意識を擡げて、薄ら目でカーテンから差し込んでいる朝日を感じる。
腰がズキズキとして、喉も痛い。



「ユリ?」


『……グク、』



なんとか声を出すと、前髪越しに額に重なる大きな手。



「喉痛い?」


『ん…』


「はー…。本当にごめん、無理させすぎた。」



ぼやけた視界に映るのは、心配そうに眉を下げて私を見つめるグク。なんとなく昨日の意識を辿りながらグクの首に腕を回すと、ぎゅっと抱きしめてくれる。



「身体もしんどいでしょ、ごめんね。」


『…ん、大丈夫。』



グクは優しい。人生で初めて、私を傷付けないと信じられた人。
だけど、そんなグクも本当に大変な世界に身を置いていて。普通の人じゃ計り知れない苦悩や葛藤を抱えて生きているグクは、たまにその苦しさをぶつけるように私を抱くことがある。

昨日のグクも、玄関まで出迎えた私を抱きすくめたと思えば、そのまま壁に押し付けて深く唇を塞いできた。

何かあったんだろうなという事は直感で感じた。ただ、私がそれをどうにかしてあげる事ができない事も、また事実で。
私はただグクを抱き返す事しかできなくて、そのままベッドに流れ込んだのだった。



『グク、眠れた?』


「うん、ちゃんと寝たよ。ごめんね。」


『も、ごめんねって言わないで。大丈夫だから。』


「……ありがとう。」



少しだけ身体を離したグクは不安げだけれど、私は本当に大丈夫で。
確かに身体は辛いけど、それがグクから与えられたものなら、私にとってはむしろ幸せなのだ。



「…昨日、全然抑え効かなくて。ユリが泣いてても、止められなかった。」


『いいよ、そんなの。』



グクのさらさらの黒髪を撫でる。私の額や瞼や頬、鼻先、唇と、至る所に触れるだけの可愛いキスを優しく落としていく。



『今日お休み?』


「夕方から。だからそれまで一緒にゆっくりしよう。ご飯も俺が作るよ。」


『じゃあ、久しぶりにグクのチャーハンが食べたいな。』


「うん。」



やっと柔らかく笑ったグクの表情が嬉しくて、釣られて頬が緩むのが分かった。



「可愛い。」



鼻先と鼻先が触れ合って、そっと唇に落とされるキス。愛されてると伝わってくる優しい触れ方。