※フェイ天前提フェイ←ベータ+松風




「天馬さん、可哀想ですね」



サッカーをやっと取り返したのに、

自由なサッカーを出来ると思ったのに、

周りのみんなから忘れられたサッカーを取り戻したのに、

サッカー好きなみんなはサッカーが嫌いになってしまった。
円堂監督まで封印されてしまった。

絶望の淵に立ってなお、天馬はそれでもサッカーを嫌いになってしまったみんなを、円堂監督を助けようとした。

それをベータはあざ笑った。

「全然、可哀想じゃない」

あざ笑われていることが分かってる天馬は怒っていなかった。強く否定するでもなく、淡々と否定する。
ベータはやはり、否定するのねと想定内だったので、軽く笑う。


「はい?強がってちゃいません?分かっているんです。あなたの過去、少々調べてもらいました。大変だったでしょう」
「……………………」
「だから、私は可哀想だと言っています。ね。元凶のサッカーを無くせば、みんなもあなたもハッピーです」


じわじわ、じわじわと悪魔の囁きみたいに天馬の過去を抉るような物言いに天馬は少し、目を潜んだ後に息を吸う。

「君こそ、可哀想だよ。俺に近付いたって、フェイとは仲良くなれないよ」
「…………………」

黙りがちだった天馬の代わりにベータが黙ってしまう。図星を付かれたベータはギリッと歯軋りをする。いつ気付かれたのか、頭をフル稼働していても、天馬の考えなど分からないである。

「フェイと仲良くしたかったんなら、俺も協力してあげるよ」
「何を言っている…んですかぁ」

焦った声と裏がない笑顔。
形勢逆転された展開に天馬はさらにフェイの人権を思いを無視して、先ほどのベータの悪魔の囁きとと違い、捧げるように甘美な天使の言葉を言う。



「フェイを幸せにしあげて。俺では、フェイを悲しませるだけだから。だから、君にフェイをあげる……」



あげると言った割に天馬は悲しそうな顔をしていた。何でこんなに悲しそうな顔をするのとか疑問が浮かぶより、怒りがとどまることなく腸が煮えたぎっていそうだった。

ベータは天馬の思惑に少し近付いた瞬間に天馬の顔にビンタした。
ビンタされた天馬はビンタされて当然だと思っていたのか、あまり驚かない。


未来人と過去人の距離はあまりにも大きくて、恋が実るには不可能に等しい。

だから、天馬は譲ったのだ。

恋人のためと思って、最低な行動をしてしまった天馬にベータは許せなかった。

それでも、フェイの気持ちを知ってなお、無視する天馬は胸が痛そうに言うのだ。



「フェイが一番可哀想なんだよ。幸せにしてあげられない俺と一緒にいても、無理なんだよ。同じ時間に過ごしているベータなら……………」



最後まで言えなかったではなく、ベータはその場から走り去り、天馬の視界から消えてしまったからだ。
天馬は何かが切れたみたいにその場にへたり込み、倒れる。視界が勝手にぐにゃりと歪んで、声を漏らさないように唇を咬んだ。