▼11
あれから雪国につきそこから各地を転々としていき、グレバムとの最終決戦前で奴が裏切った。というのも奴はグレバムに操られると予想していた通り忽然と姿を消して僕らの前に立ちはだかり、グレバムを守るようにこちらに剣を向けた。こちらのことがわかるようでどうやら体のみが言うことを聞かないようだった。
船で奴と話した後に幾度もなく思い出そうとしたがやはり奴のことを思い出すことかできなかった。たまに奴の顔を凝視すると弄られるので毎回仕置きした。そして
「ルトゥ!」
「操られているのか?!」
「へへへ、そーみたいー」
「笑うな!馬鹿者!!」
本当にバカな奴だ。なぜ笑う。
「仲間が相手じゃ手も出まいな!」
ぐっ、と回りの奴らが息を飲んだのが聞こえた。奴は前に僕に止めてほしいと言っていたことを思い出す。スタン達の前に立ち奴と向き合う。奴は相変わらず笑っていた。やはり思い出せない。そのせいか、いつもなら、奴を斬ることなど同左もないと思っていたのに体が動かなかった。そして動き出したのは奴のようだった
「黙れよ。雑魚」
珍しく汚い言葉でグレバムに言い放ち自らに剣を突きつけ、そして自分の胸を貫いた。スタン達から悲鳴と叫び声が聞こえた中で無意識に奴の名前を叫んだ。久々に名前を呼んだ気がした。奴が倒れ際に微笑んだのが見えた。
「な、そんな馬鹿な」
そして血を流し倒れた奴にグレバムはあり得ないといった表情で奴を見た。
「これで、何も出来ない、残念でした。バーカ」
「くっ」
「隙あり!」
腹いせに奴を蹴ろうとしたグレバムにスタンが斬りかかり、その隙にルーティが奴の救助に向かった。
「馬鹿なのアンタ!」
「酷いなー皆が僕に問いかけるから、こうして自分を動けなくしたのにー」
「無茶しすぎです」
「あははー」
心配し怒鳴るルーティと今にも泣きそうなフィリアに困ったように奴は笑った。そして僕の方を見て言うのだ。
「リオン君、ありがと」
「っ…何もできないっ」
僕は
「えー。あれでも意識混乱しててさ、君のが僕の名前を初めて言ってくれたからこうして正気取り戻せたのに」
「そんな覚えはない!」
「ふふ」
奴が操られた時に僕が咄嗟に奴の名前を呼んだ。それを奴が聞いたのだと思うと急に居たたまれなくなり、スタンやマリー達のいる前線に向かった。ニヤニヤしているルーティは後で締める。
ページ:
ALICE+