※自傷周

周の手首にカッターが降り落ちる。肉が切れる音が皮肉にも自分にも誰にも気づかない。(痛い、)
どう(痛い)すればこの気持ちは(痛い)断ち切るだ(痛い)ろうかと思い(痛い)ながら、肉を断ち続け、ついに骨にまで到達し、意識を断ち切った。

「周」

後ろから彼にしては珍しく弱気な声が降りかかる。一体何が彼を弱気にさせているんだろうか。肌がベタつくくらいに湿度が高くて、しとしとと降るような天気のせいだろうか。それとも…

「おい、周っ」
「…何?」
「だから、何回もやめろ、って」

廣瀬はそう言って、周の包帯が巻かれた腕を掴んだ。女の子のように細くて、折ってみようと思えば折れそうな腕に似つかわしくない包帯が自分のせいだと分かってるように苦虫を噛んだような顔をする。
ねえ、と甘美で優しく話しかけられ、廣瀬は背筋が震え、悪寒をした。吐き気が催してきたが、それを我慢して、何?と優しく返したつもりだった。

いつからだっただろうか。
周が自傷するようになったのは。突然、周の華奢な腕に包帯が巻かれ、廣瀬は最初は何かで怪我したんだと思っていた。しかし、いつまで経っても包帯が取らないことに疑問を感じて、周に尋ねたことが廣瀬の最大のミスであった。周は妖艶に笑い、後で見せてあげるとか言って、包帯を取って、斑に赤い線線がギザギザと引かれ、見るだけでも震えた。
これ以上僕に関わるなと命令口調で釘刺されたが、廣瀬ははい、周が自傷してることなんて見てませんでしたと黙る男ではなかった。残念ながら、廣瀬の性格がそうしなかった。
こうして今も周のことを心配するが、余計なお節介だとうざかられてる事など知ってる。

「廣瀬って本当にどうしようもない馬鹿、大馬鹿だよ」

周の言うとおり、本当に自分でも大馬鹿だと十分自覚している。誰かが早く俺を殴って、現実から目を覚めさせてくれ