| 私の誕生日は八月の始めの頃。 夏の真っ盛りの時に私はこの世界に産み落とされた。始めてみた世界の感想はまったく覚えていないけど、小さい頃の私の感想なら覚えている。生まれてきて良かったけど、どうせなら冬に生まれたかったよと言っている私とそれを聞いてくれる幼なじみがいた。 まさか、幼なじみが私の彼氏になるとは思わなかったけど。 「また、夏がきたな」 「そうだな」 「覚えている?君が冬に生まれたかった話」 「……覚えているよ」 突然、昔の記憶をほじくり返した幼なじみは愉快そうに笑う。なーにが面白いのか分からない。彼はいつもそうだ。無表情なくせにツボにハマると笑うのだ。変なツボ。 「何で冬に生まれたかったんだい?」 「んー、日焼けするのが嫌だったかなー」 「あー、時々女らしいところを見せるね」 「女らしいっつーか、私、女」 「大我は元々男前だから、つい…でも、女らしいところもいいと思うよ」 「けなしている気がするのは気のせい?」 けなしていないさ、大我は本当に昔とは変わらないよねの話だよとうまくかわそうとする。半信半疑になっている私はどうでもよくなる。相手が相手だから、反撃するような真似は駄目、絶対。最後に負けるのは私だと知ってるからだ。 全く私って甘いなあ。 夏は好きじゃない。嫌いでもないが、何ていうか身体が嫌がっている。拒絶反応を起こしているみたいだ。そりゃそうだ、夏に私はこの世から消されてしまったからな。 私がいなくなった日はたまたま夏だった。 赤司が狂った日はたまたま夏だった。 それだけのこと。 だから、夏のことは好きじゃない。 消えるならせめて赤司を一度だけでいいから抱きしめたいなあ。それが成仏のきっかけになるんだけど、抱きしめたらきっと赤司の世界も終わってしまうに違いない。だから、ずっと一緒にいることしか出来ない、そんな根拠のない言い訳を自分に言い聞かせてきた。 ∴幽霊ネタ好きです。 |