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「マリアン!」

「リオン様」

「暫く屋敷に帰らないから挨拶にきたんだ。あとその呼び方やめてくれ」
犯罪者達を連行し任務が終了したかと思いきやストレイライズ神殿にモンスターが現れたのと報告が入った。そこには神の眼という巨大レンズがありそれの安堵を確かめに向かうように任務を申せ使った。犯罪者と。というのも犯罪者一味の魔女とハリネズミが僕と同じソーディアンの使い手であるためヒューゴが提案したのだ。僕は休息もなく再び屋敷を旅立つため即座にマリアンの元へ駆けた。マリアンは美しい笑みを僕にかけてくれた。僕の真の名を知るのはヒューゴ以外にマリアンしかいない。二人の秘密、餓鬼っぽいとは思いながらも僕はそれに酔っていることも確かだった。


「…エミリオ、気をつけてね」

「あぁ」
いつものようにマリアンは僕に気に掛けるような言葉を放つ。マリアンは僕の欲しい言葉をかけてくれる。マリアンは分かっているのだ、僕がどういえば喜ぶのかを。そしてそれは愛ではなく僕に対する同情であることは知っている。それでも僕はこの関係に満足していた。マリアンは僕の全てだ。その見返りなどいらない。しかしこの屋敷はマリアンをつなぎ止める鎖だ。僕がヒューゴを討った際には鎖を解き放つ。その時に彼女がこの場から離れるだろう、その時までは僕のそばにいて欲しい。強いて見返りを求めるのであればそれでよかった。

「ルトゥも長期任務に出てしまったから寂しくなるわね」
マリアンの言葉に奴のことを思い出してしまった。あれから奴のことをは気にしないようにしていたのに。長期任務だと?僕はそんなこときいていなかった。

「聞いてなかった?」

「…あぁ」
そんな顔をしていたのだろうか。

「エミリオ、ルトゥと何かあった?」

「……」
す、するどい。その後、奴に怒鳴った事を説明し、またマリアンに説教された。その後に犯罪者達と合流すべく廊下を歩いていた所シャルが重たそうに口を開いた。


『坊ちゃん』

「なんだ」

『避けられてますね、ルトゥに』

「…偶然だろう」

『ルトゥによく似た女の子を知ってるんです。その子は不器用で、辛いことや、悲しいこと全部背負って僕には何も話してくれませんでした。その子によく似てるんです。』
ふと、シャルの言葉に以前奴がヒューゴを見ていた表情を思い出す。あの悲しそうな表情、作り笑顔、奴はわかっていたのではないか、自分が駒だということに。だからあんな表情をしたのではないか。そして犯罪者に対してもその無防備な笑顔を晒して…僕は嫉妬なんかしていない


「…わかった。次あった時謝ればいいんだろう」

『ありがとうございます!…ところで坊ちゃん、さっきスタンに嫉妬してたんぎゃあああああああああ』

「だから嫉妬なんかしてない!!」



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