少し前から、嫌な予感はしていた。
あの教師が私を見る目が可笑しい。自惚れなんかじゃない、確かにそう感じた。
『……』
「儚?」
『…ん、ごめん。何?』
「…最近どうした?」
学校からの帰り道。慎と手を繋いで、ゆっくり歩くこの時間が大好き。
それでも私の心にある翳りは消えないままで、自然と俯きがちになっていた。
物心がつく前から、慎とはずっと一緒だった。気が付けば私の隣にはいつでも慎が居てくれて、彼に惹かれるのもまた自然で。
高校に上がって気持が通じ合って、本当に幸せな毎日だった。
何よりも私を優先して大切にしてくれる慎。クールだけど、笑った顔が可愛くて、心があったかい慎が好きでたまらない。
『…慎、あのね、』
意を決して伝えた。
慎は揶揄う事も笑う事もなく真剣に話を聞いてくれて、繋いだ手に力が籠った。
「ちょっとでも何かあったら、絶対に言えよ。約束。」
『ん、約束。』
そんな約束も虚しく、幸せは音を立てて崩れ落ちた。
「儚!!」
降り頻る雨の中、私を抱き締めた慎の身体もすっかり冷え切っていた事をよく覚えている。
好き勝手に弄ばれて痛む身体より、抵抗して殴られた傷より、とにかく心が痛かった。
どうしてこんな目に遭わなければいけなかったのか、考えても答えなんて見つかる筈がなくて。
『…し、ん…っ』
「…あの野郎何処だ、ぶっ殺す」
『慎、慎…』
「儚、」
怒りに震えて怖い顔をする慎に必死にしがみつく。私を見た慎は今にも泣きそうで。
『帰り、たい…今は、慎と2人がいい…っ』
「…ん、分かった。」
私の家に帰っても、当たり前に両親は居なくて。
シャワーを浴びて、慎が傷の手当てをしてくれている間も泣き噦る事しか出来なかった。
『…誰にも言わないで』
「……」
『…こんな事言ったって、軽蔑されるだけ。』
「軽蔑って、」
『慎だって嫌でしょ、嫌なら嫌ってはっきり、』
「馬鹿!」
強く強く抱き締められ