こんにちははじめまして皆さん、私はなまえという者です。早速ですが私の個性を説明しようと思います。私の個性は魅惑…またの名をラッキースケベと言います。ええ、とっても不名誉な個性でございます。これによって色々と悩まされたものです。満員電車では必ず痴漢に合うし、転けたら人の股間に顔をぶつけたり、スカートをはくと風が吹いてパンチラ、噴水の近くに来たらその水が私に向かって降ってきて下着が透けてしまったり言い出したら切りがない。
しかしこの個性も以前と比べてコントロールできてきており、人様に迷惑をかけずに生活ができるようになってきている。ただ一つの不安要素を除いては。
その不安要素とは私が絶賛片思いをしている男の子である爆豪勝己君である。彼は強面ではあるが私の個性を知っててもなお私の心配をしてくれたりする優しい男の子であるが、彼の前では何故かラッキースケベが発動してしまうのだ。

「かっちゃんー」

「あ!」
同じ中学校なため一緒に登校しているのだが朝一番はやはり、石に躓いて彼の股間にダイブ。

「ぶっ!」

「あああ!かっちゃん!大丈夫?!ごめんね!ほんと毎日!」

「お前本当に懲りねぇなぁ」

「ごごごめんね?!」

「別に怒ってねぇよ、ただそれ他にするなよ」

「わかってるよ」

「本当かよ」
にかっと意味もなく笑うかっちゃんに私はドキッとした。私はこの笑顔に惚れたのだ。私が抑制できない理由は「好きな人には制御できないのよ」と同じ個性を持つ母が教えてくれたことで判明した。故にかっちゃんはまだ私が個性を抑制できていないと思っているから側にいてくれるのだ。いつもいつも外出も一緒、登校も一緒であった。

「かっちゃんってさ、好きな人いるの?」

「あ?なんでそんな事聞くんだよ」

「だってずっと私なんかと一緒にいるから、好きな人いたら迷惑じゃないかな」

「関係ねぇよ」

「そっか…きゃ!」
やっぱり関係ねえ、か。と落胆した矢先に地面に次はバナナの皮が落ちていてそれを見事に私は踏み滑った。それだけだったらよかったのだが滑った私を受け止めようとしたかっちゃんが下敷きになってくれたお陰で怪我はしなかった。怪我はね。

「?!」

「ごめん!!」
怪我はなかったが少女漫画の展開でよくありがちなファーストキスハプニングが起きてしまった。これにはさすがのかっちゃんも驚きを隠せなかったようで顔が赤い。

「っ!…お前っ!」

「ごめん!」

「……別にいい」

「え、本当に?」

「ただし、俺以外にするなよ!」

「は?」
かっちゃんの言葉の意味がわからないまま学校につきいつものように授業を受け下校もかっちゃんと一緒だったが何を喋っていいのかわからず会話もろくにできなかった。ただかっちゃんとまた、明日ねと軽くどこかぎこちない挨拶しか記憶に残っていない。それを窓から見てきたのだろう母が帰宅直後にニヤニヤして私の所に来た。私がオールマイトのような個性を持っていたら一発食らわせたいくらい憎たらしい顔をしていた。

「…ただいま」

「おかえりー。そういえばあんたまだ勝己君にだけ個性コントロールできないの?」
思い出したくないような嬉しいような記憶が脳裏を過りまた顔が赤くなりそうだ。

「…うん」

「勝己君も物好きねぇ」

「え?」

「言ったでしょ"自分の事を"好きな人には制御できないって」

私は止まらない気持ちを静める為に裸足のまま外に逃げた。

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