この関係は早いこと終わりにするに越したことはない、私だってそう思ってきた。でも何故か放って置けない気がした。最後に別れをつけた彼はとてつもなく似合わない事を口にした。

「幸せになれよ、ちゃんと、お前は」
その時の表情は何とも言えない表情で心意を読み取れなかったがとても彼らしくない言葉だった。本当に最後だなんて思っていなかったし、てか今後もだらだら続くんじゃないかって思っていた。その言葉を言われて何を言ったらいいいのか分からず呆気にとられた取られている間に爆豪勝己は私の前から姿を消した。事務所場所も連絡先も一方的に変更してしたためわが社の管轄区域ではなくなり完璧に関係を断たれた。
私は心の真ん中に大きな穴が開いてしまったように無気力になっていた。まるで私がアイツに片想いしてフラれたかのように。


「あの、すみませんっ」

「…え、あ、はい」
仕事終わりにまたアイツが来るんじゃないかなんて馬鹿なことを思い回数が増えていた。その中で隣にいた爆豪勝己とは正反対に気弱で誠実そうな男が私に話しかけてきた。

「かっちゃん…爆豪君の幼馴染みです。」
なるほど、

「あの、聞いて貰いたいことがあって、」

「聞いて欲しい事?」

「これを見てください」
そう言われて彼のこのbarには不似合いなリュックサックから出てきたタブレットを差し出された。その中の動画は爆殺卿もとい爆豪勝己が敵であるヴィランに対して、なんというか無我夢中で殴る蹴るなどで倒す姿が写し出され、他のサイキックやヒーローやらがやり過ぎだと止めに入る所で動画が止まった。その姿に唖然としていると緑谷さんが口を静かに開いた。


「この件は一応ニュースにまではなっていない、今は」
つまりはこれが続くといつかはということは想像に難くない。

「いつもはこうではないんだ、ヒーローというものを尊重しているからね。仕事以外の時はボーってしている上に無気力で、食事もあまり取っていないみたいなんだ。おかしいと思って、かっちゃんが通っていたというこのbarにヒントがあるんじゃないかって、来てみたら君がいた。かっちゃんと何かあったんだったら説明して欲しい」

「…実は、」

「そうだったんだ、思ったり壮絶」

「{emj_ip_0856}{emj_ip_0856}っていう人とそんなに似ているんですか、私」

「そうだと、思う」

「思う?」

「彼女はかっちゃんの恋人だった{emj_ip_0856}{emj_ip_0856}は数年前に亡くなったから」

「…」

「あ、気に病まないで。だいぶ前の事だから」

「爆豪勝己はその{emj_ip_0856}{emj_ip_0856}さんと私を重ねていたんですね」

「…それならこうはならないと思うんだ、」

「は?」

「君と話してみて確信したよ。かっちゃんは君が好きだからこそ離れたんだって」

「…そんな馬鹿な、だって」

「きっかけ自体はそうだったと思うけど、話せば話すほど君は{emj_ip_0856}{emj_ip_0856}とは違い過ぎるからね」

「つまりは彼女の方が清らかで大人しいということですね」

「そそそそそそんなことっ」
あるんだね。

「ふふふ」

「…幼馴染みとしてお願いがあります。かっちゃんを、爆豪君を救ってくれないでしょうか?」
緑谷さんはそう真剣な眼差しを向けてきた。




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