ぬと噂される現象。

しかし、周はドッペルゲンガーというものを知らなかった。周は躊躇うことなく、凛十に話しかけようとしたらーー

突然、凛十は自分ではない周を抱きしめた。
それを見て、周は思わず引っ込んだ。