ふと気づくと、生ぬるい空気の中にいた。下を見るとびちゃびちゃと赤い水たまりが出来ていた。それがなんなのか、理解するには早くもなかった。
倒れている人物と手に持った包丁を見たとたんに状況を全て理解してしまった。ああ。人って、こんなに簡単にいなくなるのかと包丁を落とした。
お前の濡らしきった瞳がずっと目から零れる涙を殺そうとする俺を映し出していたとは今後、知る由はなかった。