林 良平



『……痛っ…』

下腹部の痛みに意識が夢の中から現実へと引き戻される。辺りまだ薄暗い。ベット付近に置いた携帯にゆっくりと手を伸ばし、画面を開けば午前5時15分を指していた。

ふと下の方に良平からのメールが来ていることに気がつく。どうやら今日は何も予定がないらしく、出かけないかと言う内容だった。
今日は休日で自分も予定も無いのだが、この下腹部の痛みが外に出かけることを億劫にした。とりあえず彼にお腹痛いから無理ごめん。とそっけない返事を返し、もう一度夢の中へ意識を手放した。




『んっ…』
「?おー、起きたか。」

…は?何やら聞き覚えのある声に体を起こせば、床に座りながらベットに背中を預け、私の部屋の漫画を読む良平の姿があった。

『…なんで居るの。』
「あ?ちゃんとおばさんに許可もらって上がってんぞ。」
『いや、そう言うことじゃなく…』

確かに今日はお腹が痛いから無理と連絡を入れたはずだ。それなのになぜ彼は部屋の中にいるのか。もう一度確認のため携帯を見るも、しっかりと返事はしていた。もしかして見る前にここにきてしまったのだろうか。

『いつからいるの』
「8時半にここに来たから…2時間前だな。」
『2…?!』

ばっと時計を見れば10時半を指していた。2時間前なんて…よく見れば横に漫画の山ができている。

『…馬鹿なの?』
「?何がだよ。」

何に対して馬鹿と言われたのかわかってない良平は私を見ながら首を傾げた。

『2時間も暇だったでしょ…起こしてくれてよかったんだよ良平。』
「腹いてぇんだろ?無理させれねぇだろうが。」

そういえばと読んでいた漫画を横に置いて袋の中から何かを取り出した。

『??』
「腹いてぇって言ってたからよぉ、持ってきてやったぞ。ほら、」
『え、あ、ありがと……う、ん?…これって…』

受け取った箱を見れば、見覚えのあるラッパのマーク。腹いてぇときは正露丸だろなんて言う良平にじわじわと笑いが込み上げてくる。そりゃそうだよな、うん。お腹痛いは正露丸だ。


『ふっ、ふはっ、ふふふ、』
「???おい、名前。何がおかしいだよ」

私の笑に少しカチンときたのか立ち上がってこちらを睨む良平にごめんと謝れば睨みながらもゆっくり腰を下ろす。

「正露丸優秀だぞこら。名前テメェ正露丸舐めてんだろ。」
『いや…ふふ、舐めてないよ。お陰でなんか元気になった』

パッケージだけでかよ…すげぇ。なんてちょっと斜め上のコメントが返って来てまた吹き出す。本当飽きない。

『ふふ、本当ありがとう。お腹の痛みもマシになったし、ご飯食べてく?』
「…本当に大丈夫かよ?」
『うん、大丈夫。良平のお見舞いのおかげ』
「おー、なら食ってくか。」

俺お前の飯好きなんだよなと、照れもせずに呟く彼の背中を見て体が少し軽くなった。





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お腹痛いのは、お腹壊してんだなと思ったぺーやん。ぺーやんくんは斜め上を行ってくれると信じてる。

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